訪問介護事業 起業の手引き 5

 

15 処遇改善加算の算定

 処遇改善加算は開業当初から取得することができます。
 会社を設立すると同時に、就業規則と賃金規定などのキャリアパス要件を整備すれば、処遇改善加算Ⅰを取得することが可能です。
 申請のためのマニュアル本も出ていますので、参考にすると良いでしょう。
https://www.amazon.co.jp//dp/4539725424/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1518746828&sr=1-1」

 簡単に加算を取得するためのポイントを説明します。

①就業規則を作成する
 就業規則は自分でも作成できますし、社労士に頼めば作ってくれます。
 常勤職員の少ない当初は労基法に則った標準的なもので良いでしょう。
 厚生労働省でもモデル就業規則を提供していますので。これをそのまま使っても良いでしょう。
www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/model/index.html

 ただし、従業員が10名以上になると就業規則を労働基準監督署へ提出しなければなりません。その際は社労士に相談してください。

②キャリアパス要件に則した賃金規定を作成する
 詳しくはマニュアルなどで確認していただきたいのですが、簡単に言うと、勤務年数や資格の取得により、出世し給料が上がる仕組みを作ることです。
 パート職員でも、資格により手当を付けたり、勤務年数により時給が上がる仕組みを作る必要があります。
 そうした、昇格・昇給のルールを整備した賃金規定と昇格の基準=一般的には「職務評価の基準」を整備しなければなりません。

③資質の向上の計画
 簡単に言うと研修計画プラス評価の仕組みです。
 職員一人一人に職務に関する目標を設定し、その目標を達成するための研修計画を立てることが必要になります。
 たとえば、ある職員に「移動移乗の介助が不安なく安全にできるようになる」という目標を立てたとします。
 するとそれを達成するための具体的な研修計画を作成します。研修については社内研修でも構いません。そして、研修終了後に、管理者などが目標を達成できたかを評価します。
 この一連の流れが分かる書類が必要になります。
 具体的には、各職員A4一枚で目標と研修計画、評価が記入できるシートを作ります。

 なお、処遇改善加算の算定要件を整備するための助成金がありますので社労士にご相談ください。

 

16 特定事業所加算の算定

 特定事業所加算は開業後3か月程度で要件が揃えば算定できます。
 上述の処遇改善加算と要件がかぶる部分がありますので、両方取得することをお勧めします。
 特定事業所加算Ⅰは重度のご利用者が多くいなければ取得できないので、なかなか難しいのですが、Ⅱであれば介護福祉士が一定の割合在籍することで要件が満たせます。

 また、毎月、スタッフ会議を開かなければならないのですが、これは処遇改善加算の社内研修と組み合わせることで、効率的に実施できます。

 特定事業所加算を取得し、しっかりとその要件を維持していくことは、スタッフの定着に繋がります。
 スタッフ(特にパートスタッフ)にとっては毎月ミーティングがあり、研修がしっかりしている事業所の方が安心して働けるのです。
 もちろん、会議手当や研修手当を支給する必要がありますが、求人費にお金をかけるよりも、スタッフの定着にお金をかけた方が賢明です。
 スタッフの定着率の高い事業所は地域からも信頼され、差別化が難しい介護事業であっても差別化が可能になり、事業の拡大がしやすいでしょう。

 

17営業について

 指定申請の書類を受理されれば、もう営業を開始して良いと思います。
 指定番号が無いので若干やりにくい部分もあるのですが、手作りで良いので簡単なチラシやパンフレットを作り、新事業所のオープンを地域にアナウンスしましょう。

 営業先としては以下のとおりです。
 ①地域包括支援センター
 ②居宅介護支援事業所
 ③障害者相談支援事業所
 ④病院(メディカルソーシャルワーカーへ案内)
 ⑤その他社会福祉協議会や障害者支援センターなど

 また、区市町村の所管セクションへ出向き挨拶するとともに、地域の介護事業所の集まる会や組織などがあれば事務局を紹介してもらいましょう。
 こうした横のつながりを持つことは重要です。場合によっては人手不足で利用者の対応が困難になっている事業所から、ご利用者を消化してもらえる場合があります。

 障害者の居宅サービスなどではサービス供給が追い付いていない場合がありますので、かならず区市町村などの所管セクションへ出向いて状況を聞く必要があります。

 利用者獲得は上質なサービス提供と、ケアマネ等へのきめ細かい連絡調整しかありませんので、サービス提供責任者の力量が試される部分でもあります。

 そのためにも、サービス提供責任者は開業当初からあまりサービスに出ない体制を作りたいものです。サ責が出ずっぱりで連絡が取れないような状況は好ましくありません。
 収益的にも訪問サービスはパート職員に任せて、サ責はスタッフ指導と各方面への連絡調整に傾注することがよいと言えます。

 

続く

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