◆事業運営上必ず整備しなければならない書類
既に整備されている事業所も多いとは思いますが、ときどき内容を確認し、事業所の実態と整合性が取れているかを見ておくことも大切ではないかと思います。
(1)指定申請書の写し
指定申請書には以下のものを含みます。以下の内容に変更があった場合は変更届を提出していなければなりません。
①履歴事項全部証明書(申請時)
②事業所の平面図
③運営規程(利用料その他の費用、実施地域等の確認)
④従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表(管理者・生活相談員・看護師などの氏名及び兼務関係が明示されている)
⑤上記の従業員に関わる資格証
⑥労働者派遣会社と事業者との派遣に関する契約書の写し(看護師・機能訓練指導員等)
⑦建築物の法令適格確認書類
そもそも、指定申請書は申請時に写しを保管しておくことが大切です。そのことの説明が申請時に無い場合もありますので、新規申請時には注意しなければならない事項です。
(2)変更届の写し
上記、指定申請書関係の変更届の写しです。こちらも提出時は必ず写しを保管しておくように注意しなければなりません。
変更届が必要な場合の変更内容は以下の通りです。
①会社登記事項の変更(会社名、本社住所・電話・FAX番号、代表者及び役員、代表者及び役員の住所)
②事業所(施設)の名称・住所・レイアウト・改築・電話番号・FAX番号など
③管理者の氏名及び住所
④生活相談員、看護職員、機能訓練指導員
⑤運営規程(営業日、営業時間、サービス提供日、サービス提供時間、単位数、利用定員、従業者数、通常の事業の実施地域、利用料等)
営業日等が増加した場合は生活相談員などの人員補充が必要な場合があります。
変更届については各担当行政にご確認ください。東京都の場合は以下を参照ください。
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kourei/hoken/kaigo_lib/tuutitou/7_tuukai.html
(3)運営規程
運営規定の内容は実態に合っている必要があります。運営規定の変更届を行わずに勝手に営業時間等を変更してはいけません。
また、従業員数が変更している場合は変更届を出さなければならない場合があります。
自治体によって対応は異なるようですが、東京都の場合は申請時に以下のような記載をして有れば変更届は必要ないようです。
通所介護従事者
生活相談員 1名以上 介護職員 1名以上 看護職員 1名以上 |
運営規定に添付される利用料金は、介護保険料が改定になるたびに変更する必要がありますが、自治体により変更届が不要な場合がありますので、確認しましょう。
(4)契約書
契約書の内容については特に国として定めたものはありませんが、介護保険サービスが利用者と事業者の契約により提供されることや、サービス提供に関わる合意内容の明確化や紛争の防止を考慮し、わかりやすい内容であることが望まれます。
自治体によってひな型を提供している場合がありますので、確認したほうが良いでしょう。また、各種モデル契約書も出回っていますので、上述のポイントを押さえたわかりやすい物を利用することをお勧めします。
なお、自治体により、利用者及び事業者の利便性を考慮し、同一事業者が、(介護予防も含め)複数の種類のサービスを提供する場合、1つの契約書(共通契約書)により契約可能な場合があります。
同じ会社なのにケアマネや訪問介護・通所介護・福祉用具の担当者が次から次へと契約書を取り出して契約している風景を見ますが、利用者にとっては手間なことですから、共通契約書を利用することは良いことだと思います。
(5)重要事項説書(契約書別紙等)
重要事項説明書の内容は運営規定にプラスアルファした内容であることが一般的です。こちらもひな型や自治体からの提供がありますので「わかりやすい物」を利用したいところです。
ただし、基本的な事項は適切に説明できないければなりませんから、以下の事項は押さえておかなければなりません。
①事業者(法人)の概要
②利用する事業所の概要
③事業の目的と運営の方針
④提供するサービスの内容
⑤営業日
⑥営業時間及びサービス提供時間
⑦事業所の職員体制(従業者の職種、勤務の形態・人数等)
⑧サービス提供の担当者(生活相談員)及びその管理責任者(管理者)名
⑨利用料金
【通所介護費】
支給限度額を超えてサービスを利用する場合は、超えた額の全額負担
【加算】
延長加算、入浴介助加算、個別機能訓練加算、サービス提供体制強化加算、介護職員
処遇改善加算などの要件および額
【減算】
減算の要件(送迎を行わない場合の減算など)、減算額
【介護予防通所介護費】
【加算】運動器機能向上加算など
【自費料金】昼食、おやつなど
⑩キャンセル料
⑪支払い方法
⑫緊急時における対応方法
利用者の主治医、医療機関の名称、所在地、電話番号、緊急連絡先(家族等)、氏名(利用者との続柄)、電話番号
⑬事故発生時の対応
⑭苦情相談窓口
⑮サービスの利用にあたっての留意事項
⑯非常災害対策
⑰説明者氏名
⑱利用者署名捺印
なお、運営規定と重要事項説明書は相談室等にわかりやすく掲示する必要があります。
(6)個人情報の使用に関する同意書
ご利用者とご家族の代表者それぞれから署名捺印を頂き、同意を得る必要があります。
なお、この同意書の内容(利用範囲や保管方法など)は前述の「個人情報保護規定」に基づいて作成される必要があります。
個人情報の同意書と個人情報保護規定を別々に作成している場合は、内容に整合性があるか確認したほうがよろしいでしょう。
(7)被保険者証の写し
ご利用者の被保険者証は原本を確認し、写しを保管しておく必要があります。コピーをとった場合は、そのコピーに「○年○月○日 原本確認 ○○(確認者氏名捺印)」と記載しておくと良いでしょう。
また、期限が過ぎていたりする場合がありますから、必ず最新のものを保管しておくよう注意しましょう。
(8)事業所の宣伝・説明内容がわかるもの(パンフレット・ポスター・広告等)
虚偽や誇大な宣伝・広告が行われていないかチェックされます。作成している場合は隠さない方が良いと思います。
あまり知られていませんが、「病気が治る」や「認知症が良くなった」などの宣伝をすると各種医事法や消費者関係法令に抵触する場合がありますので、注意しましょう。
次回は、業務運営上必要な書類をさらに詳しくご説明します。