今回は、前回の就労環境を整えても、どのように求人でアピールすればよいのかを考えたいと思います。
その前に、前回の説明の補足として以下のテキストもご参照ください。
「訪問系サービスのスタッフ獲得術・定着術」
上述のような努力を事業所が実践するということが前提の求人の在り方です。
4 子育てママにアピールする求人広告の在り方
求人広告としては前述の求人対策の内容をアピールします。
若い主婦向けにはやはりネットの求人サイトを利用する方が良いでしょう。
主婦専用の求人サイトでなくとも、若者が集まりやすい求人サイトに子育てママが働きやすい環境であることを具体的にアピールします。
また、パート求人広告は地域密着ですから、それぞれの地域の子育て事情を考慮した広告の出し方が必要だと考えます。
具体的なコピーとしては以下のようなものです。
⦿ 保活ママサポート。4月入園に向けた働き方を相談します。
(12月ぐらいに出すと良いでしょう)
⦿ 家族の都合で急な休みでも大丈夫
(管理者やサービス提供責任者が柔軟に対応します)
⦿ 未経験無資格の方歓迎。面倒見の良い担当者が一から不安なく働けるように指導します。
無資格の方に資格を無料で取得してもらえるようにするのは必須です。
自治体によって補助金や資格取得支援事業がありますので必ず活用しましょう。
5 自事業所ホームページの充実
子育てママ向けの求人だけでなく、すべての求人活動で必要なのが、自事業所のホームページの充実です。
介護福祉事業所のホームページは中々充実させる暇やお金が無いという方も多いかもしれません。
自事業所のホームページはご利用者やそのご家族、ケアマネージャーさん向けに作っているかもしれませんが、そうではなく、仕事を探している人向けに作ることが重要です。
ケアマネや利用者向けに作っても費用対効果から言ってあまり意味はありません。それよりも求人者向けに充実させる方が、人材確保の大きな助けになります。
ホームページのコンテンツは、サービス内容や事業所の一次情報(住所や電話など)を乗せただけの、一般的で凡庸なホームページでは求人者にはアピールしません。
求人情報があっても、給与や処遇など一般的な情報しか掲載していなければ、ほとんど引っ掛かってこないでしょう。
ポイントは「ここで働きたい!」と思わせるホームページ作りです。
筆者は魚釣りが好きです。
多少語弊があることを覚悟して言いますが、中小企業の人材募集は魚釣りに似ていると思います。
特に疑似餌を使うルアーフィッシングは、いかに魚(応募者)に餌(職場)をアピールするかが重要であり、凡庸なルアーには見向きもしませんし、同じルアーを使い続けると、見切られてしまい、ほとんど食いつかなくなります。
つまり、魚にいかにルアーを魅力的に見せるかが釣果に繋がるのです。
求人も同じで、処遇や職場の雰囲気など応募者にいかにアピールするかが成果に繋がります。
そもそもあまり事業所ごとに職場の差別化が測りにくいのが、介護福祉事業の宿命です。
職種にしても給与にしても、あまり変わり映えの無い餌が大量に世の中に漂っており、求人者としてはどれに食いつけばよいのか判断ができない状態なのです。
ちなみに、人材紹介会社などは、大きな巻き網漁船のようなもので、巨大な網を使って大量に人材を確保しようとします。そのために、広告費に膨大な経費を使い、少しでも多くに人の目に留まるようにします。
アルバイトなどの求人情報会社が頻繁にテレビCMを流しているのはそのためです。顧客である人材募集企業に少しでも多くの求人応募者を集めるためには、相当の広告が必要になります。
しかし、中小企業ではそんなに広告費を使うことはできません。
しかも、募集の対象者は事業所の周辺地域に住む人達だけです。大きな網は必要ありません。少ないターゲットに的確に届く求人が必要ですが、狭い地域といえどもターゲットはどこにいるか分かりませんので、ネット上手に活用して、アクセスしてくれるのを待つしかないのです。
6 どのように自社サイトに誘導するのか
介護業界で長く働いている人であれば、給与や休日など処遇関係の情報を見て、実体験から職場の良し悪しをある程度判断できるかもしれません。特に正社員で働きたい人は、ハローワークなどの詳細な求人情報を見て検討するでしょう。
しかし、介護業務の経験の無い、ましてや無資格の人にとってどのような事業所が自分に合っているかなど分かる由もありません。
特にパートの若いママさんなどの場合、フィーリングやライフスタイルに合っているかが重要になりますので、文字による情報よりもビジュアルや動画などの情報が重要になります。
最近、膨大なCM展開をしているindeedという求人検索サイトがあります。
こちらは今までの求人サイトと違い、例えば「足立区 介護 パート」などと検索すると、足立区周辺の介護のパート求人を検索して出してくれます。
Googleに検索ワードを入力すれば、該当する求人情報をIndeedが表示してくれるわけです。仕事を探している人はその検索画面から、各求人サイトに行き、求人内容をチェックします。
ネット上のパート求人情報を地域限定で探している人は、多くの人がこの方法で、情報を探しているかもしれません。わざわざマイナビバイトなどのサイトから地域を限定して探している人は、どんどん少なくなっているでしょう。
仕事を探している人はそこから、気になった求人情報のサイトにアクセスするわけですが、問題はここからです。
応募者は求人情報サイトの情報だけで応募することはありません。
多くの人たちがそのサイトにリンクが貼ってある(もしくは会社名などを検索して)事業所のホームページアクセスするはずです。どんな事業所か知りたいからです。
この時、開いた事業所のサイトが凡庸なもので、どのような事業所か伝わってこなければ、もう応募することは無いでしょう。
ここで「この職場で働いてみたい」と思わせることが大変重要なのです。
お金を沢山出せば、有料求人情報サイトに写真や動画を沢山掲載し、雰囲気を伝えることができますが、いかんせんお金がかかります。
できるだけ、自社サイトに誘導して雰囲気を伝えるようにすることが重要になります。
そこで「この職場で働いてみたい」と思われれば応募に繋がります。
7 どのようなホームページが採用につながるのか
では「ここで働きたい」と思わせるホームページとはどのようなものでしょうか?
いくつかサンプルのリンクを貼っておきます。
「楽しそう」「若い人が多い」「子育て中でもやっていけそう」などと思ってもらえる工夫が必要です。
そのために、まず職場の雰囲気が伝わる写真や動画をふんだんに盛り込みましょう。
サンプル
①私が昔働いていた会社です。ペッパー君などを使い職場の楽しい雰囲気が伝わるよう工夫しています。これにより、若い人の応募が増えました。
②上と同じ会社ですが訪問看護でママさんナースを募集しています。子育て支援をアピールし小さなお子さんを持つナースが増えました。
http://www.best-kaigo.com/job/nurse-info.html
③こちらは筆者がコンサルをさせて頂いている、訪問介護事業所です。若い人中心のイメージと、子育て支援、障害者ヘルパーの具体的な仕事内容を掲載しています。
先日、未経験の子育てママさんパート二人応募があり大きな戦力になっているようです。
http://sunshine-cs.com/recruit/
最後に、求人情報サイトはできるだけ切れ目なく利用することをお勧めします。
できるだけ低価格で長い期間掲載できるサイトが良いでしょう。また、自社ホームページにリンクが貼れるサイトが良いのですが、リンクを貼らせてくれないサイトもありますので注意しましょう。
Indeedはハローワークのインターネット情報も検索しますので、ハローワークについても3カ月おきに情報を更新し、絶えず求人情報が生きている状態にすることが大切です(3か月以上古い情報は後の方に行ってしまい検索がかかりにくい)。
この章終わり。