訪問看護の実地指導・検査対策 その3

今回は介護報酬の算定基準(指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準)に関するポイントです。

保険者である区市町村はこの基準により、介護報酬が適切に算定され請求されているかをチェックします。

また、都道府県も加算について基準の要件が完備されているかをチェックします。

いずれにしても、加算については必ずチェックされますので、書面等で必要条件がクリアしていることがわかるようにしておかなければなりません。

従って、ここでは加算を中心にポイントを解説したいと思います。

なお、医療保険の加算もこれとは別にありますが、基本的な必要書類は同じですので、同様に整備する必要があります。

医療保険の算定方法が不明な場合は、悩まずに地方厚生局の地域事務所に確認したほうが良いと思います。

➡地方厚生局地域事務所連絡先 診療報酬に関する紹介先

ここでは、介護保険加算について説明いたします。

 

(1)早朝・夜間、深夜の加算

こちらは訪問介護と同じ扱いになります。

チェックポイントを以下のようになります。

① ケアプランと訪問看護計画書に時間が明示されている(利用者に同意済み)。

② サービス開始時刻が加算の対象となる時間帯にある場合にのみ、算定できます。

③ ただし、加算の対象となる時間のサービス提供時間が全体のサー ビス時間に占める割合がごくわずかな場合においては、この加算は算定できません。

  よく問題になるのが、下線部のごくわずかな時間とはどの程度の時間かということです。1時間のサービス時間の中で30分が加算対象時間であればOKなのでしょうか?実地指導では自治体によって判断が分かれる部分もあるようです。少なくとも全体の時間の1/2以上が加算の時間になっていれば大丈夫だと思いますが、不安な場合は保険者の自治体に確認する方が良いでしょう。

【 確認 】

早朝=サービス開始時刻が6時~8時

夜間=サービス開始時刻が18時~22時

深夜=サービス開始時刻が22時~6時

 

(2)緊急時訪問看護加算

この加算を算定するためには都道府県または管轄の自治体にに算定届を提出していなければなりません。

医療保険では24時間連絡体制加算及び24時間対応体制加算と二つあり、名称も異なっていますが必要な要件はほぼ同じです。

チェックポイントを以下のように整理します。

① 同じ月に医療保険の上記の(24時間)加算を算定している場合は、介護保険の緊急時訪問看護加算は算定できない。

② 当加算は24時間いつでも訪問看護師に連絡が取れる体制が要件とされていますから、実地指導では連絡体制をどのように取っているのかチェックされる。具体的には携帯電話などの持ち方や、連絡を受ける方法を確認されます。

 ◎ 連絡担当が管理者の場合はその携帯電話番号を利用者や家族にどのような文書で知らせているのか書類で確認。

 ◎ スタッフで緊急連絡用の携帯電話を持ち回りしている場合は、その順番を記載した当番表などをチェック。

◎ 相談担当は原則、看護師か保健師とされていますが、准看護師や理学療法士などが連絡を受けて、看護師・保健師に引き継げる体制ができていれば良い。

 ◎ 利用者にはこの加算を算定していることを説明し、同意をえなければなりませんから、通常は重要事項説明書に緊急連絡先の電話番号を明記。

③ この加算を算定する訪問看護サービスを提供した場合は、早朝や夜間であっても早朝・夜間・深夜加算は算定できません。

 ◎ ただし、特別な管理が必要な利用者(特別管理加算を算定している方)の場合、1月に2回以上の緊急訪問を行ったら、2回目以降は早朝・夜間・深夜加算を算定できる。これは、特に手厚いケアの必要な利用者さんの場合、緊急訪問が頻繁に発生する可能性があり、常態化する状況もあるためだと考えます。

④ 複数の訪問看護ステーションからサービスを受けている利用者には他のステーションが当加算を算定していないことを確認すること(一人の利用者に複数の事業所が当加算を算定することはできない)。

 

(3)特別管理加算

この加算も自治体にに届出を提出していなければなりません。

特別管理加算はⅠとⅡがあります。

≪Ⅰ≫

・在宅悪性腫瘍患者指導管理もしくは在宅気管切開患者指導管理を受けている状態にある利用者

・気管カニューレもしくは留置カテーテルを使用している状態にある利用者

≪Ⅱ≫

・在宅自己腹膜灌流指導管理、在宅血液透析指導管理、在宅酸素療法指導管理、在宅中心静脈栄養 法指導管理、在宅成分栄養経管栄養法指導管理、在宅自己導尿指導管理、在宅持続陽圧呼吸療法 指導管理、在宅自己疼痛管理指導管理又は在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態

・人工肛門又は人工膀胱を設置している状態

・真皮を越える褥瘡の状態(NPUAP(National Pr essure Ulcer of Advisory Panel)分類III度若しくはIV度又は DESIGN分類(日本褥瘡学会によるもの)D3、D4若し くはD5に該当する状態)

・点滴注射を週3日以上行う必要があると認められる状態にある利用者(主治医の指示書が必要。かつ実際に週三日以上点滴注射を実施している状態)

 

ポイントは以下の通りです。

① 一人の利用者に複数の訪問看護ステーションで本加算を算定できない。算定する場合は事業所同士で合議し算定する。その情報については文書で残しておく。

② 点滴注射の実施の際は、終了後主治医に報告し、実施内容を記録書(Ⅱ)に記録する。

 

(4)ターミナルケア加算

こちらも届け出が必要です。また、24時間連絡ができる体制が確保されている必要があり、緊急時訪問看護加算の要件を満たしている必要があります。

 

ポイントは以下の通り。

① 算定は死亡月(死亡月に訪問実績がない場合でも)。

② 頻回に訪問看護が必要であり、医療保険の訪問看護が指示されている場合、死亡前、最後の訪問看護が医療保険によりるものか介護保険によるものかにより、ターミナルケア加算をどちらの保険で算定するかが決まる。

例:利用者がターミナル期になり、特別指示書で頻回に訪問看護に入っていて、14日間の特別指示期間終了後(医療保険による訪問)、介護保険の訪問を1日提供し、翌日死亡。

この場合、ターミナル加算は介護保険で算定し、医療保険では算定できない。

③ 以下の内容を記録書Ⅰ・Ⅱに明記しておくこと。

 ◎  終末期の身体症状の変化及びこれに対する看護についての記録

 ◎  療養や死別に関する利用者及び家族の精神的な状態の変化及びこれに対するケアの経過についての記録(例:本人、家族の死の受容に対してどのような対応をしたか)

 ◎  看取りを含めたターミナルケアの各プロセスにおいて利用者及び家族の意向を把握し、それに基づくアセスメント及び 対応の経過の記録(例:本人、家族がどのように最後の時間を過ごしたいと望んでいるのかを把握し、それを実現するために何が課題であり、それをどのように解決するか、また、実際にどのように対応したか)

④ ターミナルケア中に医療機関に搬送された場合、24時間以内に死亡が確定した場合は、本加算を算定できる。

 

(5)初回加算

初回加算は間違えが多い加算ですので、特に注意したほうが良いでしょう。

以下のポイントにご留意ください。

① 初回加算を算定する場合は、必ず新規に訪問看護計画書を作成しなくてはならない。

② 過去2月間において訪問看護(医療保険の訪問看護を含む)の提供を受けていた利用者には加算できない。

◎ 過去2月間とは歴月で丸々2月という意味です。たとえば4月1日に訪問し、4月2日に入院した場合、次の訪問で初回加算が算定できるのは、7月1日以降です。6月ではありません。

③ 要支援⇔要介護と区分が変更になった場合は加算可

初回加算を算定している場合、実地指導では①と②が必ずチェックされますので特に注意しましょう。

 

(6)退院時共同指導加算

病院や老健から退院・退所する際に、原則1回算定できますが。留意すべきポイントは以下の通りです。

① 算定は初回の訪問時の報酬に加算する。

② 初回の訪問が退院時共同指導を実施した翌月でも算定可能(翌々月は不可)。

③ 特別管理加算を算定できる利用者については2回算定できる(当然、共同指導が2回行われている場合のみ)。

④ 上記の場合、2か所の訪問看護ステーションでそれぞれ1回ずつ算定可能。

⑤ 1回しか算定できない場合、他の訪問看護ステーションが退院時共同指導を実施していないか確認すること。

⑥ 1回しか算定できない場合、介護保険で算定すると、医療保険では算定できない(2回できる場合はそれぞれの保険で1回ずつ算定可能)。

⑦ 共同指導の内容は必ず記録書に記録する。

 

(7)看護・介護職員連携加算

この加算は訪問介護事業所がたんの吸引等の医療的サービスを行う際に、連携する訪問看護ステーションが算定できる加算です。

連携の枠組みは制度化されており、医師、訪問看護師、訪問介護員がサービス提供体制を構築していなければなりません。

通常ですと訪問介護事業所がたんの吸引等の事業者登録する時点から連携し、研修の指導者として関わっていくことが多いと思います。

詳しくはこちらの資料をご覧ください。➡喀痰吸引等指導者講習会資料

ポイントは以下の通り。

① 訪問介護員によるたんの吸引等のサービス体制を構築強化するために、訪問介護員に同行訪問し業務状況を確認した時や、会議に出席した時に算定できる。

② 上記の連携を行った月の初回の訪問看護報酬に加算する。

③ 緊急時訪問介護加算の届け出が出ていない場合は算定できない。

④ ケアプラン上計画されている訪問看護実施の際に、訪問介護員が同行し、たんの吸引等のサービス実施状況を確認した時に、計画した訪問看護時間を超過しても、当初の計画の訪問時間以上の報酬は算定できない。

⑤ 本加算は訪問看護員のたんの吸引等の技術不足を補うことを目的とするのではなく、安全なサービス提供体制を構築する上で、医療的な知見からサービスの実施状況を評価し、医師への情報提供やサービス向上の取り組みに対し加算するものであり、介護職員の技術的指導や研修を目的した同行訪問では加算できない。

 

(8)看護体制強化加算

算定する場合は届け出が必要。

本加算は医療依存度が高い利用者が多い場合に算定できますが、基準を超えなかった月は算定できません。従ってこの加算を算定する場合は毎月基準を超えているかチェックし、記録に残しておく必要があります。実地指導では当然、すべての月の基準状況について文書でチェックされます。

以下3つの基準をすべてクリアしていなければ算定できません

① 算定する月の前3か月で、緊急時訪問看護加算を算定した利用者が50%以上

② 算定する月の前3か月で、特別管理加算を算定した利用者が30%以上

③ 算定する月の前12か月で、ターミナルケア加算を算定した利用者が1名以上

人数の計算方法は以下を参考にしてください。

 

例)特別管理加算を算定した実利用者の割合の算出方法

※6月に看護体制強化加算を算定

3月 4月 5月
利用者A
利用者B ◎(Ⅰ)
利用者C 入院 ◎(Ⅱ)

〇訪問看護のサービス提供が1回以上あった月

◎特別管理加算を算定した月 

【人数算出方法】

  ア 前3月間の実利用者の総数 = 3人

  イ アのうち特別管理加算(Ⅰ)(Ⅱ)を算定した実利用者数 = 2人 → アに占めるイの割合 = 2/3   ≧ 30% …算定要件を満たす

注意!! 基準がクリアできない月が発生した場合は届け出が必要になります。

 

(9)サービス提供体制強化加算

算定には届け出が必要です。

以下の4つの要件があり、すべてを満たしている必要があります。

① すべての看護師等への研修の実施

② すべての従業者による技術指導を目的とした会議の毎月開催

③ 非常勤職員を含めた健康診断の実施

④ 看護師等の勤続年数について、3年以上の者が3割以上

上記の要件を満たせなくなった場合は速やかに届け出が必要になります。

各要件にかかわるポイントを以下に示します。

① すべての看護師等への研修の実施

 ◎ 従業者ごとに具体的な研修の目標、内容、研修期間、実施時期等を定めた研修計画を作成し実施しなければなりません。届け出時は予定でかまいません。

個別研修計画の見本をダウンロードしてご確認ください。➡訪問看護師研修計画

この研修はパートも含めて全員が受講しなければなりませんので、欠席者は補講する等対策が必要です。実地指導では研修計画と実施記録、出席簿、研修教材など研修の実態がわかる書類をチェックされます。

② すべての従業者による技術指導を目的とした会議の毎月開催

 ◎ いわゆるケアカンファレンスであり利用者のケースをみんなで話し合う会議です。

 ◎ 月に1回以上開催する必要があります。

 ◎ 上記の研修の際に、カンファレンスを同時に開催すると参加しやすいかもしれません。

 ◎ 欠席者は別に集めて同様のカンファレンスをする必要があります。

 ◎ 議事録と参加者名簿を作成し保管しておきます。

③ 非常勤職員を含めた健康診断の実施

 ◎ パートさんも含めて全員が会社の負担で健康診断を受けなければなりません。

 ◎ 年間の健康診断の実施状況がわかる書類(受診した従業員の名前がわかる書類)と法人が支払った領収書を保管しておきます。

 ◎ 扶養の方など区市町村の特定健康診査を受ける方、は診査料を法人が立て替える必要があります。その際は、その方から受領書を貰っておきましょう。

④ 看護師等の勤続年数について、3年以上の者が3割以上

 ◎ 計算方法は次の計算書を使用します。→勤続年数計算書(東京都の計算書です。加算届の様式にエクセルシートが添付されています)

 ◎ 計算の対象となった職員が、在職する(した)ことを示す書類(在職期間と職務内容がわかるもの)=労働者台帳等を保管しておく。

 ◎ 訪問看護ステーションに所属する理学療法士、作業療法士、言語聴覚士も対象です。

 

以上、長くなりましたが各種加算のチェックポイントでした。

 

 

次回は最終回です。

訪問看護の実地指導でよく指摘される事項やその他の留意事項について解説します。

 

 

 

訪問看護の実地指導・検査対策 その2

前回の続きです。

3 運営に関する基準(運営基準)

運営基準は介護事業所を運営するにあたって、守らなければいけない基準を網羅していますが、

多くの項目があるのでここでは実地指導などで指導されやすいポイントに絞って解説いたします。

基準そのものはこちらをご覧ください。➡ダウンロード 訪問看護基準

ポイントを以下に列挙します。

(1)重要事項説明と同意は本人と家族それぞれ必要

(2)保険証の確認は原本で行うこと

(3)アセスメント=「心身の状況等の把握」は通知文で記入項目が指示されている

(4)訪問看護計画書・報告書についても通知文で記入項目、参考フォーマットが指示されている

(5)訪問看護計画書の目標評価は初回訪問後、1月程度で行う

(6)医師・ケアマネ・連携する介護事業所などとの連絡事項は必ず文書などでその事実が確認できるようにしておく

(7)必要な変更届を正しく届け出ている

 

各ポイントの解説

(1)重要事項説明と同意は本人と家族それぞれ必要

こちらはすでに実施されている事業所も多いでしょう。

介護サービスはケアマネージャーを中心に訪問介護や看護、福祉用具などの各種サービス事業者がチームとなってサービスを提供します。

チームは利用者のQOL向上のためにカンファレンスにより問題点や課題を話し合います。

ご存知のように在宅介護では利用者の家族がキーパーソンとなっている場合が多く、

大概の場合が介護ストレスに晒されており、それが利用者のQOL向上を阻んでいる場合も多いでしょう。

ケアチームはそうした家族の情報も含めて話し合い、課題や問題点を整理しなければなりません。

そのことはご利用者はもちろんご家族にも理解していただく必要があります。

重要事項説明書によるご家族の同意は、そうした介護サービスの在り方に同意していただくためにあります。

老々介護や認々介護など家族ぐるみでの支援が必要なのが在宅介護ですから、

その意義をしっかり理解しておくことが重要でしょう。

 

(2)保険証の確認は原本で行うこと

これは意外に見落とされている決まりです。

通常、コピーをファイルしておくことが多いですが、介護サービスの受給資格があるかどうかを、

被保険者証で確認するのは「原本」を確認する必要があります。

偽造の被保険者証である場合もありますし、コピーですといくらでも内容を改ざんできたりします。

被保険者証は介護保険サービスの要でもありますから、

保険証のコピーに「〇年〇月〇日原本確認 確認者氏名」と記入しておくと良いでしょう。

 

(3)アセスメント=「心身の状況等の把握」は通知文で記入項目が指示されている

厚生労働省から「訪問看護計画書等の記載要領等について」という通知が出ており、

これにいわゆる「基本情報」であるアセスメント=「心身の状況等の把握」の記録を

「記録書Ⅰ」として記録するよう指示されています。

内容は以下の通り。

①訪問看護の依頼目的

②初回訪問年月日

③主たる傷病名

④既往歴、現病歴

⑤療養状況

⑥介護状況

⑦緊急時の主治医・家族等の連絡先

⑧指定居宅介護支援事業所の連絡先

⑨その他関係機関との連絡事項

等とされています。

続いて、「記録書Ⅱ」としていわゆるサービス提供内容について以下の内容を記録するように指示しています。

①訪問年月日

②病状

③バイタルサイン

④実施した看護 ・リハビリテーションの内容等(精神訪問看護に係る記録書Ⅱには、訪問先、食生活・清潔・排泄・睡眠・生活リズム・部屋の整頓等、精神状態、服 薬等の状況、作業・対人関係、実施した看護内容等)必要な事項を記入する こと。

一般的に広まっている基本情報やアセスメント、記録書の様式でおおむねカバーできているとは思いますが、

貴事業所の様式を今一度チェックするとよろしいでしょう。

 

 (4)訪問看護計画書・報告書についても通知文で記入項目、参考フォーマットが指示されている

上述の通知文でこれらの様式も指示しています。

ダウンロードしてご確認ください。➡訪問看護計画書等の記載要領等について

なお、この計画書様式を必ず使用しなければならないわけではありません。

本様式の内容を網羅していれば、他の様式でも構わないと思います。

ちなみに本計画書には計画書作成者を記入する欄がありません。

計画書の作成は看護師でなければなりませんので、この様式を使う際は備考欄などに作成者の氏名を記入しておくべきでしょう(作成者が管理者でない場合)。

 

(5)訪問看護計画書の目標評価は初回訪問後、1月程度で行う

上記に示した訪問看護計画書には「評価」欄が設けられています。

この評価をどの程度の期間で行うかは以下のような解釈通知が出ています。

「訪問看護計画書の評価欄は、

① 計画において、目標、問題点、解決策をたて、

② ①の計画に基づき訪問看護を行い、

③ 訪問後に計画に対する評価を記載する。評価は今後の計画の立て方に活用する。

評価を記載するタイミングは、示していないが、概ね訪問開始後1ヶ月程度で評価を行うことが好ましいと考えられる。

 

ここで、訪問開始後1っか月程度としているのは、訪問看護を利用する方は退院直後や病状の悪化が想定されますから、

容態変動の可能性を考えてのことだと思います。

ある程度安定してくれば、3カ月から6カ月ぐらいでも良いと思いますが、

わからない場合は医師に確認すると良いでしょう。

 

(6)医師・ケアマネ・連携する介護事業所などとの連絡は必ず文書などでその事実が確認できるようにしておく

介護事業において記録は、電話対応時のメモや留守番電話のメッセージ、メールやLINEなどのSNSのメッセージも記録に含めます。

文字になった記録はすべて文書です。

実地指導では医師やケアマネとの連携をしっかりとっているかどうか確認するために、

そうした記録の提出を求められます。

文書にせずに電話だけで連絡を取っていたりすると、そうした記録が残りませんから、記録を残すように指導されます。

文書と言っても形式ばる必要はなく、利用者さんのファイルの最初にノート形式の用紙を一枚つけておき、

その都度、日付・連絡事項・記入者などをメモ書きしておけば大丈夫です。

 

(7)必要な変更届を正しく届け出ている

事業所に変更があった場合は10日以内に都道府県と厚生局事務所(医療)に変更届を提出する必要があります。

東京都の場合、変更届が必要な変更事項は以下の通りです(届け出事項は自治体により微妙に異なります)。

①事業所の名称

②事業所の所在地

③法人代表者(開設者)の氏名及び住所

④定款・寄付行為等及び登記簿謄本等  (訪問看護事業に関するものに限る。)

⑥事業所の建物の構造、専用区画等

⑦事業所の管理者の氏名及び住所

⑧運営規程(電話、ファックス番号、営業日、営業時間、従業者数、通常の事業の実施地域、利用料など)

 

なお、管理者以外の従業者の変更については、変更届の提出は不要です。

従業者の『数』に変更があった場合のみ、変更届が必要です。

(※運営規定の従業員数の記載方法を、「常勤職員〇名以上、非常勤職員〇名以上」としておけば、数の変更も必要なくなります)

加算が増えただけの利用料金の変更は加算届の提出で良く、変更届の提出は不要です。

なお、管理者の婚姻などによる氏名変更で、免許証が旧姓の場合、

氏名変更がわかる戸籍謄本等が必要になります。

 

 

変更届は忘れてしまいがちですが、運営規定以外の①~⑦については必ず提出するようにしたほうが良いと思います。

運営規定の小さな変更についてはついでの時でも良いかもしれませんが、半年に1回程度は事業所に変更点がないか確認するべきでしょう。

 

次回は算定基準です。

 

 

訪問看護の実地指導・検査対策 その1

 

訪問看護の指導検査対策について研修を依頼されましたので、準備の意味も含めて、記事にしてみたいと思います。

指導検査は実地検査とも申しますが、当ホームページでも対策の概要について紹介しています。

 

介護事業の場合、どのような事業でも基本的には都道府県と区市町村がそれぞれ検査に入ってきます。

 

それぞれの役所の検査はほぼ似たような内容ですが、それぞれ立場が異なります。

 

≪都道府県の検査≫

主に事業を指定した立場から(地域密着型・総合事業を除く)検査

➡各事業の指定基準に基づいた検査

≪区市町村の検査≫

主に介護保険の保険者の立場からの検査

➡適切な介護報酬算定管理(請求)をしているかの検査

※地域密着型や総合事業、施設事業を除く

 

すべての介護保険事業について以上のフレームは変わりません。

そして、検査は4つの基準に基づき実施されることになります。

1 人員に関する基準(人員基準)

2 設備に関する基準(設備基準)

3 運営に関する基準(運営基準)

4 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(算定基準)

以上の4つです。

 

当然、訪問看護事業所にもこのフレームにより検査が入りますが、都道府県は主に1~3について、

区市町村は4について、集中的にチェックしてきます。

これは先に述べた、それぞれの立場の違いからくるものです(指定権者と保険者)。

 

各基準におけるチェックポイント

さて、訪問看護の実地検査においてそれぞれの基準がどのようにチェックされるのか、

そのポイントと完備しておかなければならない書類等について、押さえておきましょう。

なお、ここでは病院や診療所の訪問看護ではなく、いわゆる「指定訪問看護ステーション」について、

説明することとします(定期巡回・小規模多機能に併設する訪問看護も除きます)。

1 人員に関する基準(人員基準)

人員基準のポイントは2点です。

(1) 看護職員(訪問看護員)は常勤換算で2.5人

(2) 管理者は常勤で保健師または看護師でなければならない

ここでよく問題になるのは、「常勤換算」ということです。

「常勤換算」とは訪問看護員として従事しているスタッフの稼働時間を足しあげて、

常勤職員が労働するべき時間(通常週40時間~35時間程度)で割った数字ですが、

詳しくは「常勤換算計算シート」(ダウンロード➡常勤換算計算シート 病院用ですが介護でも同じです)をご覧ください。

 

以下、人員基準で注意するべき点を上げておきます。

① 管理者は看護職員として換算できない

② 訪問看護サービスを提供していない時間は換算できない(移動時間を除く)

だとすると、小さな事業所や立ち上げたばかりの事業所で2.5人は無理ではないかと思えます。

まず、管理者の管理業務は1日1時間でもかまいません。

のこりの7時間は訪問看護員として働いていることにできます。

また、利用者が少なく実働時間を足しあげても2.5人にならない場合、

実態として訪問看護員が待機状態であり、利用者がいればいつでもサービスに入れる状態であれば、

実働時間と同じであるとみなしてよいことになっています。

しかし、待機状態になっていない場合(例えばどこかに出かけていたりしている場合)は換算できませんので注意しましょう。

ちなみに、このポイントは訪問介護の場合も同様です。

 

もしも、常勤換算で2.5人分を満たしていない場合は最悪の場合は指定取り消しの可能性もありますので、大変重要な基準です。

スタッフの勤務状態は適切に管理する必要があり、管理がずさんだと行政側が怪しみ、細かいところまで突っ込んでチェックされますので、

以下に挙げる書類は適切に完備しておく必要があります。

≪完備すべき書類≫

① スタッフ全員の免許証の写し

② スタッフ全員の出勤簿

③ 毎月の「従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表」 見本ダウンロード➡ 勤務形態一覧

④ 訪問シフト表

⑤ サービス提供表などのサービス提供実績がわかる書類

以下、場合によってはチェックされる書類(上の書類で怪しいところがある場合など)

① スタッフ全員の雇用契約書(労働条件通知書)

② スタッフ全員の給与明細または給与支払いを証明できる書類(銀行振り込み票など)

③ 登録スタッフの連絡先(場合によっては本人に勤務実態を確認される)

 

 

2 設備に関する基準(設備基準)

次に設備基準のポイントです。

(1) 事務室が共用の場合は、訪問看護ステーションとしての専用区画が必要

(2) 相談スペース・感染症予防の手洗い所・鍵付き書庫の完備

 

注意すべき点は以下の通り。

① 相談スペースは遮音効果のあるパーテーション(カーテンはダメ)により相談者(利用者など)の

プライバシーが適切に保護できるようになっている

② 感染症予防の手洗い所は実態として感染症予防効果が期待できる設備でなければならない

①については、個室が確保できていればOKですが、フロアーをパーテーションで区切って相談スペースとしている場合、模様替えなどによって、指定申請時と変わってしまっていることがよくあります。

東京都などでは指定申請時に写真により厳しくチェックされるポイントです。

もしも、適切でない場合は改善するように指導されます。

 

②については手洗い所が給湯スペースなどである場合、本当に感染症予防の手洗いが適切にできるかチェックされます。

また、トイレ内の手洗い所は認められない場合もあります。

手洗い場所に消毒液やペーパータオルがきちんとあるか確認しましょう。

 

設備基準に書類チェックはありません。

すべて現場の立ち入り検査によりチェックされます。

指導検査の連絡が来たら上のようなポイントをチェックし、適切でない場合は改善しておくようにします。

 

残りの基準の説明は次回行います。

日常生活支援総合事業と指定申請

Care Biz Supportが開業支援させていただいている、

なでしこケア様が6月1日墨田区向島に訪問介護事業所をオープンしました。

http://www.nadecare.co.jp/

おめでとうございます。

 

なでしこケア様は墨田区の日常生活支援総合事業も実施する予定ですが、

各区市町村の日常生活支援総合事業に新規開業で参入するためには、

各区市町村個別に事業の指定申請をしなければなりません。

この新規指定申請事務は事業所にとって大きな負担ですね。

介護事業参入者を増やしていかなければならない現状で、

事業者の負担を増やすことはいかがなものかと思います。

都道府県の指定申請によってみなし指定にするべきだと思います。

それに、区市町村の事務担当者にも大きな負担でしょう。

考え直してもらいたいです。

 

Care Biz Supportでは新規に訪問介護・通所介護事業所の開業サポートをさせていただく場合、

区市町村の日常生活支援総合事業の指定申請を1区市町村のみサービスさせていただきます。

 

その日常生活支援総合事業ですが、各区市町村によりその取り組みはかなり温度差があるようです。

お客様の話から、何も取り組んでいない市などもあるようです。

介護予防の観点から各保険者は住民の介護度を上げず老化を防ぐ努力をしなければなりません。

住民の介護度が上がる➡保険給付が増える➡厚生労働省からペナルティーが来る、

みたいな流れの中で日常生活支援総合事業は計画実施しなければならないのですが、

あまり取り組みに熱心でない自治体は住民の要介護度がそれほど高くないのかもしれません。

とはいえ、財政的にはどこも厳しいはずですから、単に介護保険事業担当の人手不足かもしれません。

 

総合事業は概ね二つの事業にわかれているようです。

一つはリハビリ、体力強化系の事業。もう一つはボランティアやシルバー人材センターなどの安価なマンパワーを利用したお年寄りの生活支援です。

後者は家事援助が中心で今後、予防の家事援助はこちらに移行するものと考えられますが、

全国的に人手不足の折、安価なマンパワーの利用は虫が良いよような気もします。

現状、要支援のお年寄りの家事支援は、足や腰が痛くて買い物や掃除などの家事がままならない方に提供されている傾向があると思います。

こうした方への支援は単なる家事手伝いではなく、できることはやってもらう支援にしなければなりませんが、

総合事業の家事援助は単なる家事手伝いになる恐れがあります。

それでは介護予防にならないのではないかという声がいずれ上がってくるような気もします。

 

もうひとつのリハビリは運動支援と言い換えてもよいと思います。

これに栄養管理など総合的な体力強化のプログラムが加わり、いつまでも元気で暮らしていけるよう支援するものになるのでしょう。

お年寄りの体力を維持強化して、要介護にしないためには運動だけでなく食事の管理も大変重要です。

必要なカロリーは摂取していてもたんぱく質やミネラル・ビタミン摂取が不足して、

栄養失調になっているお年寄りが大変多いと聞きます。

軽度の認知症により偏食傾向になったり、買い物が億劫でコンビニ食だけで暮らしているお年寄りも多いのではないでしょうか?

こうした、生活を総合的に支援しようというのが総合支援事業ですが、毎日の食事をしっかり管理するのはなかなか難しいことではないかと思います。

運動は週2回程度、デイサービスなどで行えば十分に効果は期待できますが、

日々の食事は別の介入方法を考えないと、特に独居のお年寄りにはなかなか良い対策ができないような気がします。

 

配食弁当を利用することはバランスの良い食事を継続する意味では効果的な方法かもしれませんが、

お年寄りによっては味に飽きてしまったり、好みに合わなかったりで辞めてしまう人も多いようです。

食事習慣は長年積み重ねられた習慣であり、新しい環境になじむ対応力の落ちたお年寄りにとって、

改善することが難しい習慣であると思います。

要介護になって介護サービスが厚く入れるようになれば色々な対策がとれるとは思いますが、

要支援の方や未認定の方には介入が難しい部分だと思います。

 

現在行われている管理栄養士による特定健診・特定保健指導は主に生活習慣病を予防するための栄養指導です。

太りすぎやメタボリックシンドローム対策が主眼になっており、高齢者の体力低下を防ぐ意味での栄養管理はまだ広まってはいません。

先に述べたように介護予防のための栄養管理は運動管理と組み合わせて行う必要がありますが、

今のところそのような公的プログラムは試行段階で、スタンダードな方法論が確立されているわけではなさそうです。

逆に食品会社やライザップのようなフィットネス関連企業の方が積極的に高齢者向けの「食と運動」のプログラムや情報を提供しています。

https://activesenior-f-and-n.com/

http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/120401432/?ST=health

地域の「食と運動」にどのように自治体が関与していくのか、今後の取り組みが注目されます。