◆事業運営上必ず整備しなければならない書類Ⅲ
(1)利用者に関する各種書類 つづき
⑩通所介護計画書
通所介護計画書の様式も特に指定されたものはありません。事業所によってはアセスメントやモニタリング、機能訓練の計画書を兼ねているものもあるでしょう。
しかし、基本的な事項として以下の規定がありますので、それらが守られている必要があります。
〇作成者=管理者(他のスタッフと協力して作成)でなければならない
〇アセスメントの結果を踏まえる(従ってアセスメントは必ずしなければならない)
〇利用者や家族の意向を踏まえる(ケアプランの内容で良い)
〇ケアプランに沿って作成されなければならない
〇援助の方向性や機能訓練等の目標(基本的にケアプランの内容で良い)
〇上記目標を達成するための具体的なサービスの内容及び手順等
〇各種加算算定の対象となるサービスを提供する場合はその内容(入浴など)
なお、計画書に示されるサービス提供時間は給付単位時間を超えていなければいけません。
7-9単位であれば、7時間ちょうどではダメで7時間15分など7時間を超えていなければなりません。
さらに、この時間の中に送迎時間を含めてはいけません。
通所介護計画書の様式として、東京都では下記の書式を提示していますのでご参照ください。
⑪通所介護記録
日々のサービス提供の記録です。
様式は特に決まっていません。提供したサービス内容が具体的に分かるようになっていれば、実地指導上は問題ありません。ただし、入浴や機能訓練など加算の対象になっている事項は必ず記録に残さなければなりません。
また、ご利用者一人一人個別に記録するか、その日の利用者全員分を1枚の用紙で記録するかも自由です。
筆者としては、日々の記録は、利用者全員分を1枚で記録したほうが効率的だと思います。日々の記録をご利用者のファイルに全部保管することは分量が膨大になるため、お勧めできません。
月の提供表などと突き合わせて、サービスを提供している実態が確認できれば良いので、利用者全員分のシートを月ごとにファイルしておく方が良いと考えます。
通所介護記録に記入するべき事項としては一般的に以下のような事項ですが、あらかじめ印刷しておいたり、チェックで済むような様式にするなどきるだけ簡便に記録できるようにします。
最近ではタブレットなどを利用して簡便に記録できるアプリなどもあります。
〇年月日
〇利用者名(あらかじめ印刷)
〇利用時間
〇バイタル数値
〇服薬
〇水分摂取量
〇レクなどの活動内容(チェック式)
〇個別機能訓練内容(チェック式)
〇食事(主菜・副菜・おやつ)
〇排泄(回数や状況)
〇入浴状況
〇特記事項
〇サービス提供タッフ職・氏名(あらかじめ印刷)
なお、通所介護記録は後に説明する業務日誌とは区別します。
〇通所介護記録=ご利用者の記録、業務日誌=事業所の記録です。
⑫連絡帳
ご利用者のご家族との連絡帳も介護記録の一部と考えて良いでしょう。
しかし、運営規定上必要とはされていませんので、サービスの一環で作成するものと考え、ご家族との信頼関係を醸成するツールと考えた方が良いと考えます。
記入する内容は通所介護記録と同じ内容プラスご家族への連絡事項となりますので、どのようなものにするかは業務の効率化とご家族へのサービス向上の観点から選択したいところです。
⑬モニタリング(評価)
要介護のご利用者の場合、モニタリングは介護記録や体力測定の記録そのものですので、特定の様式を作成する必要はないと思います。
ただし、短期目標及び長期目標に対する評価はそれぞれ設定された期間で実施する必要があるため、通常は通所介護計画書に一体化する方が便利かと考えます。
予防介護の場合はモニタリングが義務付けられていますので、別途「モニタリング評価表」などの様式で作成することが必要ですが、通常、予防介護関係の様式は、各包括で用意している場合が多いのでご相談ください。
⑭個別機能訓練関係の書類(体力測定・運動サービスの内容など)
加算を取得する場合の書類については最後にまとめてご説明しますが、加算を取得していなくても機能訓練については記録を残しておきたいものです。
運動サービスの提供は介護保険制度における通所介護サービスの役割の中でも特に重要なサービスです。下肢筋力が弱っていない高齢者などほとんどいないわけですから、週1・2回デイサービスに通い適切な運動をすることは、高齢者の体力維持強化のために非常に重要です。国の調査でも要介護度の悪化を防ぐことは明らかになっています。
従って、たとえ認知症専門のデイサービスであってもデイサービスであれば運動サービスは必ず提供したいものと思います。
加算を取得していない場合は、アセスメント、通所介護計画書、通所介護記録、体力測定記録などで、どのような運動サービスを提供しているかわかりますので、適切な記録が残っていれば専用の様式は必要ありません。
⑮当該利用申込者へのサービス提供を他の事業者へ依頼したことがわかる書類等
何らかの都合(満員・日程が合わないなど)で自事業所でサービス提供できない場合、他の事業者にサービス提供依頼をしなければなりません。
そのようなケースがあった場合は、業務日誌などにその旨を記録しておきます。
⑯居宅介護事業所への情報提供に関する記録・居宅介護支援事業者へ連絡をしたことがわかる書類等
ケアマネージャーとの連絡はファックスやメール・電話・直接訪問など様々な方法で行われます。
ファックスの場合はその物を該当するご利用者のファイルに綴じておけば良いでしょう。メールの場合は印刷して同様に綴じておきましょう。
電話・直接訪問の場合は、ご利用者ファイルの最初に綴じてある「連絡記録(支援経過)」に記入しておけばよいでしょう。
⑰相談・助言を記録した書類等
生活相談員などがご利用者から相談を受け助言をした場合などは、簡単なものであれば「連絡記録(支援経過)」に記入しておけば良いと思います。
その他、こうした相談・助言に関する資料があれば、利用者ファイルに綴じておきます。
⑱区市町村に送付した通知に係る記録 (事故報告書など)
サービス提供中に転倒事故などがあった場合は、必ず区市町村に事故報告を提出しなければなりません。
様式は区市町村の介護保険課などに問い合わせてください。
⑲利用者の届出書控等及び法定代理受領サービスの提供を受けるための援助
区市町村などへの届出などを援助した場合はその書類のコピーを保管しておきます。
⑳その他
事業所によってはご利用者の写真やご家族からの手紙、その他関係する資料をお持ちの場合もあるでしょう。
それらはみな基本的に個人情報ですので、利用者ファイルに綴じて、鍵付き書庫に保管します。
以上が個別ファイルに保管しておくものを中心にご利用者様の情報関係書類になります。
なお、「介護予防・日常生活支援総合事業」に関する各種書類は、各区市町村によって違う場合がありますので、各区市町村にご相談ください。
次回は保険給付関係の書類について説明します。