通所介護 実地指導で準備しておきたい書類 ガイド その2

◆会社経営上必ず必要な書類Ⅱ

 

(3)個人情報保護規定

 個人情報規定はその法人における個人情報の取り扱いを規定したもので、個人情報保護法に基づいて作成される必要があります。個人情報を扱う介護事業所としては整備しておいた方が良い文書であり、実地指導で作成するように指導される場合もあるでしょう。

 厚生労働省から「福祉分野における個人情報保護に関するガイドライン」が出ていますので、ご参照ください。

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/seisaku/kojin/dl/250329fukusi.pdf

 また、具体的な規定のサンプルは以下をご参照ください。

http://www.pref.osaka.lg.jp/fukushisomu/kojinjoho-fukushi/

 

(4)組織規定等

 複数の事業所を経営している場合は、法人組織の全体がわかる規定や組織図などを要求される場合があります。

 これは特に兼務関係などをチェックする場合、組織規定に基づいて調査する必要があるからです。

 会社全体の組織図は、新入社員などへの説明に便利ですので、複数の事業所がある場合は整備しておく方が良いでしょう。

 

(5)従業員名簿 (労働者台帳等)

 従業員の基本情報は入社時に一般的な様式で提出してもらうのが普通でしょう。しかし労働基準法では労働者名簿に記入しなければならない事項として、

●性別●住所●従事する業務の種類●雇入の年月日●退職の年月日及びその事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む●死亡の年月日及びその原因 

が挙げられています。

 

厚生労働省のホームページに雇用関係の各種書式見本がありますので参考にしてみてください。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken01/

 

(6)労働条件通知書(雇用契約書)

 介護関係の通知書の見本が、介護労働安定センターのホームページに掲載されていますので参考にしてください。

 http://www.dosuru.kaigo-center.or.jp/yousiki.html

 

 労働条件通知書には明示しなければならない必須事項がありますのでご確認ください。

  • 労働契約の期間に関する事項 ●就業場所、 従事すべき業務に関する事項●始業・終業の時刻、 休憩時間、 休日、 休暇、労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項(シフト)●所定労働時間を超える労働、休日労働の有無●賃金の決定、計算 ・ 支払方法、賃金の締切り・支払の時期、 昇給に関する事項●初任給の金額、諸手当の金額の明示●退職・解雇(事由及び手続等)に関する事項●雇用契約終了事由の全事項

 

 

(7)賃金台帳、給付明細書、給与振り込み明細

 当然ですが、賃金台帳と給与明細は実際に従業員に支給している内容と同じでなければなりません。

 特に処遇改善加算を取得している場合は、その内容が明示されていることが必要になります。

 注意点として管理職でも現場で介護業務に従事している場合は処遇改善手当てを支給しなければなりません。逆に、介護業務に従事していない職員に本手当を支給してはいけません。異動で事務職員になった人などに手当が支給されていないか確認しておく必要があります。

 給与振り込み明細は生活相談員などが架空の職員ではないかと疑われる場合、チェックされます。きちんと雇用され給与が支払われているかを確認します。

 

(8)職員履歴書

 採用時に提出してもらう履歴書です。労働条件通知書や従業員名簿などと一致している必要がありますが、引っ越しや婚姻などにより住所や名前が変わっている場合は住民票など変更が確認できる文書の徴取保管が必要です。

 

(9)資格証明書

 資格証明書は原本で確認することが求められています。控えのコピーに「〇月〇日原本確認」と記入し、確認者の印鑑が押されていると完璧でしょう。

 

(10)職員出勤簿

 タイムカードなど客観的な記録となっているものが望ましいですが、給与計算用に使っているソフトから出力した出勤簿でも、給与の支払い実績(賃金台帳の内容)との整合性が取れていれば大丈夫でしょう。

 注意点としては役員などで出勤記録を取っていない場合、その役員が介護現場に出ている時(従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表に名前が載っている場合)は、役員の出勤記録も適切に残しておく必要があります。

 

 

(11)会計関係書類

 介護保険事業では事業ごとに会計を区分して決算処理をすることが義務付けられています。詳細については以下のサイトをご覧ください。

http://www.wam.go.jp/wamappl/bb05Kaig.nsf/vAdmPBigcategory20/1A5D0E228DA623954925703600278835?OpenDocument

 依頼している会計士がこの規定を知らない場合があります。上記サイトの文書を印刷してお付き合いしている会計士に見せると良いでしょう。

 事業ごとの収支を決算処理していない場合は、実地指導で修正を指導される場合があります。

 

(12)設備備品台帳

 税務署に提出する決算書類で減価償却の計算用の設備備品台帳ではだめな場合があります。事業所ごとに必要な設備や備品を一覧にしたものがあれば良いのですが、実際の実地指導では直接現場で書庫や送迎車(車検証)などを確認する場合が多いので、一覧表を作成しなくても良いかもしれません。

 作成するように指導された場合は作成すれば良いでしょう。

 

 以上が介護事業を経営するうえで必ず必要な書類です。次回は実際の通所介護運営において整備しておかなければならない書類です。

 

 

 

 

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