小規模デイサービスの営業マニュアル その1

 

 今回の改正により小規模デイサービスの閉鎖が増えていると言われています。
 筆者のイメージでは、元お泊りデイサービス系の民家型デイサービスや、乱立するリハビリデイサービス(正確にはリハビリでは無く機能訓練です)が苦戦しているイメージがあります。
 特に家賃などの固定費の高い都心部では小規模事業者は非常に経営が厳しいでしょう。
今後生き残っていくためにはどのような経営戦略や営業戦略が必要なのか、今回は特に営業面でのノウハウについて考えてみたいと思います。

 その前に、経営上押さえておかねばならないことを少し整理します。

 

1 家賃などの固定費に見合った経営

 営業の話に入る前に、デイサービスの経営において家賃などの固定費が非常に重要になることを押さえておかなければなりません。現在生き残っている事業所については収支バランス上何とかなっているでしょうが、新規に立ち上げる場合などはできるだけ安い固定費に抑えるよう注意しなければなりません。
 小規模デイサービスの場合は月の家賃が15万円を超えると厳しくなると考えるべきでしょう。

 

2 収支シミュレーションでは利用者の平均介護度は要介護1以下で設定

 また、収支シミュレーションをする場合は、利用者の平均介護度は1程度を目安に収支を計算します。要介護3以上の利用者は特別養護老人ホームの入居資格があり、想定利用者像としては高すぎると思います。
 もちろん、3以上の利用者も対応できるようにサービス設定を行う必要はありますが、収支バランス上は要介護1平均で計算すべきです。
 機能訓練重視でも、看護師が在籍していたり、機械浴施設などがあれば要介護3以上の利用者を対象にできますが、収支計画上は低めに設定すべきでしょう。

 

3 デイサービスの3大機能を確認

 

 営業をする前に、自社デイサービスの特徴を明確化する必要があります。分析については次に説明しますが、サービスの特徴を明確化する前に、以下の3大機能を疎かにしないことが重要です。
デイサービスでは以下の機能を、基本的にどれも疎かにしてはいけません。最低限この3大機能は提供できることが、原則になります。

① 元気になる機能訓練
※運動だけでなく会話やレクリエーション活動を含む、またそのためのバイタルチェックによる健康管理も重要
② レスパイト
※外出による家族の負担軽減だけでなく、自宅での生活も改善させることで家族の負担が軽減する
③ 入浴・食事などの在宅機能の補完
※自宅でできないことを代わりに提供することで在宅での生活が可能になる視点を持つこと

 

4 サービス特徴の確認

 

 次に、自社デイサービスの特徴を明確化します。そのために、SWOT分析が役立ちます。これは、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)
を分析して、自社サービスの特徴を明確化する手法です。

① 強み(Strength)の分析
・機能訓練加算など加算を取得している=その部分に強みがある
・在籍スタッフの資格や能力が他に比べ差別的であり、強い
・施設の特徴が差別的である(居心地の良い環境など)
・利用者が来たくなるサービス特性を持っている

② 弱み(Weakness)の分析
・スタッフの入れ替わりが激しい
・お風呂が無い
・スタッフの資格や能力で劣勢にある
・利用者の要介護度が低い、又は収入率が低い

③ 機会(Opportunities)の分析
・地域に足りない(需要が高い)デイサービス機能(例えば機能訓練重視型など)がある
・地元行政が力を入れている分野がある(認知症対応や機能訓練など)
・将来、高齢者は増加(低下)傾向

④ 脅威(Threats)の分析
・報酬改定による収益源
・デイサービスが乱立し過当競争
・人材不足、賃金の上昇圧力

これらの分析を行った上で、自デイサービスの「売り」を明確化しましょう。

 

5 デイサービス営業のポイント

 

 営業をする場合は以下のポイントを押さえてください。

① デイサービスの「強み」を可視化し、ケアマネに強みをどのように伝えるかを考える。強みやターゲットなるご利用者像、サービス内容を1分以内、30秒以内に説明できるように練習が必要です。
② 営業先には何度も通う。最低月に1回
③ 営業のたびに配布ツールを変える
 例:月間行事スケジュール・典型的利用者さんのケース事例・新人スタッフの紹介・新サービス情報・企画イベントの情報 等
④ ケアマネや担当者と話ができなくても我慢強く足を運ぶ。
※ケアマネは忙しく留守がちのことも多いですし、忙しく話を聞いてくれない場合も多いでしょう。それでも毎回パンフなどを配布します。
⑤ 新規開業の場合は、新規事業所であることをアピールする。ケアマネは新事業所の情報は必ずチェックします。

 

6 主な営業先

 

①ケアマネージャー
第一に地域の居宅介護支援事業所が営業の本命です。地域のケアマネージャの信頼に応えることが、利用者確保の第一歩でしょう。

②地域包括支援センター
地域包括支援センターの営業は主に要支援の方をご紹介してくれます。営業方法としてはケアマネと同じですが、介護予防の書類(計画書やアセスメント)は地域によって違いますので、よく話を聞く必要があります。

③医療機関(病院)
主にメディカルソーシャルワーカー(MSW)やリハビリスタッフなどに営業を行います。
特に、回復期リハビリテーション病院など、退院後のケアの在り方を考えることが重要な退院支援型の医療施設はスムーズな在宅復帰に対応できる事業所を探しています。

④介護老人保健施設
 こちらも、退所後の受け入れ態勢が重要になりますので、医療機関と同様の対応が必要になります。

⑤ 地域住民への営業
総合事業としての区市町村の取り組みや老人クラブなどでの予防事業など、様々な取り組みが行われています。そうした情報を行政から入手し、パンフレットを配布しておきます。
特に機能訓練を強みとする事業所は予防からのお付き合いが重要になります。

 

その2に続く

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