小規模な福祉介護事業所では人材が確保できないと廃止の危機になってしまいます。
かといってお金をかけて求人広告を出しても、応募が無くお金の無駄だと考え、結局人材を確保できないまま、時間だけが過ぎてゆく状況になりやすいでしょう。
本HPの「事業を成長させるためには─在宅介護事業の成長戦略」
https://carebizsup.com/?page_id=304でもご案内した通り、事業成長させたいなら、人材確保は必須です。
そこで、本記事は小規模な事業所でもできる効果的な人材確保の方法についてご案内します。
1 求人のための年間予算を明確にする─人への投資は成長投資
事業を発展させるために人材を確保することは費用投資です。
製造業が設備投資をして事業を発展させるように、福祉介護業は「人に投資」して事業を発展させる業種です。
人材投資としては「賃金」・「研修費」・「福利厚生費」など以外に「求人経費」も含まれます。予算額は経営判断になりますが、少なくとも毎年度、事業計画の中で予算額は明確にしておくことが重要でしょう。
中小企業の年間採用経費の平均は、売上の5%~10%、またはパートを含めた従業員数×5万円程度だと言われますが、経営者として事業の成長スピードを上げたければ、多めに計上するべきでしょう。
「採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査報告書」令和3年度厚生労働省委託調査では以下のようなデータが出ています。
●1件あたりの平均採用コスト
≪求人情報媒体利用≫
正社員:11.3万円
非正社員:7.7万円
≪民間職業紹介事業者(紹介会社)利用≫
正社員:平均85.1万円、
非正社員:平均19.2万円
2 基本的に年間を通じて継続的に求人広告を出すこと
求人というものは漁業に似ています。
お金をかけて大きな網で漁をした方が沢山の魚を獲ることができます。
人材紹介や求人会社も同じで、テレビなどで沢山宣伝を流している会社に、多くの求職者が集まります。
従って、求人媒体を選ぶ場合、マスコミへの露出が高い媒体(自己判断で良いです)を選びましょう。基本は成功報酬型の、無料で求人が出せる媒体に継続的に情報を出し続けましょう。
ハローワークの情報も他の求人サイトにリンクされますので、必ず登録し、3ヶ月に1度程度更新してください。これらの求人は正社員・パート両方です。
有料媒体の場合、掲載料金は時期により波があるようですので、キャンペーンなどで安い時期を利用するのも良いでしょう。
3 ホームページの充実が求人の勝敗を分ける
求職者にとって知らない会社に応募するのは不安です。今は売り手市場、そうした「不安」が応募に繋がらない大きな原因となっています。
例えば、高校生がアルバイトをしようと考えた場合、たとえ賃金が安くてもファーストフードやコンビニなどのチェーン店を選びやすいものです。
理由は、客として利用した経験から、職場の雰囲気をあらかじめ把握でき、安心感があるからでしょう。さらに、友達が働いていれば、一層応募のハードルは低くなるでしょう。
福祉・介護職は経験者であっても、個別の職場の雰囲気は把握しづらいものです。未経験者であればなおさらのことです。
この際、事業所のホームページは強力な情報把握手段となります。これはすべての企業にとって同様ですが、小規模な会社にとっては最も重要な手段となります。
小規模な福祉・介護事業所のホームページは、ほぼ求人目的のために作成しなければなりません(利用者やケアマネ向けの情報は10%程度です)。
そして、福祉・介護事業への求人応募者はほぼ100%、事業所のホームページを確認すると思います。
≪求職者の行動シミュレーション≫
求職者像:子育てしながらパートで働きたい主婦(無資格)
① 「足立区で介護のパートでもしようかな」 ⇒
②ネットで「足立区 介護 パート求人」を検索 ⇒
③求人サイトが沢山出てくる ⇒
④家から近く希望が合いそうな事業所が3つ程度見つかる ⇒
⑤それぞれの事業所のホームページを検索してみる ⇒
⑥HPを見て働いてみたい事業所を検討
もしも、ホームページが無ければ、⑤の時点で敬遠されてしまいます。
そして、処遇や就労環境が変わらなければ、事業所のホームページから受ける「印象」や「好み」が応募の決め手になります。
4 ホームページのトップで職場の雰囲気を伝える(ファースト・インプレッションが重要)
ホームページで伝えるのは働きたくなるような職場の雰囲気です。
いくらお金をかけても、実際に働く職場の雰囲気が伝わらなければ、応募には繋がりません。この職場で働きたいと思ってもらえるよう、良い雰囲気を伝えて、応募する不安を払拭しましょう。
ポイントは以下の通りです。
≪スタッフの顔が見える≫
一緒に働く人たちの顔が見えるホームページにします。スタッフ紹介や仕事風景、職場環境、ご利用者とのふれあいなどを紹介します。
≪ビジュアルと動きのあるコンテンツ≫
顔の見えるホームページにするためにはビジュアルを充実させる必要があります。写真や動画を活用し、職場の雰囲気が活き活きと、イメージとして伝わるようにします。
≪詳しい求人情報は別のページでじっくりと≫
トップページで良い印象を持った求職者は、求人情報のページをチェックします。
求人情報のページには、詳しい処遇内容・各種特典・資格の無料取得・入職時の研修情報・パートや社員の紹介手当などの情報を詳しく掲載します。
≪地域の働く場所として発信することを意識する≫
福祉・介護の事業所は地域に密着した職場です。近隣に住んでいる職員は辞めにくい傾向があります。コンテンツに地域性を盛り込むことで親近感がわきます。
例:地域のお祭りやイベント情報。
地域の他の施設や活動(学校やスポーツ)との関係情報。
近隣観光地の情報。
大企業の場合、お店のある地域限定で求人情報を掲載することが難しいため、この点で小規模事業所に優位性があります。
次回、その2でホームページの印象を決める「SNS」の活用についてご説明します。