通所介護 実地指導で準備しておきたい書類 ガイド 最終回

◆加算取得時必ず整備しなければならない書類

 

(1)中重度者ケア体制加算

 

①従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表

 人員基準は規定の人員プラス2人以上の看護師または介護職員が常勤で勤務していなければなりません。

 また、サービス提供時間中に看護師が1名以上勤務している必要があります。

 

②要介護3から5の利用者の人数がわかるチェックシート

 都道府県に加算の届け出を提出した際に作成した、チェックシートもしくは確認書を加算を算定している期間分作成しておく必要があります。

 前年度の実績による場合は、前年度1年分の実績、過去3か月分の実績による場合は、毎月分を作成し要件を満たしている必要があります。

 

③その他要介護度の分布がわかる資料

 該当する利用者の被保険者証や名簿、サービス提供票の控えなど利用実績が確認できる書類が必要になります。

 

 

(2)個別機能訓練加算

 

 機能訓練は通所介護サービスにおいて最も期待されているサービスの一つです。この加算は個別の機能訓練に関して計画的にサービス提供している場合に加算できます。

 この加算を算定しなくても、通所介護における機能訓練は必須のサービス内容となっています。

 せっかく機能訓練サービスを提供するのであれば、この加算を積極的に取得していく方が良いと考えます。

 どのようにサービス提供すれば加算が取得できるかは、別の機会に詳しくご説明したいと思います。

 

 なお、サービス内容によって(Ⅰ)と(Ⅱ)がありますが特に記載のない場合は共通の書類と考えてください。

 

①従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表・出勤簿・資格証(写)

 機能訓練指導員の勤務状況がチェックされます。(Ⅰ)は常勤もしくはサービス提供時間中勤務している必要があります。(Ⅱ)は加算が算定している日に勤務していればOKですが、勤務時間は概ね3時間以上(実態として個別機能訓練が提供できる時間)と言われていますが、提供する利用者数により変動してくると考えます。

 

 また(Ⅱ)の場合、地域により週3日以上勤務など規定を設けている場合がありますので、加算を算定する場合は、都道府県に確認しましょう。当然ですが(Ⅱ)の場合、機能訓練指導員が休暇や研修で不在の場合は算定はできません。

 

②重要事項説明書・パンフレットなど加算の算定を周知する書類

 加算を算定する曜日、およびそれが(Ⅰ)なのか(Ⅱ)なのかそうした情報を事業所のパンフレットなどに明記し、利用者やケアマネージャーに周知している必要があります。

 

③機能訓練計画書

 個別機能訓練計画書は、機能訓練指導員が作成しなければなりません。但し、機能訓練指導員が直接訓練しなければならないと明示されているのは(Ⅱ)だけですので、(Ⅰ)は機能訓練が計画的に行えれば良く、直接訓練の要件はありません。 

 

 なお、機能訓練計画は3か月に1度評価し見直していくことが必要です。その際、機能訓練指導員が自宅に訪問することが求められています。

 

個別機能訓練計画書に記入しなければならない内容は以下の通りです。

〇「利用者ごとにその目標」

〇「実施時間」

〇「実施方法」

〇「機能訓練指導員が自宅に訪問した年月日」

などが最低限盛り込まれている必要があります。

 

規定の様式はありませんが、書式については以下をご参照ください。

www.city.yokohama.lg.jp/kenko/kourei/jigyousya/kaigo/dei/kobetukinou.doc

 

③評価書

 個別機能訓練計画に基づいた評価は必ず必要です。評価書自体は計画書と一体的に作成しても構いません。

 以下の事項は必ず盛り込みます。

〇「個別機能訓練の効果(目標の達成状況)」

〇「実施時間についての評価」

〇「実施方法についての評価」

 

④個別機能訓練のメニューやプログラム内容等

 (Ⅰ)の場合、通所介護利用者をグループに分けて選択的にプログラムを提供することが求められていますので、メニューやプログラムの内容がわかる書類が必要になります。

 機能訓練の選択メニューは以下のようなものになります。

 

機能訓練メニュー(選択項目) 例

 

①運動機能向上系メニュー

●ひざ痛対策プログラム

●腰痛対策プログラム

●転倒防止プログラム

●各ADL/IADLに対応したプログラム  etc

 

②口腔機能向上・栄養改善系メニュー

●嚥下能力向上プログラム

●心肺機能向上プログラム

●食事のための作業療法プログラム

●コミュニケーション向上プログラム  etc

 

③閉じこもり・うつ予防系メニュー

●生きがい作りプログラム

●社会交流促進プログラム

●セラピー系(音楽療法など)プログラム

●①、②を組み合わせた複合系プログラム   etc

 

④認知機能低下予防系メニュー

●脳機能向上プログラム(知能系)

●脳機能向上プログラム(運動系)

●①、②、③を組み合わせた複合系プログラム   etc

 

 

 

(3)認知症加算

 

①従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表

 人員基準は中重度者ケア体制加算と同じです。規定の人員プラス2人以上の看護師または介護職員が常勤で勤務していなければなりません。

 

②認知症介護実践者研修等の修了証

 サービス提供時間を通じて認知症介護実践者研修等を修了した者を1名以上配置していなければなりません。

 認知症介護実践者研修等とは「認知症介護の指導に係る専門的な研修」、「認知症介護に係る専門的な研修」、「認知症介護に係る実践的な研修」等です。

 

③日常生活ランクⅢ以上の利用者の人数がわかるチェックシートなど

 こちらも、中重度者ケア体制加算と同じです。都道府県に加算の届け出を提出した際に作成したチェックシートもしくは確認書を加算を算定している期間分作成しておく必要があります。

 前年度の実績による場合は、前年度1年分の実績、過去3か月分の実績による場合は、毎月分を作成し要件を満たしている必要があります。

 

④その他日常生活ランクの分布がわかる資料

 該当する利用者の被保険者証や名簿、サービス提供票の控えなど利用実績が確認できる書類が必要になります。

 

⑤認知症の進行緩和プログラムが計画的に提供されている状況がわかる書類

 アセスメントや通所介護計画書以外に、個別に「認知症の進行緩和計画書」(例)のようなものが作成されていることが望ましいでしょう。ただし、通所介護計画書に内容が盛り込まれていればそれでOKです。

 

 認知症加算を算定している場合は、通所介護計画書をカスタマイズして、「認知症の進行緩和プログラム」の内容が記入できるようにしておくと良いでしょう。

 

 

(4)栄養改善加算

 

 本加算を算定するためには管理栄養士を1名以上配置し、専門的な栄養管理を計画的に提供する必要があります。

 管理栄養士がいて利用者が単に要件に該当しているからといって算定できるわけではありません。

 具体的には厚生労働省から出ている「栄養改善マニュアル」などに沿った形でのプログラムを提供しなければなりません。

http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/dl/tp0501-1_05.pdf

 

 人員基準や利用者の要件などに関する書類だけでなく、プログラム全体がチェックされます。必要な書類が完備しているだけでは算定できないので、説明は省きたいと思います。

 

 

(5)口腔機能向上加算

 本加算も看護師などの資格者が配置しているだけでは加算できません。

 こちらも厚生労働省から出ている「口腔機能向上マニュアル」に沿った形でのプログラムを提供しなければ加算は難しいでしょう。

http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/dl/tp0501-1_06.pdf

 

 

(6)サービス体制強化加算

 

 こちらは(Ⅰ)と(Ⅱ)と(Ⅲ)があります。特に説明がない場合は共通の事項です。

 

①従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表

 常勤換算で介護福祉士が(Ⅰ)は40%(Ⅱ)が30%以上です。また(Ⅲ)では勤続3年以上の職員が30%以上です。

 

②資格証の写しまたは勤続年数のわかる書類

 勤続年数は労働者台帳や労働条件通知書などにより確認します。この勤続年数は加算を算定する通所介護事業所に勤務した年数だけではなく、同一法人の別の事業所(例えば訪問介護など)に勤務していた期間も含めることができます。

 

③人員基準チェックシートなど

 こちらも、都道府県に加算の届け出を提出した際に作成したチェックシートもしくは確認書を、加算を算定している期間分作成しておく必要があります。

 前年度の実績による場合は、前年度1年分の実績、過去3か月分の実績による場合は、毎月分を作成し要件を満たしている必要があります。

 

 

(7)介護職員処遇改善加算

 

 (Ⅰ)から(Ⅳ)までありますが、キャリアパス要件(賃金規定など)など、行政に提出した計画書に添付した書類はすでに整備されているという前提で説明します。

 

①最新の計画書および報告書

 処遇改善加算は毎年、計画書と報告書を提出しているため、その内容で実施されているかがチェックされます。

 

②研修の実施がわかる書類

 「資質向上の目標と具体的な研修計画」を提出していますので、その内容で研修が実施されているかがチェックされます。

 「研修実施報告書」「研修資料」など実際に研修が行われていることが確認できる書類が必要になります。

 

③賃金台帳、給与明細など

 加算が該当する職員に適切に支払われてる実態がわかる書類です。また、管理者や事務職員など実際に介護業務(介護保険給付対象の業務)に携わっていない職員に支給されていないかもチェックされます。

 

④昇進昇格などが確認できる書類

 労働者台帳や辞令の控え、賃金台帳などで職員がキャリパスの計画書どおりに昇進昇格を果たしているかをチェックします。

 

⑤その他計画書に記入された事項が実施されていることがわかる書類

 資格取得のための支援や職場環境改善の状況がわかる書類です。出勤簿など書類だけでなく、購入物品などの確認をする場合もあります。

 

 

 以上、加算に関する説明でしたが、入浴や送迎に関する加算は前述の通所介護計画書などで分かるので省きました。

 

 

 

 

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