前回の改正の影響で通所介護の収益性が落ちてきています。
今回は、加算の取得や運営方法の改善ではなく、土日や夜間に利用していない遊休設備の活用によって、収益をアップする方法についてご紹介します。
通常の事業にプラスの収益が期待できます。
カルチャー教室や会議室などとして貸出し
デイサービスの食堂フロアは、ちょっとしたカルチャー教室の授業スペースや、地域の人たちが集まる場所や会議室として活用できます。
キッチンがある場合でしたら、料理教室などにも使えるでしょう。電子ピアノなどがあればコーラスの練習場にも使えます。
また、ホワイトボードやテレビなどがある場合が多いので、通常の会議室としても十分利用価値があります。
会社などの空いているスペースをシェアする仕組みがネットで進んでいます。
基本的な情報や利用可能な日時などを公開して、利用者同士が直接スペースをシェアする仕組みです。
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固定客がついた場合、継続的な収益源になりえますので検討しても面白いと思います。
問題は利用者が来た場合、鍵の受け渡しなどにマンパワーが必要になる部分かもしれません。
もし、デイサービスに訪問介護事業所など土日に営業している事業所が併設していれば、そこのスタッフに手伝ってもらうことは可能かもしれません。
また、あらかじめ平日など営業時間中にスペアキーの受け渡しをしておくなど、工夫すれば休日にスタッフが出勤してこなくても貸し出しは可能でしょう。
カラオケ喫茶や飲食店として貸出
カラオケ機材が充実していれば、休日にカラオケ喫茶として利用することはどうでしょう。また、休日だけの飲食店としても使えるかもしれません。
自ら行うのではなく、喫茶店マスターなど、店主として休日活用してくれる人を募集して、貸し出すことも可能です。継続的に営業できるようでしたら、安定した収益になるかもしれません。
一般向けのトレーニングジムとしての営業
こちらは事業者自身が事業として実施します。
トレーニングマシンなどの機器が充実しているデイサービスでしたら可能かもしれません。
デイサービスを開業する時点で、そのような営業計画を持っていれば、設備機器の導入も配慮でき、一般向けにも使いやすい施設になるでしょう。
問題はトレーナーなどを雇わなければならないことですが、インストラクター無しでも営業は可能だと思います。
設備の使い方だけを説明して、利用者が自由にトレーニングできるようにすれば、管理人は学生のアルバイトでも可能でしょう。
専門的なトレーニングをしたい人には物足りないかもしれませんが、介護予防の観点から、元気な高齢者をターゲットにすれば、機能訓練指導員を週何日か配置して、質の高いサービスになるかもしれません。
さらに、新総合事業における予防サービスとして自治体に認めてもらえる可能性もあります。そうすれば、予防サービスの利用者も対象になるでしょう。
個人間カーシェアリングで送迎車の貸出
個人間のカーシェアリングもネット上で広がりを見せています。スペースシェアと同じように、個人間で貸し借りする方法です。
一般のレンタカーには車いすが載せられるものはほとんどないでしょう。
その意味で、ニッチなニーズがあるかもしれません。休日に車いすの家族と一泊旅行に行くなど、必要性はあると思います。
車のボディーにデイサービスの名前などが入っているので、その分少し抵抗があるかもしれませんが、マグネットシートでカバーできれば少しは良いかもしれません。
コンプライアンスについて
事業指定(運営基準等)上、営業時間外にデイサービスの施設を何に利用しようが、ご利用者へのサービスに支障が出なければ、特に問題はありません。
ただし、夜間については、利用延長を希望されるご利用者がいる場合、対応が必要になりますので、注意が必要でしょう。
また、賃貸物件の場合、会議室などデイサービス以外の目的の貸出しは、家主の許可が必要になるでしょう。さらに、貸出した場合の責任や保険などの契約事項を明確にしておく必要があります。
特に長期にわたって同じ相手に貸出すような場合は、貸出ではなく自事業化した方がメリットはあるかもしれません。
なお、宿泊場所としての利用は当然ながら別途民泊などの許可が必要になります
次期改正の共生型サービスで収益向上の可能性
次期改正で、高齢者向け通所介護と障害児向けの放課後等デイサービスが兼業できるようになりそうです。
この場合、営業時間を分ける必要がありそうです。高齢者の場合、メインニーズは平日の昼間です。放課後等デイサービスは、放課後等ですから、平日午後や、場合によっては休日が営業時間のメインになると考えます。
通所介護の設備基準で放課後等デイサービスの施設面はクリアできそうです。送迎車両は兼用可能でしょう。
ただし、障害児の受け入れのための設備の在り方と、高齢者の受け入れの設備の在り方は若干異なるかもしれません。
たとえば、高齢者はイスとテーブルが必要ですが、障害児はクッション性の良い床材を敷き詰めた動き回れる広めのフロアが必要であるなど、毎日の模様替えなど、運営方法の工夫が必要になると考えます。
問題は人員基準です。人員の一つの、児童発達支援管理責任者は高齢者介護の実務経験だけでは任用できません。また、別途「サービス管理責任者及び児童発達支援管理責任者研修」の受講が必要です。研修は都道府県などが開催しています。