5 効率的に起業しよう
たとえば夫婦二人で訪問介護事業を起業するとしましょう。
実は訪問介護は夫婦二人で開業するのが最も効率が良い方法です。
ちなみにカレーハウスのCOCO壱番屋も夫婦での経営を奨励しているようです。
資格としては二人とも介護初任研修以上、一人はサービス提供責任者の資格(介護福祉士など)が必要になります。
立ち上げ当初は、常勤のご夫婦で管理者とサービス提供責任者を務め後はパートさんで営みます。
ご夫婦は役員登録とし、報酬を押さえます。
実は、役員は最低賃金などの縛りが無く、役員報酬はいくらでも構いません。
健康保険や年金の支払いを安くするため、せいぜい月8万円ぐらいでOKでしょう。
それでは生活できないではないかと思うかもしれませんが、生活は自己資金の500万円を切り崩します。
起業時の資本金を100万円程度にし、スタート時に必要な資金は役員から会社に貸し付ける形にします。
会社に収入が入れば少しずつ返してもらいます。1年目はこの形で生活できるでしょう。
なお、資格は自治体が無料で資格取得を支援していたりします。東京都では以下のプログラムがあります。
https://www.tcsw.tvac.or.jp/jinzai/kaigojinzaikakuho.html
6 障害者居宅サービスも同時に指定を受ける
訪問介護事業所の指定を受けられれば、同時に障害者居宅サービス事業所の指定を受けることができます。
事務所やスタッフは共用出来ます。指定申請は必要ですが、あまり余分なお金はかかりません。
障害者居宅サービスは今後も大きな需要が見込まれています。
障害者総合支援法が施行されて以来、障害者施設や病院で生活している人たちが、在宅での生活に切り替えはじめているからです。
特に障害児の需要の伸びは大変大きいものがあり、今後もサービスは増え続けると考えられます。また、精神障害者などまだサービスを使っていない方々も大勢いますので、この分野の仕事は増える一方と考えて良いでしょう。
筆者の支援している事業所でも半分以上の仕事が障害者サービスである場合も多く、社会的にサービスが不足しているため、事業所立ち上げ後すぐに依頼がある場合もあります。
重度の障害者の場合一人の利用者のサービス量が多く、大きな収益になります。一つの事業者だけでは賄いきれないため、いくつかの事業者で協力してサービスを提供している場合もあります。
7 株式会社・合同会社・NPO?
介護事業は法人でなければ開業できないことになっています。
この法人は法的に登記された組織ということですが、地方自治体や社会福祉法人もこの法人にあたります。
個人で法人を立ち上げる場合、いくつかの形態が考えられます。それらの特徴は以下の通りになります。
①株式会社
もっとも一般的な法人の形態です。
将来、介護事業以外にもいろいろな事業に発展させたい場合はこの形態にします。当然大きく成長すれば、株式上場企業になれるわけですが、株式を上場しなくても、投資家などから事業資金を期待する場合は、株式会社にする方が良いでしょう。
設立には30万円程度費用が必要です。
②合同会社
個人事業主を法人化したようなイメージです。小さな会社で地域の中で安定的に事業を継続していく場合は、合同会社でも良いでしょう。設立に要する資金が株式会社の半分以下で済みます。
投資家などからの資金援助は期待できませんので、会社を大きくしにくいデメリットがあります。また、社会的信用という意味では若干不利かもしれません。
実は西友やアップルジャパンも合同会社です。バックに大企業があり投資家からの資金援助を必要としないため、逆に経営の自由度が高く、この形態が選ばれているようです。
なお、合同会社は株式会社に切り替えることはできます。
③NPO
いわゆる非営利法人で設立費用は安いですが、業種が限定される上、お金儲けもできません。会員を集めなければならず、運営の自由度も低いです。
地域で志が同じ仲間を集めて、社会事業をやって行こうという場合に有利な法人形態でしょう。
また、福祉有償車両などの運営は非営利法人でないとできないため、株式会社の中にNPOを設置する場合もあります。
④一般社団法人
こちらも非営利法人です。NPOよりも設立が簡単ですがイメージとしてどのような団体なのか分かりにくく、若干怪しまれる部分があります。
通常、企業などが限定的な社会事業を行う場合に設立しているようです。NPOにするには会員が足りないが、非営利法人で介護事業を行いたい場合は、この形態でも良いでしょう。
NPOと同じように、非営利法人以外できない公益事業を運営できる場合があります。