実地指導が来る前に 訪問介護業務の流れを整理する その1

 

 

 お客様からのお問い合わせが多いのでコンプライアンスを踏まえたうえで、実地指導などで指摘を受けないような、訪問介護事業所の業務の流れを整理したいと思います。

 

 

無駄な業務を減らす

 

 運営基準上、必ずやらなければならないことと、必ずしもやらなくてよいことがあります。またどの程度やるのか、頻度や詳しさなども業務によっては様々であり、わかりにくい部分でもあります。

 

 そんなに一生懸命にやらなくても良い業務に時間を割いてしまって、本来やらなければならない業務が疎かになっているケースも見受けられます。

 

 この仕事はどの程度しっかりやらなければならないのか、その辺のポイントがわかりにくいという声もありますので、そのあたりを整理してできるだけ無駄な業務を減らせるようにしたいと思います。

 

 なお、各種書類のひな型はネットに沢山ありますので、これから述べるポイントを踏まえて使いやすい物を探してください。

 

 

新規ご利用者の受け入れ

 

 新規受け入れの際に必ず行うべきことと、必要な書類を整理して説明します。

 

1 サービス申込書(必須)

 サービスの申し込みは原則、本人が事業所に申し込まなければなりません。利用者にはサービス業者の選択権があります。これは介護保険法の理念の一つであり、非常に重要な要素です。

 申込書は利用者が自らの意思でサービス事業者を選択した証の一つですので、ファックスでも良いですからしっかり貰っておきましょう。

 もし、事業所で使っている申込書の「申込者欄」がケアマネージャー名になっているようでしたら「ご利用者名」に修正してください。申込者はあくまで利用者であり、ケアマネージャーが勝手に申し込んではいけないものです。

 なお、申込書に基本情報をしっかり記入してもらえば、アセスメント情報の収集に役立ちます。

 

 

2 契約書・重要事項説明書(必須)

 

 介護保険制度の重要な二つの理念を具体化している書類ですので、とても重要です。

 

 ① 利用者は契約によりサービスを利用する

 ② サービス事業者は利用者にサービス内容を説明し、同意を得てサービスを提供する

 

 それぞれの内容についてはここでは詳しく説明しませんが、自治体によってローカルルールがある場合があります。また、都道府県が基本フォーマットを提供している場合も多いので、事業地の様式を使うようにしましょう。

 場合によっては、区市町村の担当者に内容を確認してもらっても良いかもしれません。

 

 注意点として、古い様式を使っている場合、法令の改正などによって内容が不適切になっている契約書や重要説明書があります。そのため時々内容を更新しておく必要があります。

 

 基本的には介護保険法が改正する際に内容を更新するようにしましょう。報酬改定や新しいサービスの追加があったりしますので、原則3年ごとに見直す必要があります。

 3年以上同じフォーマットを使っている場合は一度内容をチェックした方が良いでしょう。

 

 なお、個人情報の利用に関する同意は本人と家族の両方から取らなければなりません。時々、本人からしかとっていない場合があります。

 

 

3 アセスメント(必須)

 

 運営基準上サービス事業者は、利用者の「心身の状況」を把握してサービス提供をしなければならないことになっています。

 つまり、ADLなどの状況をアセスメントしろということです。

 

 しかしながら、サービス提供開始時にアセスメントをするのが難しい場合があります。

 介護保険制度では各介護サービスがアセスメントしなければなりませんから、利用者が介護保険サービスを利用しようとした時、各事業者からアセスメント攻めに会ってしまうことがあります。

 

 かといってケアマネージャーが行ったアセスメントを貰う訳にもいきません。なかには参考に自分の行ったアセスメント情報を提供してくれるケアマネージャーもいますが、それでも事業者が独自にアセスメントをすることは必須になります。

 

 

アセスメントはいつやるのか

 

 アセスメントのタイミングとしては、サービス提供担当者会議の際ではなく、サービス調整や初回訪問の時が良いでしょう。

 

 サービス調整の際には、ケアプランに書かれたサービス内容を居宅において具体的に確認していきます。その際にADLやIADLの確認は必ず行いますので、メモなどでそれを把握しておきます。

 サービス開始時は契約や重要事項の説明などやらなくてはならないことが沢山あります。

 また、外部の人たちがたくさん利用者の家に来ますので、本人や家族もストレスを感じて疲れている場合が多いです。ここでアセスメントによる質問攻めは憚られるものでしょう。

 

 従って、利用者の前でアセスメントシートにチェックするようなことは避け、事務所に戻ってアセスメントシートに記載していくやり方が良いと思います。

 

 

アセスメントシートはすべて埋める必要は無い

 

 アセスメントシートにはアセスメントを行った日を記載しますが、必ずしもその日にすべての情報を把握くしなければならない訳ではありません。

 また、アセスメントシートをすべて埋める必要もありません。利用者によっては必要無い情報もあります。例えば、家族構成図や居宅内の図面なども必要に応じて作成すれば良く、必ず作らなければならに項目ではありません。

 

 最低限アセスメントで必要な情報は以下の情報です。

 

 ①アセスメント実施年月日(最初に状況把握を始めた日)

 ②アセスメント実施者(サ責)

 ③基本情報(氏名・年齢・要介護度など)

 ④ADL

 ⑤IADL

 ⑥疾病関係情報

 ⑦本人や家族の意向

 

 

 アセスメントシートは上記の内容が記載できればどんなものでもOKです。

 以下は日本介護福祉士会のものです。集めなければならない情報が沢山ありますが、これらすべてを揃えなければいけない訳ではありませんのでご留意ください。

 http://www.jaccw.or.jp/katsudo_reports/yoshiki.php

 

 

次回は被保険者証や計画書などをご説明します。

 

 

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