実地指導が来る前に、訪問介護業務の流れを整理する その6

 

 

 

ご利用者ファイルの工夫

 

 ご利用者ファイルにどのように書類関係を整理すればよいのか、一つの例を示します。

 行政が見に来た時だけでなく、担当外のヘルパーなどが見てもわかりやすいようにファイリングしておくことが大事です。

 各種資料のファイリングの順番と内容及びポイントは以下の通りです。

 

 
要介護  
インデッスク 内容及びチェックポイント
1 連絡調整記録 メモなどもクリアポケットなどに逐一入れる
2 状況報告 ケアマネージャー等への状況報告
3 利用申込 FAXでもOK
4 保険証 原本確認の月日と確認者印を含む
5 アセスメント 基本情報を含む
6 ケアプラン 1表から4表 サ担録・照会文書を含む
7 契約書 緊急時の連絡先未記入に注意
8 重要事項説明書 料金改定時の別紙同意書含む
9 訪問介護計画書 要本人印
10 手順書 ヘルパーへの指示書などを含む
11 その他資料 行政への報告書や苦情関係などその他の資料
12 自費関係 自費契約書など自費関係書類
     
要支援  
インデッスク 内容
1 連絡調整記録 メモなどもクリアポケットなどに逐一入れる
2 状況報告 予防は毎月報告が必要
3 利用申込 FAXでもOK
4 保険証 原本確認の月日と確認者印を含む
5 アセスメント 基本情報を含む
6 ケアプラン 1表から4表 サ担録・照会文書を含む
7 契約書 緊急時連絡先は別に作成
8 重要事項説明書 料金改定時の同意書含む
9 訪問介護計画書 要本人印
10 手順書 ヘルパーへの指示書などを含む
11 モニタリング 定期評価を含む
12 その他資料 行政への報告書や苦情関係などその他の資料
13 自費 自費契約書など自費関係書類
  ※ 各書類は最新のものがトップに来るように
  ※ 緊急連絡表を別に作っている場合は、ファイルの最初に

 

 

 誰でも書類を適切な場所にファイリングできるように、この表を書庫などに張っておいたり、各ファイルのトップに綴じておいても良いでしょう。

書類を綴じる場所がバラバラになると、必要な書類があるのかどうか確認することが困難になってしまいます。結果、書類の整備自体が疎かになり、実地指導で指摘を受けるようになるでしょう。

 

ファイリングは日常業務の中で担当を決めてルーチン化する等、いつでも整理できる体制にしておきたいものです。

 

 

インデックスの作成

 

 ファイリングの際には、インデックスを貼っておくことが大切です。

 インデックスのおすすめは以下のようにパソコンで大量に作成印刷できるものです。

 

  コクヨ「合わせ名人」http://www.kokuyo-st.co.jp/stationery/awase/

 専用ソフトでラベルやインデックスを作成できる。使い方が少しわかりにくいが、慣れてくると非常に便利です。

 余裕がある時に大量に作っておくと良いでしょう。

 

 

 なお、終了したご利用者の書類はインデックスは不要であると考えます。ファイルとインデックスの張られた仕切り用紙は使いまわして、板目紙などに綴じひもで綴じておけば良いでしょう。

 

 ファイルにご利用者名をテプラなどでせっせと作っている事業所も多いかもしれませんが、テプラは結構手間がかかります。

 背表紙のご利用者名は、エクセルなどで作ったご利用者名簿の名前の部分だけを拡大印刷してカットし、「替背紙式」という背表紙に紙を差し込めるタイプのファイルの背表紙部に差し込んだ方が簡単です。

「替背紙式リングファイル」

http://www.kokuyo-st.co.jp/search/1_detail.php?sid=100117035

 

 どうしてもテプラで作りたい方は、パソコンにつながるタイプのテプラを使えば、効率的ですが、少し値段が高いです。

キングジム パソコン接続用テプラ

http://www.kingjim.co.jp/products/tepra

 

 

保存年限について

 

 介護関係書類の保存年限は規定により、

・利用者関係の資料はサービス終了後2年。

・給付関係書類は作成から5年となっています。

 

 給付関係書類が5年になっているのは、国保連などが間違えて事業者に支払ってしまった報酬の債権としての返還請求権が5年となっているためです。

 

 ご利用者の訪問計画書やアセスメントなど記録は、そのご利用者のサービスが終了してから2年間です。

 しかし、自治体によっては独自に規定を作っていて、終了後5年という自治体もありますので確認が必要です。

 最初から一律5年で保存しておいても良いかもしれません。

 

 ご利用者関係の保存ファイルは終了年ごとにまとめておきます。

 前述したように専用のファイルから外して、板目紙などに年を書いて綴りひもでまとめておけばインデックスなどは必要ないと思います。

 

 サービス提供の記録はご利用者情報の記録になります。

 従ってサービス終了後2年以上の保存が必要になるのですが、多くの事業所では月ごとや年ごとにまとめてファイリングしていることが多いと思います。

 そのため、終了したご利用者だけを抜き出して別にまとめるのは手間になりますので、しない方が良いです。

 サービス提供の記録は年月日で管理できるようにしておいた方が、請求関係の書類との突合が楽ですから、できるだけ残しておいた方が良いでしょう。

 5年ほどファイルのまま保存し、その後は年ごとにまとめておけば良いと思います。少なくとも10年程度は残しておいた方が良いかもしれません。

 

 

家族等からの開示請求

 

 亡くなったご利用者がどのような介護を受けていたかを、家族等が情報提供請求してくる場合があります。

 例えば、遺産相続などで係争している親族などが、同居家族がどのような介護をしていたか調査をしてきたりします。

 その場合、終了後2年分は必要に応じて開示する必要が出てきますので、注意が必要です。

 

 情報開示請求の手続き等については以下をご参照ください。

「福祉分野における個人情報保護に関する ガイドライン」第8 保有個人データの開示等に関する義務 P34参照

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/seisaku/kojin/dl/250329fukusi.pdf

 

 

 

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