前回の続きです。
4 被保険者証と負担割合証は原本確認(必須)
介護保険のサービスを受けるには被保険者証と負担割合証をサービス事業者に提示する必要があります。これは原本を見せる必要があり、サービス事業者も原本で保険証と負担割合証を確認する必要があります。
この原本を確認した証拠として、コピーなどの写しを保存しておきますが、その際、その写しに「○月〇日 原本確認 確認者氏名」と記載すると良いでしょう。
日付はサービス提供日前が好ましいですが、多少ずれていてもしようがないでしょう。
コピーなどをいつとるかですが、大事なものなので勝手に預かってコンビニなどでコピーしてくるのも少し憚れます。一番良いのは、スマホなどで写真を撮り、事業所に戻ってプリントアウトする方法でしょう。
写真を撮った日付などが入るようにしておけばより良いかもしれません。サービス担当者会議や初回サービス時にしっかりと確認するのがベターであると思います。
また生活保護の方の介護券ですが、これをご利用者ファイルにファイリングすると量が多くなり一杯になってしまいます。介護券は年度ごとに専用ファイルにファイルしておく方が扱いは楽だと思います。
介護保険の実地指導の場合、生活保護の介護券を詳しくチェックすることはあまりありませんから、別ファイルでも大丈夫です。ただし、保存年限は同様にサービス終了後2年ですので、ご留意ください。
5 訪問介護計画書(必須)
最近では介護ソフトなどで訪問介護計画書を作成することができます。しかし、フォーマットが気に入らなかったり、自治体から推奨するフォーマットが出ていたりするとなかなか使いにくいものです。
訪問介護計画書に決まった様式はありませんが、必ず記載していなければならない項目があります。それらが揃っていればどんなフォーマットのものを使っても原則構いません。
必須項目は以下の通りです。
① 計画書の作成者の氏名、作成年月日
作成年月日は必ずもとになるケアプランの作成日より後か同日でなければなりません。
② 利用者情報等(氏名、性別、生年月日、要介護認定日、要介護度等)
③ 生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
ケアプランの2表にあるニーズです。訪問介護を利用する理由に該当するところのニーズを転記します。ただし、ケアマネージャーの力量によってあまり適切でない表現もありますので、その場合は実態に合わせて少し改変しても構わないかもしれません。
④ 援助目標(長期目標、短期目標)
こちらもケアプランの該当部分を転記しましょう。
⑤ 長期目標、短期目標の期間
⑥ ご本人及びご家族の意向・希望
⑦ 具体的援助内容
以下の記載内容がコンパクトにまとめてあるフォーマットだと使いやすいかもしれません。
1) 「サービス1」「サービス2」
援助内容の違い、曜日・時間等の違いによって、「サービス1」「サービス2」などと区
分して記載します。
2) サービス区分
これについては厚生労働省から「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」という通知が出ており、この項目に合わせて記載することが求められています。
この文書は訪問介護サービスの種類や段取りを整理したもので、排泄や入浴介助などの手順を詳しく列挙していますので、訪問介護サービスのマニュアルとしても機能します。
後ほど説明する手順書の素になるものですので、訪問介護事業者は必携の文書です。
3) サービス内容
サービス区分に応じたサービス内容を具体的に記載します。例えば、区分が「排泄介助」である時は、内容として、「トイレ利用」、「ポータブルトイレ利用」、「おむつ交換」などの具体的な内容を記載します。
また、サービスの提供方法もあわせて記載できれば、利用者にとってわかりやすいものになるでしょう。
4) 所要時間
サービス内容に記載したサービスを提供する時間です。
5)留意事項
各サービス提供に当たり留意することを記載します。
6)サービス提供曜日
7)サービス提供時間
8)算定単位
「身体1」「生活2」「身体2生活1」など
⑨週間予定表
「⑦ 具体的援助内容」で週間の予定がわかればこれは必要ありません。
⑩ 説明者・説明日
計画書の内容を説明した担当者の署名と年月日を手書きで記載します。様式としては空欄にしておけばOKです。
⑫ 利用者又は家族の同意欄
利用者又は家族が計画内容を確認し同意をした旨の署名欄です。本人の署名捺印が有れば家族のものは必要ありません。
⑬ 事業所情報(事業所名、管理者名、住所、電話など)
堺市が作成した「訪問介護計画書作成の手引き」がありますので参考にしてください。
介護保険で提供できないサービスについて
これは必須ではありませんし、重要事項説明書に記載するものですが、念のために訪問介護計画書の裏などに記載し、利用者や家族に確認してもらうのも良いかもしれません。
以下の援助は介護保険の生活援助では提供できませんのでご了承ください
(平成12年11月16日 老振第76号 厚生労働省通知)
1.「直接本人の援助」に該当しない行為
主として家族の利便に供する行為又は家族が行うことが適当であると判断される行為
・利用者以外のものに係る洗濯、調理、買い物、布団干し
・主として利用者が使用する居室等以外の掃除
・来客の応接(お茶、食事の手配等)
・自家用車の洗車・清掃 等
2.「日常生活の援助」に該当しない行為
[1]訪問介護員が行わなくても日常生活を営むのに支障が生じないと判断される行為
・草むしり ・花木の水やり ・犬の散歩等ペットの世話 等
[2]日常的に行われる家事の範囲を超える行為
・家具・電気器具等の移動、修繕、模様替え
・大掃除、窓のガラス磨き、床のワックスがけ
・室内外家屋の修理、ペンキ塗り
・植木の剪定等の園芸 ・正月、節句等のために特別な手間をかけて行う調理 等
次回はモニタリングや手順書などについて説明します。