生活機能連携向上加算(訪問介護)を算定しよう

 

 

 介護保険次期改正において、リハビリ関係の強化が検討されています。

 訪問介護事業においても生活機能向上連携加算があり、リハビリ職との共同による介護予防・悪化予防が期待されていますが、ほとんど利用されていないという状況です。

 その原因はなんでしょうか?

 また、次期改正でこの加算の報酬がアップする可能性があり、業務として取り組む意義が出てきそうです。

 

 

訪問介護の生活機能向上連携加算の算定率は1万人に3人程度

 

 厚労省の「リハビリテーション専門職と介護職との連携に関する調査研究事業報告書」(平成25年度調査)によれば、この加算を算定している利用者は0.032%で、ほとんど利用されていないのも同様の状況です。

 そもそも、リハ職と訪問介護員が共同してどのような仕事ができるのか、実はあまり理解されていないのかもしれません。

そのため、次期改正で、この加算の算定率を上げるような方策が検討されています。

 

 

生活機能向上連携加算はどのような事例で活用できるのか

 

 本報告では、具体的な事例をいくつか紹介しています。

 

① 庭まで歩けるようになりたいという利用者の要望に対し、リハ職の助言を元に、 訪問介護の中でも運動メニューを取り入れた事例。

② 介護老人保健施設からの退所に際し、自宅での一人暮らしに向けて、リハ職と介護職が連携した事例。

③ 言語聴覚士、歯科医師を含めた連携で、胃ろうから経口で食事ができるようになった事例。

④ 寝たきり状態にあった利用者の入浴希望をかなえるため、リハ職と介護職の連携により支援を実施した事例。

 

 実際には、このような具体的な事例だけでなくても加算は算定できます。

 よくあるケース(=脳梗塞半身麻痺の人の在宅生活やパーキンソン病の方の生活を支援)でも、訪問介護とリハ職が相談して支援を提供するようなケースであれば、大概の場合はこの加算は算定できるようです(計画作成や同行訪問など作業的な要件は満たす必要があります)。

 

 簡単に言えば、「生活支援のためにリハ職の専門的な意見を取り入れた介護」を実践すればそれが算定要件になると考えて良いと思います。

 そう考えた場合、ほとんどの障害のある在宅高齢者には活用される可能性があるように思えます。

 

 

加算が算定されない理由

 

 なぜこの加算が算定されないのか?

 同報告書では、ケアマネージャーに算定しない理由について調査をしています。

 ケアマネージャーが答えた主な理由は以下の通りです。

 

① 「同行訪問の日程調整が困難」47.2%

② 「リハビリテーション専門職による助言が必要と思われる訪問介護利用者が少ない」 29.5%

③ 「リハビリテーションと訪問介護を併用する利用者が少ない」 27.3%

④ 「近隣にリハビリテーション事業所が少ない」 13.6%

 

※調査時点では訪問リハと訪問介護を利用している場合が算定要件であるが、現在は通所リハも可。

 

 

ケアマネージャーには算定のモチベーションが無い

 

 この加算は訪問介護とリハ事業所側にしか報酬的メリットがありません。

 そのため、調整をするケアマネージャー側に連携を促すモチベーション(動機)が無いと言われています。

 「同行訪問の日程調整が困難」というのは実は変で、サービス担当者会議で訪問介護のサ責とリハ職がアセスメントをして相談すれば、それで十分に要件を満たします。

 このような意見が多く出るということは、ケアマネージャー側にそのような連携を促す意思が無いように思えます。

 

 次期改正でどのような改善がなされるかわかりませんが、そもそもサービス連携の要であり、連携調整そのものが本来業務であるケアマネージャーに、特定の加算のためにインセンティブを与えることは考えにくいことです。

 

 

チームにリハ職と訪問介護職がいるなら算定するべき

 

 筆者は、ケアチームの中にリハ専門職と訪問介護職がいるならば、原則この加算を算定してチームサービスを提供するのが、本来のケアマネジメントの在り方のような気がします。

 

 どうやら、ケアマネージャー側にリハビリテーションに対する知識不足や専門職に対する遠慮があるのかもしれません。

 これは医療職に対して言えることです、介護職以外の専門職に対して、ケアマネージャーが仕事を丸投げしてしまっている傾向を感じます。

 他の専門分野に口出ししにくいという遠慮もあるのでしょうが、これではケアプランの中で仕事が縦割り化してしまいます。

 どうやらケアマネージャーの連携調整能力不足という側面が見えてきます。

 

 

算定には、サ責がリハ職に声をかかればよい

 

 次期改正で報酬がアップするかもしれません。

 ケアマネージャーに期待できない場合、サービス担当者会議にリハ職が出席していたら、ひとまず「連携加算を算定しますか?」と声をかけてみるべきだと思います。ちなみに、リハ側の加算は「リハビリテーションマネジメント加算」という名称です。

 リハ職は訪問介護がどのような支援ができるのか、あまり知識が深くない場合があります。

 訪問介護がリハビリにどのように協力できるか話し合うことは非常に有意義なことです。

 

 リハビリテーションの目的の一つは社会参加や活動の拡大です。

 リハ職はその方法論を提示しますが、実際に参加や活動をするのはご利用者本人です。そして、それには努力が必要になります。

 そこに支援介入するのが訪問介護であると考えれば良いのではないでしょうか。

 

 

初の認定介護福祉士が誕生

 

 4月21日、認定介護福祉士認証・認定機構は、初の認定看護師が11名誕生したことを発表しました。

http://www.nintei-kaishi.or.jp/home/

「認定介護福祉士認証・認定機構 HP」

 

 

現場実践力を評価される認定介護福祉士

 

 筆者は介護福祉士の給与は、夜勤などをせずとも、現行のケアマネージャーレベルになるべきだと考えています。そうでなければ、将来にわたって日本の介護福祉は維持できないと思います。

 

 これまでの介護業界のキャリアアップの仕組みは、介護福祉士を経験した後、ケアマネージャーになることが、一つの道でした。

 しかし、直接現場で接する介護職のレベルが上がらなければ、利用者ニーズに的確に応えられないという現状があり、現場実践力のある介護福祉士の必要性が従来から訴えられていたところです。

 

 認定会福祉士ができたことで、現場実践力が評価され、キャリアアップの道筋が一つ増えたと考えたいのですが、今後この資格がどのように機能し、処遇などの面でどのように評価されていくか、注目されるところです。

 

 

認定介護福祉士とは

 

 認定介護福祉士は、能力の高い介護福祉士を認定し、その現場実践力を通して、介護課題の解決やスタッフの指導・連携、地域の介護力アップの仕事に当たれるようにしようとするものです。具体的には以下のような能力が必要とされています。

 

 

Ⅰ 十分な介護実践力

 

①リハビリテーション等の知識を応用した介護を計画・提供でき、利用者の生活機能を維持・向上させることができる。

 

②認知症のBPSDを軽減させることができる。

 

③障害特性に応じた介護が提供できる。

 

④心理的ケア、終末期ケアを実践できる。

 

 

Ⅱ 介護職の小チーム(5~10名)のリーダーへの教育・指導、介護サービスのマネジメントを行う力

 

①介護職の管理・運用を行い、介護サービスマネジメントや人材育成に責任をもち、上司等にも働きかける。

 

②介護計画に利用者や家族のニーズが反映されるようアドバイスをするとともに組織的に介護サービスが提供できるように取り組む。

 

③介護の根拠を説明し、指導するとともに内省を習慣づける。

 

④記録様式などサービス管理に必要なツールを改善・開発できる。

 

⑤介護職チームの意識改革、サービスの提供方法や提供体制の改善、研修プログラムの編成等を行い、新しい知識・技術・実践をチームに浸透させることができる。

 

 

Ⅲ 他職種やそのチームと連携・協働する力

 

①他職種からの情報や助言を適切に理解し、介護職チーム内で共有し、適切な介護に結び付ける。

 

②利用者の日ごろの生活状況と、それを踏まえた介護の実践内容を、論理立てて他職種に伝える。

 

③利用者の状態像の変化に気づき、その状況を適切に他職種に伝え、連携を図ることで、利用者の状態像の悪化を最小限に止めることに寄与する。

 

 

Ⅳ 地域とかかわる力

 

①家族に対して、生活環境の整備、相談援助等ができることで、家族の不安を軽減し、適切なかかわりを支援する。

 

②地域におけるボランティア、家族介護者、介護福祉士等への介護に関する助言・支援ができる。

 

③施設・事業所の介護力を地域の人々のために活用できる。

 

④介護に関する地域ニーズを把握・分析することができる。

 

 

ケアマネージャーとの役割分担は?

 

 こうした能力を見てみると、ケアマネージャーの役割と被る部分が多く見受けられます。役割分担はどうなるのだろうという疑問が湧いてきます。

 

 機構の説明にはありませんが、筆者としてはトロイカ体制を目指すべきではないかと考えます。

 

 トロイカ体制とは複数の指導者により組織を運営していくことで、ロシアの3頭立て橇に見立てた言葉です。

 

 簡単に言うと、今まで下に見られていた、介護現場職が、医療職やケアマネージャーと同等の地位に立ち、チームケアを実践していくことです。

 

 特別養護老人ホームで例えれば、各ユニットの介護リーダーに対する指導的役割を果たすということですから、その施設の介護部長のような役割を担うのだと考えます。

 

 そうすると、ホームの医療職やケアマネージャーと同等以上の役割を求められている感じがします。

 

 

認定介護福祉士になるには

  

 認定を受けるためには、介護福祉士としての実務経験5年プラス、600時間の研修を受ける必要があります。詳しくは以下をご覧ください。

http://www.nintei-kaishi.or.jp/certification/curriculum.php

「認定介護福祉士になるには」

 

 研修にはⅠ類とⅡ類があり、Ⅱ類はⅠ類の研修を受けたうえで、施設のユニットリーダーやサービス提供責任者等の現場実務を経験しながら、研修を受けることが求められます。

 

 つまり、実際の現場での経験を通じた実践力の獲得が求められています。

 

 ただ、医療的ケアの実践力などが評価されていないようですので、認定介護福祉士なのに喀痰吸引ができないのは如何なものかという疑問もあります。

 

 

今後、加算要件になるのかが重要

 

 例えばサービス提供責任者などの介護現場のマネージャーが、認定介護福祉士である事業所に対する加算などがどのように設定されていくかが注目されます。

 

 認定介護福祉士がいる事業所といない事業所とで給付に差が出なければ、認定介護福祉士の認定者は増えないと考えます。

 

 その加算を原資にして、介護職の処遇がさらに向上することを期待します。

 

 

 

 

 

 

 

平成29年度処遇改善加算 新Ⅰのキャリアパス要件について その3

 今回は新しく設定された(キャリアパス要件Ⅲ)について説明したいと思います。

 

新しく追加されたキャリアパス要件Ⅲ

 

 介護職員の平均給与を上げていくための政策として、処遇改善加算が今後も上がって行くかどうかは、介護報酬の基準額の見直しとのバランスで検討されるのでしょう。

 しかし、今回の要件追加を見ると、要件の小出しのように見えますので、今後も加算アップは行われると考えています。

 

 ただ、現状で、たとえば訪問介護の特定事業所加算の要件と処遇改善加算の要件がかぶっている部分があり、二重加算になっている状況も見受けられますから、この辺の整理は行われるような気がします。

 

キャリアパス要件Ⅲの内容は?

 

次のイ及びロの全てに適合すること。

 

介護職員について、経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準

に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けていること。具体的には、次の一から

三までのいずれかに該当する仕組みであること。

 

 イでは3つの要件が示され、そのうちいずれかに該当していれば良いので、今後すべてに該当する要件が加わる可能性があり、加算のアップを行える余白を残しています。

 

 それぞれについて説明いします。

 

経験に応じて昇給する仕組み

「勤続年数」や「経験年数」などに応じて昇給する仕組みであること

 

 こちらは要件Ⅰの「イ 介護職員の任用の際における職位、職責又は職務内容等に応じた任用等の要件(介護職員の賃金に関するものを含む。)を定めていること。」に似ていますが、こちらは職階の設定を求めているのであり、毎年昇給するような定期昇給の仕組みは求めていません。リンク

 

 新要件では、継続的にその会社で働いている人に、定期昇給の仕組みを求めていると言えます。もちろん毎年上がる仕組みでなくとも、3年ごとに昇給でもOKなのですが、一般的には毎年昇給するのが多いと思われます。

 

 また、他の介護会社に転職した場合など、介護の実務経験などを鑑みた(経験年数)給与設定をしなさいということも求めています。

 

 介護士や看護師など同業転職の多い職種では、転職のたびに給与がリセットされてしまう傾向がありますので、他の同業転職した場合でも、実務経験年数を考慮してほしいということでしょう。

 

 これを設定するには給料表を作成する方法が一般的です。

 例として「東京都職員給料表」をリンクしておきます。

東京都職員給料表

 縦軸に「号給」があり横軸に「職務の級」がありますが、「職務の級」が係長などの職階を意味します。そして縦軸の「号給」が定期昇給の区分割になります。これがいわゆる基本給と言われるもので、この上に、資格手当などの手当てが乗っていきます。

 毎年、通常に業務を遂行できた職員は上の号給にアップします。それがいわゆる定期昇給です。

 さらに、中途採用者は経験に応じて適当な号給からスタートとなります。どの号給からスタートするかは個別に判断されます。

 

資格等に応じて昇給する仕組み

「介護福祉士」や「実務者研修修了者」などの取得に応じて昇給する仕組みであること。ただし、介護福祉士資格を有して当該事業所や法人で就業する者についても昇給が図られる仕組みであることを要する。

 

 これは資格手当についての要件ですが、単純に手当を乗せるだけでなく、昇給する仕組となっていますから、職階も資格によって上がる仕組みになっていると良いと思います。

 例えば上の東京都のように1級から5級に職階が分かれている場合、

 無資格、介護初任者研修修了者、ヘルパー2級  →  1級職

 実務者研修修了者               →  2級職

 介護福祉士                  →  3級職

 

 という風に昇給昇格していく仕組みであると良いと思います。

 これと同時に、介護福祉士手当のような資格手当の付与があるとベターであると思います。

 

 ただし、介護福祉士資格を有して当該事業所や法人で就業する者についても昇給が図られる仕組みであることを要する。というのは、既に資格を取得し、就職してきた人も同様の処遇をしなさいということだと考えられます。

 つまり、介護福祉士の資格を持って就職した人は上の職階の例でいえば3級職からスタートしなさいということです。

 

 たとえば、介護福祉士の専門学校を卒業して入社してきた若い新入社員は3級職の低い号給からの基本給スタートになります。

 

 

一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み

「実技試験」や「人事評価」などの結果に基づき昇給する仕組みであること。ただし、客観的な評価基準や昇給条件が明文化されていることを要する。

 

 この要件の中ではもっともハードルの高い要件です。今回の要件設定では3つある要件のどれかを満たしていればよく、本要件が満たされていなくても、新Ⅰは算定できます。

しかし、今後さらなる処遇改善加算の上乗せがあるとするならば、必ずこの要件もクリアしなければⅠは取れないということになるでしょう。

 

 この要件を満たすためには、通常、賃金規定に「定期昇給」要件を明文化します。

 通常は1年間、問題なく業務を遂行できれば定期昇給する」と明文化すれば良いのですが、1年間、問題なく業務を遂行できれば」とは何ぞやということになります。

 

 昇給させるためには、その職員が1年間、問題なく業務を遂行できたかどうかを評価する必要があるのです。

 

 その評価をどのようにするか?

 それが一般的には「人事評価」というものです。

 「実技試験」が入っているのはキャリア段位制度との連携を考慮に入れてのことだと思いますが、現状、キャリア段位制度を定期昇給に反映させるには無理があります。

 なぜなら、定期昇給の評価は毎年、全職員を評価しなければならないからです。今のところキャリア段位制度のアセッサーによる評価を全員に適用することは不可能です。

 

 「介護事業所における人事評価」については次回で詳しく説明します。

 

 

イの内容について、就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、全ての介護職員に周知していること。

こちらは要件Ⅰの「 イ及びロの内容について就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、全ての介護職員に周知していること。」と同様の内容です。

平成29年度処遇改善加算 新Ⅰのキャリアパス要件について その1

 

 次回は「介護事業所における人事評価」のやり方について例をご紹介します。

 

 

 

訪問介護「特定事業所加算」で必要なスタッフ会議の進め方 その2

 

会議の進め方についてです。

 

会議は時間を決めて進行

 

 さて、会議は運営要項に従い開催しますが、概ね1時間程度を目標に簡潔に行う必要があるでしょう。

 利用者数が少なければ、あまり問題がありませんが、扱う利用者数が多い場合はあらかじめ情報を整理して、簡潔に情報伝達し、要点を絞って話し合いを行わないと時間がオーバーしてします。これは、参加スタッフへの負担になり、会議に対する不満となって溜まります。

 司会者は1時間で終了するよう、時間配分に注意して議事進行する必要があります。もしも、時間をかけて議論しなければならないようなケースがある場合は、直接の担当者同士で話し合ってもらい、後ほど報告してもらうような形にする方が良いと思います。

 サービス提供責任者は日ごろより訪問スタッフから担当利用者の情報を受けています。基本的にはそうした情報のうち、他のスタッフが共有したほうが良い情報をピックアップし、会議で伝達すれば良いと思います。

 

 

作成するべき書類について

 

 会議の開催に当たって作成するべき書類について説明します。

 会議を開催していてもそれを証明する書類が整っていなければ実地指導などで指摘されますので、面倒ですが毎月の分を整えておくことが必要です。

 

【実地指導でチェックされる書類】

(1)「会議日程表」

  当然ですが、毎年度作る必要があります。

(2)「会議次第」又は「会議議事録」

  「会議次第」は開催日時・場所とともに、会議で扱う事項を順番に列挙したものです。

 必ずしも作成する必要は無いのですが、会議進行を効率的に行う上で、事前に作って会議ではそれに従って時間配分し、進めたほうが時間の節約になります。

 「会議議事録」は実際の情報伝達内容や話し合われた事項を筆記した記録です。

 発言を一字一句記録せず、要約でOKです。誰かが読んでどんなことが話し合われたのか概ね分かれば良いと思います。

(3)「利用者に関する情報を伝達した文書(会議資料等)」

  ケアプランや訪問介護計画書、アセスメントシートなど会議に使った資料がありましたら、他の書類と一緒に保管しておきます。

(4)「会議出席者名簿」等

 これは議事録と一体化していてもOKです。

 また、全員出席が基本ですので、欠席者だけを記録しておいても良いです。欠席者がいる場合は、その欠席者にどのように情報を伝達したかを記録に残します。具体的には、

「欠席者には、会議次第、議事録、資料を配布の上、ポイントを説明」などと記録しておけば良いでしょう

 

 

欠席者の対応について

 

 会議に欠席した人には上述のように会議次第、議事録、資料を配布の上、ポイントを説明しておけば良いと思います。

 しかし、研修の方は補講を行う必要があります。別日に欠席者だけを集めて補習を実施します。その際、補講を実施したことを以下のように記録で残します。

【補講の記録】の内容

 (1)研修内容

 (2)補講実施日時、場所

 (3)補講受講者

 (4)補講実施者

 

 

 社内研修会の内容は介護福祉士の試験科目で良い

 

 ついでに、個別研修についても説明します。

  時々、どんな研修をやればよいかというご相談を受けますが、基本的には介護福祉士の試験科目から、スタッフの目標に合わせてピックアップすればよいと考えます。

 「認知症」や「移動・移乗」「排せつ」「入浴介助」などは毎年行うような研修になると思います。

 研修科目が毎年同じになっても構いません。介護技術や知識は毎年、新しい考え方や制度改正などがありますので、同じ科目でも学ぶ内容は微妙に変わってきます。

 さらに、興味があればユマニチュードなど新しい介護技術も取り入れれば良いと考えます。

 

 

社内研修会=処遇改善加算の「資質向上のための研修」

 

 この毎月の研修会は、処遇改善加算の「資質向上のための研修」と同一のものとして実施できます。

 つまり、処遇改善加算が算定できる事業所は、介護福祉士や実務者研修修了者の人数だけ確保できれば、特定事業所加算Ⅱが取得できるということです。

 処遇改善加算が算定している事業所であれば、結局、特定事業所加算を取得するハードルは「会議」の開催だけになってきます。この記事に倣っで研修会と会議を一体的に開催すれば、このハードルをクリアできますので、まだ特定事業所加算を取得していない場合は、ご検討ください。

 

 

もし併設の居宅支援事業所が特定事業所加算を取得している場合は会議は合同開催にすると良い

 

 居宅支援事業所を併設していて、その事業所が居宅の特定事業所加算を算定しているのであれば、月1回の会議を合同で開催することをお勧めします。

 居宅支援事業所の会議は毎週開催しなければなりませんが、月1回は訪問介護事業所と合同で開催します。これにより、よりきめ細かく質の高いサービス提供が可能になります。

 具体的にはケアマネと訪問介護スタッフが一堂に会し、ケアプランが更新・変更になる利用者の情報を交換します。ケアマネの方から毎月の更新者の変更情報などを伝えてもらえれば、事前の情報伝達の時間が省けますし、サービス担当者会議も効率的に行えます。

 居宅と訪問が同じ事務所内で仕事をしている場合、ケアマネとサ責は日ごろから利用者情報の交換をしていると思います。そうした内容をまとめて、他のスタッフに伝達すれば良いだけです。特に難しいことを話し合う必要はありません。

 

以上この回終わり。

 

 

 

訪問介護「特定事業所加算」で必要なスタッフ会議の進め方 その1

 

 訪問介護の特定事業所加算は、質の高いサービスを提供する事業所に対してインセンティブとして支給される加算と考えて良いでしょう。

 特定事業所加算Ⅱでも10%加算(Ⅰは20%)できますので、単純に事業所の収益を10%増収できます。クオリティーの高いサービスを提供し他と差別化ていくためにも、加算取得を目指した方が良いと筆者は考えています。

 

 しかし、いざ加算を取得しようと思っても、各種要件をどのように整備していけばわからない方も多いでしょう。特に「訪問介護員等の技術指導を目的とした会議」とはどんな会議?研修と何が違うの?という疑問が湧くのではないでしょうか。

 

 

特定事業所加算のスタッフ会議で何をやれば良いのか

 

 国の指針でこの会議では

 

 「利用者に関する情報若しくはサービス提供に当たっての留意事項の伝達又は当該指定訪問介護事業所の訪問介護員等の技術指導を目的とした会議(サービス提供責任者が主宰し、登録ヘルパーも含めて、当該事業所においてサービス提供に当たる訪問介護員等のすべてが参加)を概ね 1 月に 1 回以上開催し、その概要を記録しなければならない。(グループ別開催も可)」

 

となっています。

 

 そして、実地指導などでは、このかいご会議の開催を証明する。

 

「会議日程表」「会議次第」「会議議事録」「利用者に関する情報を伝達した文書(会議資料等)」「会議出席者名簿」等会議の実態が分かる書類

 

 が必要とななります。

 

 

 整理してみますと、この会議では、

 

(1)利用者に関する情報若しくはサービス提供に当たっての留意事項の伝達

もしくは

(2)指定訪問介護事業所の訪問介護員等の技術指導

 

を、行えばよいわけです。

 

(1)か(2)のどちらかで良く、両方やる必要はないようです。

 

 

スタッフ研修と同時に開催すると効率的

 

 (2)の要件は、どちらかというと「社内研修会」です。この研修は特定事業所加算のスタッフ個別に目標を設定した研修と違いがあるのでしょうか?

 この点について国は特に指針を示していませんので、「個別の目標を設定した研修」をこれによって行うことは可能です。

 

 筆者は、お世話させていただいている訪問介護事業所に、月に1回「会議」+「社内研修」を行う日を設定してくださいと提案しています。

 

 非常勤スタッフも含め全員の研修目標を年度当初に作成し、年間の社内研修の中でそうした目標をクリアできるように計画を作成し実施すれば、個別研修計画の要件はクリアします。特別にお金を出して外部研修を受けても良いのですが、社内研修だけでもこの要件は十分クリアするのです。

 

 つまり、「技術指導会議」は「社内研修会」読み替えて良いということです。

 

 

 

「運営要項」を作る

 

 この会議+研修会の運営を効率的に行うには、「運営要項」作成するのが良い方法であると思います。

 

 以下に例を示します。

 

 

〇〇訪問介護ステーション スタッフ会議及び社内研修会運営要項

 

1 目的

 本「スタッフ会議及び社内研修会」は、以下の目的で開催する。

 (1)利用者に関する情報若しくはサービス提供に当たっての留意事項の伝達

 (2)訪問介護員等の介護技術・知識の研鑽

 

2 開催者(会議司会者)

 サービス提供責任者の主宰で開催する

 ※小規模な事業所でしたら事業所で一体的に開催すればよいでしょう。規模の大きな事業所でしたら、サービス提供責任者ごとに開催することも考えられますが、スタッフが重複する場合は非効率です。利用者100名程度までであれば、一体的開催でまかなえると考えます。

 

3 開催日時

 別紙「スタッフ会議及び社内研修会年間開催日程」のとおり

 ※「毎月第〇、△曜日」などと決めておくと良いでしょう。会議と研修で2時間程度が目安であると考えます。

 

4 開催場所

 ○○訪問介護ステーション会議室

 ※適当な会議室が無い場合、区市町村の生涯学習センターや公民館でしたら、安価で会議室を確保できます。

 

5 会議の内容

 「利用者に関する情報若しくはサービス提供に当たっての留意事項の伝達」については以下の内容を伝達・話し合う

  ① 前回会議からの持ち越し事項の確認 

  ② 当月、ケアプランの更新・変更を行う予定の利用者について(アセスメント・モニタリング情報)

  ③ 前月、ケアプランの更新・変更を行った利用者について(アセスメント・モニタリング情報)

  ④ 上記以外、サービス変更がある利用者について

  ⑤ 困難ケース等の対応について

  ⑥ 利用者からの苦情及び改善方策・ひやりはっと報告

  ⑦ 制度改正、行政からの連絡事項、感染症情報など 

  ⑧ その他必要な事項(新規営業先の情報・新スタッフ紹介など)

 

6 社内研修会の内容

 訪問介護員等の介護技術・知識の研鑽

 研修会の内容は別途「〇〇訪問介護ステーション スタッフ研修計画表」により実施する。

 ※別途年間計画表を作成します。この研修計画は、加算の要件である「個別研修計画」と一体的です。

個別研修計画の例

 

7 欠席者の扱い

 本「スタッフ会議及び社内研修会」に欠席したものについては、別途担当のサービス提供責任者より、会議内容の伝達及び研修補講を受けなければならない。

 

8 その他

 必要な場合は残業手当を支給

 

次回は実際の運営方法や記録の残し方についてご説明します。