1 必要な人員
訪問介護事業所を開業する場合最低でも以下の人員が必要になります。
① 管理者(常勤) 1人
② サービス提供責任者(常勤) 1人以上
③ 訪問介護員(非常勤可) 1人以上
以上の職種を揃えるとともに、実際に訪問介護の仕事をする人が、常勤換算で2.5人以上必要になりますが、管理者やサービス提供責任者は訪問介護員を兼務できます。
2 常勤換算とは
常勤の職員が週5日、1日8時間働く場合、1週間の労働時間は40時間になります。常勤の訪問介護員が2人、週20時間働く非常勤の訪問介護員が1人いる場合、
常勤 2人 + 非常勤 0.5人 = 常勤換算で2.5人
これが常勤換算の考え方です。
3 実際の人員体制
実際に訪問介護事業所を開業する場合、最低でも以下のような人員体制が必要になります。
①管理者兼訪問介護員 1人(常勤)
②サービス提供責任者 1人(常勤)
③訪問介護員 1人以上(非常勤可)
ただし、管理者兼訪問介護員は訪問介護員として常勤換算で1人と数えることはできません。管理業務を行っている時間(最低でも1日1時間)は訪問介護員として働いていると見なされないためです。サービス提供責任者は訪問に行っていなくても、訪問介護員として換算できます。
従って、③訪問介護員は最低でも週25時間以上訪問介護員として働けなければならなくなります。
≪開業時の人員体制(例)≫
起業時によくある人員体制です。
①管理者兼訪問介護員(代表取締役などの会社の代表者)
②サービス提供責任者(役員や正社員など共同経営者)
③訪問介護員(知り合いなどパートで働いてくれるスタッフ1~2名)
なお、サービス提供責任者が1人しかいない場合は管理者と兼務はできません。2人いれば1人が管理者と兼務することは可能です。
サービス提供責任者は利用者が40人以下であれば1人でOKですが、40人を超えると増員していかなければなりません。
4 各人員の資格基準
①管理者
特に資格基準はありません。しかし、訪問介護員を兼務する場合は訪問介護員の資格が必要です。
②サービス提供責任者
次のいずれかの資格が必要です。
(1) 介護福祉士
(2) 実務者研修修了者
(3) 旧・介護職員基礎研修課程修了者
(4) 旧・ホームヘルパー1級課程修了者
(5) 3年以上介護等の業務に従事した介護職員初任者研修課程修了者(旧・ホームヘルパー2級課程修了者 を含む。)
ただし、(5)は今後認められなくなる予定です。(2018年現在)
③訪問介護員
介護職員初任者研修課程修了者(旧・ホームヘルパー2級課程修了者を含む。)以上の資格が必要です。
5 管理者の仕事とは
法律では管理者は以下の責務を負っています。
①訪問介護事業所の従業者及び業務の管理を、一元的に行わなければならない。
②従業者に運営基準を遵守させるための業務を行う。
つまり、訪問介護事業所の仕事を統括する責任者であり所長の立場です。しかし、役所への報告など具体的な仕事を他のスタッフに任せることは可能です。その場合でも、文書などは管理者名で発行する形式になります。
6 サービス提供責任者の仕事とは
基準上、業務として規定されているものは以下の通り。
① 訪問介護計画の作成及び変更に関する業務
② 指定訪問介護の利用の申込みに係る調整をすること。
③ 利用者の状態の変化やサービスに関する意向を定期的に把握すること。
④ サービス担当者会議への出席等により、居宅介護支援事業者等と連携を図ること。
⑤ 訪問介護員等に対し、具体的な援助目標及び援助内容を指示するとともに、利用者の状況についての情報を 伝達すること。
⑥ 訪問介護員等の業務の実施状況を把握すること。
⑦ 訪問介護員等の能力や希望を踏まえた業務管理を実施すること。
⑧ 訪問介護員等に対する研修、技術指導等を実施すること。
⑨ その他サービス内容の管理について必要な業務を実施すること。
つまり、具体的な訪問介護サービスの現場責任者ということになります。
サービス提供責任者は実際に訪問するスタッフと絶えず連絡を密にしておく必要があります。
サービス提供責任者自身が日々の訪問サービスを提供することはできるだけ控え、上記の仕事にできるだけ傾注することが、質の良いサービスを提供するポイントになります。
サービス提供責任者自身が日々の訪問に負われていると、スタッフ管理ができなくなりサービスの質が低下するだけでなく、スタッフが現場で判断に迷った場合などサービス提供責任者が捕まらないとスタッフは不安になります。