国立長寿医療研究センターが公表した「転倒予防手帳」はデイサービスなどでぜひ活用してほしいものです。
www.ncgg.go.jp/hospital/news/20171222.html
転倒予防手帳をご利用者に配布
特に機能訓練を重視しているデイサービスではこの手帳によるセルフチェックがそのままアセスメントになります。またデイサービスに来ていない時、ご自宅で過ごし方や運動についてのアドバイスになると思います。
ぜひご利用者に配布して活用していただければと思います。
要支援の方の場合、デイサービスの利用時間も限られている場合が多く、ご自宅での運動の意識付けが重要になります。
機能訓練指加算を算定する場合は、指導員がご自宅に訪問し、自宅でできる運動の提案なども必要になります。そうした場合の手助けになると考えます。
※機能訓練指加算の算定要件には
「機能訓練指導員等が利用者の居宅を訪問した上で,個別機能訓練計画を作成し,その後3月ごと に1回以上,利用者の居宅を訪問した上で,当該利用者又はその家族に対して,機能訓練の内容 と個別機能訓練計画の進捗状況等を説明し,訓練内容の見直し等を行っていること」
デイサービスのサービスとしての「転倒予防」
デイサービスの利用者は下肢筋力の低下による歩行機能障害を抱えている方が多いでしょう。「歩ける」「歩けない」の違いは要介護認定における重要なポイントです。高齢者の場合自力歩行が安定してできることが、その人の生活の中での活動性を支えていると言っても過言ではありません。
「転倒」はそうした活動性を奪う最大の要因となっています。高齢者に多い大腿骨や腰椎の骨折の原因の多くが転倒です。ですから、デイサービスの提供サービスとして「転倒予防」を掲げることは至極自然なことだと考えます。
デイサービスでの運動だけでなく日常生活の中での意識付けが重要
転倒予防には運動だけではなく、ご本人の意識の改革も含まれます。
要支援のお年寄りの中には腰や膝痛のため歩くことを嫌がる方も多いようです。中には膝が痛いので自転車に乗って買い物に行き、転倒して大腿骨を骨折するケースなどがあります。デイサービスではそうした日常生活でのリスクの意識付けも重要であると考えます。
デイサービスで下肢筋力の強化がプランニングされている場合は、必ず「転倒リスク」を伴っています。機能訓練指導員はご本人に、きちんと「転倒予防」の意識を強く持って生活することを訴える必要があると考えます。
今後重視される高齢者の栄養管理
今回の転倒予防手帳には栄養に関するチェックは盛り込まれていないようですが、下肢筋力低下をもたらすフレイルやサルコペディアの原因の一つにはバランスの悪い栄養摂取があります。
転倒予防には下肢筋力の強化を中心とした運動訓練が必要ですが、それを効果的に実行力のある形で実施するためには、タンパク質を中心とした適切な栄養摂取が必要と考えられています。
甘い物や脂質の摂りすぎによる肥満と共に筋力低下が起こると、高齢者の活動性は極端に低下してしまいます。これを防ぐには早い時期からの日常的な食事に関する介入が必要なのですが、実はこの分野は日本ではあまり進んでいない状況です。
在宅の場合、自治体の保健師や管理栄養士による栄養指導は行っていますが、疾病による栄養管理が必要な方以外の一般の方までカーバーできる状況ではありません。
最近になって食品会社などが積極的に筋力を維持向上させるためのアミノ酸サプリ(タンパク質)宣伝を始めていますが、サプリメントも良いですが、まず日頃の食事の改善が重要であると思います。
フレイルの状態で転倒を起こした場合は歩行が困難になる可能性が高く。まずフレイルにならないことが重要ですが、そのためには運動と適切な栄養摂取が欠かせません。
デイサービスでも栄養指導は必要
身長160センチの方の場合、概ね1日60グラムのタンパク質摂取が必要と言われています。
この量は、牛もも肉にすれば300グラム。木綿豆腐にすると2丁半。牛乳だと2リットル近い量になります。
高齢者の場合、かなり意識しないと摂取出来ない量です。そのためにサプリメントに頼らなければならない現実もあります。
デイサービスでも「日本人の食事摂取基準」などを利用し、バランスの良い食事をとることを呼び掛けていくべきでしょう。
www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf
以下の紹介するデイサービスでは「転倒予防」のための様々な取り組みを行っています。参考にしていただければと思います。
東京都台東区「転倒予防」デイサービス ライブリー
www.best-kaigo.com/business/lively/