ケアマネ試験勉強法 その2

 

 前回の続きです。

 

ノートの右側に暗記すべき言葉を抜き出す 

 

 過去問が終了しましたら、左側のノートを読みながら、絶対に覚えなければならないワードを右側に書き出していきます。

 できれば赤など目立つ色で書き出すと良いでしょう。

できるだけキーワードを厳選し、ポイントだけを書き出します。あまり量が多いと効率が悪くなります。

 暗記はこれを覚える作業になります。

 

 この時点でかなりの知識が身についていると思います。

 ノートの右側は試験前のラストスパートで暗記し、少しでも多くの点を取ることを目指します。

 

 

勉強のスケジュール

 

 中央法規のワークブックは春には書店に並ぶはずです。

 法改正があるので少し遅れるかもしれませんが、2017年は2月でした。

 

 勉強のスケジュールを4月スタートでシミュレーションします(当然ですがもっと早くても良いです)。

 試験は10月初めなので期間は6カ月間です。

 

①マーカー付け(1か月)

 ワークブックは420ページぐらいありますので、114ページ 1週間で100ページ程度進めば、1か月で終了します。

 11時間程度あれば可能かなと思いますが、同じ内容のものが何度も出てきたりしますので、早く進む時と、進まない時があるかもしれません。

 単なるマーカー付けですから、電車の中でも可能です。隙間時間に処理していきましょう。

 

②ノートの左側作成(4か月)

 ノート作成作業は時間がかかりますが、ながら作業でできますので、夕食後の1時間程度リラックスしながらやって行けばいいと思います。私はTVを見ながらダラダラとやっていました。

 何も勉強机に向かって必死に勉強する必要はありません。あくまで作業と割り切って、家事の合間や、子供の世話の合間に行ってください。

 

 1カ月で100ページ程度ですから、134ページが目標です。1週間で25ページ程度こなしてください。

 ノート作成ではどうしても見栄えを良くしようとしてしまいます。しかし、見栄えを重視すると時間がかかりますから、自分が分かれば良いレベルで妥協しましょう。

 

③過去問・模擬問題集(1週間)

 試験1か月前です。ここからは少し頑張って、集中して勉強するようにしましょう。

 過去問は2年分で120問です。模擬問題は200問程度あります。両方やる人は少し時間を割かないとならないでしょう。

 答えの確認と知らない知識のノート転記併せて、12時間程度あればすべてやることは可能だと思います。

 

③ノートの右側作成(3週間)

 この作業も12時間ぐらいで完了できると思います。

 ノートが3冊あれば11週間です。

 

④暗記(1週間)

 試験前1週間はノートの右側を中心にただただ暗記します。暗記の作業はこれだけです。

 ノートの内容確認は試験場でも最後の最後まで粘って行いましょう。

 

 

来年度は改正部分が必ず出る

 

 ノートを作成する場合、来年度の法改正部分は重点的にチェックするようにします。

 各種基準や新加算など、必ず出ますので、絶対にマスターするようにしてください。

 

  また、中央法規の過去問には、過去の出題傾向がキーワードで整理されています。これを見ると、毎年必ず出題されるキーワードや1年おきに出題されるキーワードがわかります。ワークブックの出題ランクと合わせてノートを作成する際に参考にすると良いと思います。

 

 

 

加算の算定条件

 

 ワークブックには各種加算の算定条件がすべて出ているわけではありません。

 時間に余裕がある場合は、都道府県などの介護保険セクションのホームページで各種加算の算定条件をチェックしても良いかもしれません

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kourei/hoken/kaigo_lib/tuutitou/index.html

 ちなみに来年度強化される、訪問介護とリハの生活機能向上連携加算は必ず出るのではないかと読んでいます。

 

 

高齢者の病気の知識

 

 高齢者の病気に関する知識は、かなり細かい部分まで出ることがあります。

 簡単ないようでしたらWAMNETの「高齢者に多い疾患の基礎知識」をチェックすると良いでしょう。

http://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/kaigo/caremanager/caremanagerworkguide/caremanagerworkguide_14.html

 

 もっと深く勉強したい方はNHKの「きょうの健康」が良いと思います。

http://www4.nhk.or.jp/kyonokenko/

 高齢者に多い病気の知識をかなり詳しく解説してくれます。テレビを録画しても良いですが、面倒な人は、図書館でバックナンバーを借りてきても良いのではないかと思います。

 

 「きょうの健康」のテキストはケアマネの仕事をする人なら是非読んでおきたい雑誌です。最新の病気の知識が載っていますので、継続的にチェックしたいものだと思います。

 

 

試験本番は集中力あるのみ

 

 本番は120分で60問を解かなければなりません。

 1問2分しか使えません。私の作戦は以下の通りです。

 

1度読んで明らかに○か×か分かる選択文だけチェックしてどんどん先に進む。

②ただし引っかけがあるので、選択文はかなりじっくり読まなければならない。

③この方式により1時間で60問をチェックする。

④残りの1時間でよくわからない問題に取り組む。

⑤最後の最後まで粘る

 

 前日はしっかり睡眠をとりましょう。

 前日の夜と、当日の朝はしっかり糖質を取り、脳に栄養を与えましょう。

 

以上この項終わり。

 

ケアマネ試験勉強法 その1

 

 

 今回は趣を変えてケアマネ試験の勉強法について書きたいと思います。

 

 このような仕事をしていることもあり、また、今後自ら介護事業をやっていきたいという目論見もあるため、今年度のケアマネ試験を初めて受験しました。

 

 結果は、60問中53問正解(正答率88%)で無事一発合格できました。

 

 90%を目指していたのですが、試験時間が足りず、最後の方は焦ってしまい、思ったより手こずった感がありましたが、結果としてはまずまずという感想です。

 

 今回はケアマネ試験に挑む方に向けて、自己流ですが勉強法をご紹介しようかと思います。この勉強法はケアマネだけでなく他の資格試験でも通用すると思います。

 

 

使ったテキストは3

 

 テキストは中法規出版の以下の3冊のみです。

 

ケアマネジャー試験 ワークブック2017 3,024円(税込)

ケアマネジャー試験 過去問解説集2017 3,024円(税込)

ケアマネジャー試験 模擬問題集2017 3,024円(税込)

https://www.chuohoki.co.jp/skillup/manager/index.html?limit=20

 

 中央法規出版からお金をもらっているわけではありませんが、介護福祉士の過去問題集も使いやすく、本屋で立ち読みして他のテキストと比べてみると、やはりケアマネ試験でもこのテキストが使いやすいと判断しました。

 講座などは受講していません。テキストのみの学習です。

 

過去問だけでは合格ラインは難しい

 

 介護福祉士の場合は過去問だけでも合格できますが、ケアマネの場合は過去問だけでは合格は難しいと感じました。

 ケアマネ試験の出題範囲を網羅している「介護支援専門員基本テキスト」は1608ページもあり、かなり膨大な量です。

http://www.nenrin.or.jp/publishing/caremanager_1.html

 この量をカバーするためには過去問だけでは不足だと思います。

 

 中央法規のワークブックは出題範囲をほぼ90%カバーしており、こちらで勉強することで合格ラインまでの知識が身に着くと思います。

 

 

勉強は作業と考える(重要)

 

 ある程度ケアマネ試験の内容を知っている人であれば、過去問は後回しで良いでしょう。

 どんな問題が出るのかわからない人は直近の過去問をさっとやって雰囲気をつかんでも良いかもしれません。

 

 まずは、ワークブックにマーカーを引く作業です。

 この時点では暗記する必要はありません。暗記は最後の最後の勉強方法です。

 あまり早い時期に暗記しようとしても、試験の頃には忘れてしまう場合もあります。

 また、法制度など体系的に覚えた方が良いものは全体を理解してから暗記したほうが覚えやすいと思います。

 

 ワークブックに目を通しながら以下の事項にマーカーしていきます。

 

①自分の知らない知識

②これは出そうだと思う部分(特に間違いやすそうな部分)

 

 ワークブックには頻出分野にABとランクが付けられていますが、マーカー付けの際はランクは無視し淡々と作業に没頭します。

 

 暗記は結構ストレスですが、テキストを読みながらマーカーを引く作業は、比較的楽にできるはずです。ほとんど読書と同じです。

 夕食後テレビを見ながらでもできます。私は、時々お酒を飲みながらこの作業をしていました。

 

 おそらくこの作業をしなければ、新総合事業や地域支援事業などのややこしい体系は理解できなかったでしょう。

 これらの事項は過去問だけではなかなか理解できません。

 

 

ノート作成作業

 

 マーカーを引き終えたら今度はそれをノートにまとめる作業です。

 私の使ったノートはA5版のコンパクトで持ちやすい物です。

 最後の暗記はこれで行いますので、持ちやすい物が良いです。

 

 まとめ方は自分で理解できればどんな形でも結構ですが、コンパクトにまとめる方が後々楽かと思います。

 テキストを丸写しするような方法は時間の無駄です。要点だけをコンパクトにまとめましょう。

 

 重要なのはノートの片側(左側)にまとめていくことです。右側は左側がまとまったあと暗記ポイントを抜き書きする用にとっておきます。

字が汚いですが自分で分かればそれでいいです

 

 だいたい3冊程度のノートが必要だと思います。できるだけ良い紙を使っているノートと、書きやすいペンを使ってください。作業が楽になりますし、結構楽しめます。

 マーカーなどで強調したりカラフルにすることは勝手ですが、時間がかかりますので、私の場合は黒1色です。

 

 

ノートの左側作成が済んだら過去問を解く

 

 ノートにまとめたことである程度の知識が身についているはずです。

 次に過去問に取り組みましょう。これで現在の力量が確認できます。7割正答できれば合格は近いです。

 既に過去問をやってしまっている場合は、模擬問題を解きます。

 

 過去問を解く際も覚えるのではなくクイズに答えるように解いていけば良いです。

 初めて試験に挑戦する人は、過去問に取り組むことで、試験の出題の癖がわかります。

 結構細かい知識が必要なこと、引っかけがたまにあることなどを理解します。

 

 過去問や模擬問題をやりながら自分の知らない知識が出てきたらマーカーをします。そしてマーカーした部分をノートに追記します。

 

 次回に続く。

 

 

 

パブコメから次期介護保険改正の全容(居宅基準)が明らかに その2

 前回の続きです。

 次期改正の居宅サービス関係のトピックを取り上げます。

 

 

福祉用具貸与の全国平均貸与価格の利用者への説明義務化

 

 地味ですが、少々面倒な義務化です。

 

 福祉用具貸与については来年度より、「福祉用具届出システム」が稼働し、3010月には全国平均貸与価格が公表されるようになるようです。

http://www.techno-aids.or.jp/visible/index.shtml

 これにより福祉用具貸与事業者は福祉用具の平均貸与価格を把握できるようになります。

 

 福祉用具貸与をする場合は自事業所が貸与する価格を示すとともに、当該福祉用具の全国平均価格を利用者に示さなければならないことになるわけです。

 検索はTAISコードなどで簡単にできると思いますが、問題なのは現在の自事業所の料金設定が全国平均よりも高いときは、料金改定をする必要が出てくることです。

 

 あくまで事業者の判断ですが、全国平均よりも高い場合は同価格程度に改定したいところです。

 福祉用具の料金改定は既に貸与している用具にも及びますから、それも変更する場合は作業としてはかなり面倒になるでしょう。

 

 また、平均価格は逐一変動する可能性がありますから、それに追随して料金を変動させる必要が出てきます。少しでも平均価格が下がり自事業所の価格よりも安くなれば、そのたびに貸与価格を変えなければならないという、面倒な作業が発生する可能性があります。

 

 

平均価格は福祉用具貸与計画書に明示か

 

 平均価格の説明の仕方は、自事業所の貸与価格と平均価格を福祉用具貸与計画書に併記して説明する方法がもっとも良いと思います。

 福祉用具貸与計画書を作成する際に平均価格を調べ、もし自価格が高い場合は修正する必要があるかもしれません。

 

 また、次期改正では、価格の上限額が設けられるようですので、それを超えた価格設定はできなくなります。

 

 

商品の説明が義務化

 

 また、次期改正では「貸与しようとする商品の特徴」や「機能や価格帯の異なる複数の商品を利用者に提示すること」も同時に義務化されます。

 

 こちらは現状でもカタログを利用して説明していることと思います。

 今後はこの手続きが必須となります。

 利用者に説明なく事業者が勝手に商品を選択して提供してはいけません。

 

 ちなみに「福祉用具選定理由」という言葉があります。

 これを、「福祉用具専門相談員がなぜその商品を選定したか」という理由であると理解して、計画書にその理由を記入している事業者がいますが、本来は、「商品」の選定理由ではなく、特殊寝台や車いすなどの福祉用具の種類に関する選定理由です。

 

 そして、特殊寝台や車いすを使わなければならない理由は、福祉用具専門相談員一人が考えるのではなく、あくまで本人及びケアマネ他の専門職がサービス担当者会議などで話し合い、選定するものです。

「介護保険における福祉用具の選定の判断基準」

http://www.city.omihachiman.shiga.jp/cmsfiles/contents/0000008/8828/yougubetu.pdf

 

 今回、商品の説明が義務化されたことで、商品の選択は、福祉用具専門相談員が本人や家族にその特徴などを説明して選択することがはっきりしました。

 福祉用具貸与計画書には種類の選択理由を記入し、必須ではありませんが、場合によっては「商品の特徴」という欄を設けるなりして、明記しても良いでしょう。

 

 

ケアマネージャーの主治医への情報提供義務化

 

 以下の2点が義務化されます。

 

①意見を求めた主治医に対してケアプランを交付すること

②把握した利用者の状態等について、主治医に必要な情報伝達を行うこと

 

 これらの情報提供をこまめにやっているかどうかで、居宅介護支援事業所の評価が分かれるようになるかもしれません。

 医師と対等に話ができる資質をケアマネージャが持つことを求められていると思います。

 医師は日常生活の状態まではなかなか把握できませんから、食生活や服薬状況、ADLの状況などは介護職が把握して情報提供してほしいという趣旨だと思います。

 

 

身体的拘束等の適正化

 

 施設や居住系のサービスで身体拘束に対する管理が厳密になります。

 以下の項目が義務化です。

 

①身体的拘束等の記録

②身体的拘束等の検討委員会を3月に1回以上開催し、その結果について従業者に周知徹底を図る

③身体的拘束等の適正化のための指針の整備

④研修を定期的に実施する

 

 今後は、実地指導などではこれらの実施を裏付ける資料や記録がチェックされるようになります。

 

 不適切な身体拘束や虐待は行政の指導対象になるだけでなく、事業所の存続も危険にさらすものです。

 今回義務化される事柄を適正に実施していても、たった一人の職員の行為により問題が発生する可能性があります。

 

 不適切な身体拘束や虐待を防止するには、上記の義務化された事柄を実施すればよいわけではありません。虐待を発生させない職場づくりが重要であり、そのためには管理者や経営者の意識が重要になると考えます。

 

 介護現場での不適切な身体拘束や虐待を防止する方法については、こちらの記事も参考にしてください。

http://carebizsup.com/?p=1084

 

 

パブコメから次期介護保険改正の全容(居宅基準)が明らかに その1

 

 

 

 来年4月より施行される改正介護保険法の各種基準に関するパブリックコメント募集が始まりました。

「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(仮称)案等に係るパブリックコメントの開始について」2017/12/4

 

 この内容が介護保険事業(居宅サービス)の各種基準の改正点と言ってよいでしょう。

 報酬関係についてはまだ全貌はわかりませんが、基準面の変更点はこのパブリックコメントが全容になると考えます。

 

 今回はこの改正内容のトピックをご取り上げたいと思います。

 

 

居宅介護支援事業所の管理者は2021年から主任CMへ

 

 経過措置を設けて2021年に居宅の管理者は主任ケアマネージャーでなくてはできなくなります。

 

 経過措置の内容はわかりませんが、現在、居宅支援事業所の管理者で、主任CMではない人は、この経過期間中に研修を受け、主任CMにならなくてはいけないという措置になるのではないかと予想されます。

 

 

主任CMの争奪戦も

 

 すべてのCM管理者が研修を受けられるよう、区市町村が配慮してくれることは考えますが、現任CMが研修を受けられない場合、主任CMを新たに雇用しなければなりません。

 そのため、2021年に向けて主任CMの争奪戦が起こるかもしれません。

 

 居宅介護支援事業者は、2021年に向けて、主任CMの確保に努力する必要があります。そのためには、現任管理者の継続的な雇用のための処遇面や任用面での優遇を図る必要があるかもしれません。

 

 CMとしての能力が劣る場合や、CM業務をあまり行っていな管理者は、主任CMの研修が受けられない場合も考えられます。

 今のうちから2021年以降の業務継続に向けて、業務能力のあるCM管理者の確保を進めていくべきでしょう。

 

 

訪問介護に新たな義務規定

 

 以下の基準が加わるようです。

「訪問介護の現場での利用者の口腔に関する問題や服薬状況等に係る気付きをサービス提供責任者から居宅介護支援事業者等のサービス関係者に情報共有することについて、サービス提供責任者の責務として明確化する。」

 

 上記の運営基準が加わると何が変わるでしょうか?

 

 まず、運営規定にこのサービスの提供を明示しなければならないでしょう。また、アセスメントにおいて口腔や服薬に関する項目を必ず入れる必要があります。

 さらに実地指導などで、この情報提供の事実があるかどうかの確認がされると考えなければなりません。

 ケアマネへの情報提供や連絡時に少し意識してこの情報を伝えるようにする必要があります。

 

 

訪問介護員への研修が必要

 

 口腔に関する問題や服薬をしている利用者は大勢いますので、多くに利用者にこの観点での観察が必要になります。

 訪問介護員が服薬状況に関して日々注意しながらサービス提供をしていく姿勢が必要になりますので、研修などで意識付けをしていくことが重要でしょう。

 

 口腔に関してはアセスメント時に特に問題が無くても、気が付けば硬いものが食べられなくなっていたり、嚥下状態が悪化していたりすることは十分に考えられます。

 サービス提供の中での継続的な観察が必要になると思います。

 

 昨今、要介護度を上げるフレイル(虚弱)やサルコペニア(筋肉減少)の原因の一つとして、高齢者の栄養問題が大きく取り上げられています。

 口腔の問題だけでなく、利用者の食生活全体に意識を向けるようにしていくことが、今後さらに重要になると考えます。

 

 

 共生型サービスの新設

 

 今改正の目玉の一つでしょう。

「共生型通所介護については、障害福祉制度における生活介護、自立訓練、児童発達支援又は放課後等デイサービスの指定を受けた事業所であれば、基本的に共生型通所介護の指定を受けられるものとして、基準を設定する。(居宅基準及び地域密着型基準(新設))」

 

 これは介護保険法の改正ですから、障害サービスからの参入基準の緩和が示されていますが、同様の改正が障害者総合支援法の方でもなされた場合、介護事業から障害サービスへの参入基準緩和となります。

 

 逆読みすれば、通所介護と生活介護、自立訓練、児童発達支援又は放課後等デイサービスの共生型通所介護が可能になるということです。

 具体的な指定基準がわかれば指定を受けるか検討してみる価値はあると思います。

 

 共生型通所介護の内、老人デイサービスと放課後等デイサービスは施設設備の有効利用という観点から、事業として有望であると考えます。

 平日日中のサービス提供が中心の老人デイサービスに、夕方から夜、休日が中心の放課後等デイサービスを合体させることができます。

 賃料や車両費など固定費の無駄を省けますので、経営上非常に有望でしょう。

 共生型通所介護の具体的な説明は以下の記事をお読みください。

 http://carebizsup.com/?p=951

 

 なお、この共生型サービスは短期入所生活介護でも実施される予定です。

 

 次回は続きをご説明します。

 

 

 

虐待・身体拘束の実態について その3(虐待防止になる記録のとり方)

 

 

 今回は現場で身体拘束や虐待が起こらないようにするためにどのような取り組みが必要なのかを考えてみたいと思います。

 

記録は防衛手段

 

 前回、介護が事故や訴訟のリスクを抱えた仕事であることを述べました。

 まず、経営者や管理者がそのことを踏まえたうえで行動していくことが大事だと筆者は考えます。

 

 認知症の利用者が動き回るからと言って、身体拘束して事態を収拾しようとするよりも、動き回る状態でいかに介護するかを考えなければいけません。それにより転倒事故が起こったとしてもその事態を受け入れて、対応する方が事業へのダメージは少ないのです。

 

 しかし、それには条件があります。

 それは記録を適切に残しておくことです。

 適切な記録がなく事故が起こった場合、その事故の原因を行政や国保連などの第三者機関が客観的に把握することができません。結果としては事業者の責任が重くなってしまう場合もあります。

 

 裁判になった場合、記録による証拠が不確かであると、事業者にとっては不利になります。

 日頃から客観的な事実を記録に残し、第三者が見てすぐ理解できるようにしておけば、その事業所の記録は証拠としての信頼性が増します。結果、事業者にとって有利に働くことになります。

 

困難ケース記録が虐待を防止する

 

 介護記録は日々の仕事としてルーチン化しており、バイタルや食事・活動記録などは日ごろから記入することが習慣化していることと思います。

 これがまず前提となります。

 そうした日頃の記録の積み重ねが、事業所の記録の信頼性を高めますから、これらのルーチンワークを怠ってはいけません。

 その上で、事故の可能性がある利用者(例えば転倒の危険性があるのに勝手に動き回る利用者など)困難ケースの記録を取って行くことが大切で、これが虐待を防止する結果にもなります。

 

困難ケース記録のとり方

 

 安全の確保が難しい、又はなんらかの事故が予想される利用者に対してサービス提供をせざるを得なくなった場合、管理者などの判断により、日頃の記録とは別に、困難ケース記録を記入するようにします。

 

 様式は特にありません。白い紙や専用のノート(「困難ケース記録ノート」等)に記入しても良いでしょう。

 記録に必要な事項は以下のようになります。

 

 ①利用者氏名

 ②困難ケース記録を開始した経緯  

  ※なぜこの記録を取るようにしたのか。安全の確保できない、またはなんらかの事故が予想されることを具体的に書く。

 ③問題が発生した日時

 ④問題が発生した場所

 ⑤どのような問題が発生したのか

 ⑥対応方法

 ⑦対応者

 ⑧記録者

 ⑨事後の対応・経過(必要に応じて)

 ⑩写真などの証拠物件の存在(必要に応じて)

 

 この記録は当然ながら、外部に見せることを前提に書かなければなりません。行政やご家族が見ても信用してもらえるように、具体的に客観的に書く必要があります。

 介護者の主観や苦情じみた書き方は客観的な記録では無いので、第三者に対しては信頼性を損なう結果になります。

 

記録は正直に書かなければならない

 

 さらに、利用者の問題行動に対して職員が不適切な対応をしてしまった場合は、それも隠さず記録する必要があります。

 職員のミスは職員のミスとして別に対処すればよく、別に業務日報などにその事実を記載し、改めてその職員の指導を行うようにします。

 

 困難なケースですからすべての職員が適切に対応することは難しいことです。ミスが起こる可能性も高くなります。それを前提にサービス提供する腹積もりが必要なのです。

 

 最終的に、事業所がこの困難ケースに対して何とか対処しようとしている様子がこれらの記録から読み取れれば、記録は成功と言えます。

 

組織的な対応の重要性

 

 基本として虐待や身体拘束の誘惑にかられるようなケースが発生した場合は、まず事業所全体で対応するようにします。

 管理者や責任者はスタッフからのそのような情報発信に敏感でなければなりません。

 

「誰それ(利用者さん)がなかなか言うこと聞かなくて・・・」などというちょっとしたボヤキ発信を敏感にキャッチできるようにならなければならないのです。

 たとえば利用者の自室で一対一でサービス提供するような施設や訪問介護などの場合、そのスタッフが密室で何をしているのか分かりませんから、スタッフがケアに困難性を感じていたり、苦労している場合は早急に救援の手を差し伸べてあげる必要があります。

 それを放置しておくことで、虐待や身体拘束は発生します。

 

 困難ケースの記録を取ることで、介護職員の資質の向上に役立つことは言うまでもありませんし、事業所で話し合いながら対応することで、事業所のサービス能力も上がります。

 

 難しいご利用者はみんなで対応して、記録を取る。

 

 それにより安易な身体拘束や虐待は減らしていけると考えます。

 

 

 

 

虐待・身体拘束の実態について その2

 

 

スタッフが虐待や拘束だと思っていない問題

 

 身体拘束は、介護保険の指定基準上、

「当該入所者(利用者)又は他の入所者(利用者)等の生命又は身体を保護するための緊急やむを得ない場合」

 のみ認められています。

 いわゆる「切迫性」「非代替性」「一時性」の三つの要件を満たし、かつ、それらの要件の確認等の手続きが極めて慎重に実施されているケースに限られています。

 

<三つの要件を今一度確認>

◆切 迫 性

利用者本人または他の利用者等の生命または身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと

◆非代替性

身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替する介護方法がないこと

◆一 時 性

身体拘束その他の行動制限が一時的なものであること

 

 さらに「身体拘束廃止委員会」等のチームで検討、確認し記録しておくことが必要になります。

 多くの介護従事者は、こうした原則を研修などで教えられています。それにもかかわらず、グレーゾーンの拘束や不適切なケアが行われてしまうのは、それらの行為を拘束や虐待だとと認識できないからでしょう。

 

 

自分がされたら嫌なことをしないという感覚

 

 グレーゾーンや不適切なケアは、例えば、人であれば「自分がされれば嫌なこと」であるという、素朴な感覚が欠如しているところから生まれていると思います。

 この「嫌なことはしない」という感覚は、「介護する上で仕方がない」という感覚により覆い隠されてしまいます。また「安全のために」であるとか「人手が足りない」という感覚が優先してしまいます。

 介護や医療の現場では「身体拘束は、安全確保のためにやむを得ない行為である」という根強い考え方があります。

 

 利用者が勝手に動いて行方不明や転倒事故を起こすと困るので、車いすに座らせておく、あるいは自分で立ち上がれない低い椅子に座らせておく。利用者が立ち上がろうとしても、無言で肩を押さえ込むなどは、その施設の介護のあり方そのものが問われるべき行為でしょう。

 

 

家族が虐待を要請する

 

 一方で、家族が虐待的な行為を要求をする場合もあります。

 そうした家族との対応に疲弊した職員は、本来は利用者のために行うべき介護を、家族からの苦情がない介護に切り替えてしまいます。

 その結果、本人の安全確保という名目による身体拘束が横行することになります。

 

 デイサービスで、認知症の利用者の家族に「危ないので立たせないようにしてください」とお願いされたとします。

 認知症介護の知識が浅い介護者の場合、その要請を守ってサービス中に立たせないように努力してしまいます。

 

 また、身体拘束を許容する理由に、「本人もしくは家族の同意を得ている」ことをあげる施設が多くあります。しかし、家族の同意があることが拘束をしていい理由にはなりません。

 転倒や骨折、点滴やカテーテルを抜いてしまうことを心配し、また、職員に気兼ねをして家族自ら身体拘束を申し出るケースもあります。

 その場合も、施設は家族の希望を理由に身体拘束はできません。

 

 先ほどのデイサービスの例でいえば。「本人の意に反して椅子に座らせたまま、立たせないようにすることは、身体拘束にあたり虐待になります」と家族にきちんと説明する必要があります。

 その上で、身体拘束の三原則を説明し、介護職の責務であると理解してもらわなければなりません。

 

 

 

安全確保には限界がある

 

 それでも家族に

 「立って歩いて転倒して骨折したらどうするんですか?」と食い下がられた場合、

 「転倒しないようにケアします」「私たちは介護のプロなので転倒はさせません」ときっぱり言いましょう。

 また、そう言えるほどのプロ意識を持たなければなりません。

 それでも、転倒して骨折した場合は、素直にお詫びをして保険などで誠意のある対処をする覚悟が必要でしょう。

 

 椅子に座った利用者が立ち上がり、転倒して骨折した場合、どの程度、施設に管理責任を問われると考えますでしょうか?

 私の知る限り、人員基準や設備基準をきちんと満たし、不適切なケアを行っていないのであれば、民事や刑事で業務上の責任が問われたという話は聞いたことがありません。

 

 

リスクを内包した仕事であると腹をくくる

 

 介護や保育・医療では事故はつきものです。

 そのために保険に加入して仕事をしています。

 医師の10%が診断や治療ミスなどに関する訴訟を起こされた経験があるという調査があります。

http://economic.jp/?p=31020

 医師とはそうした訴訟リスクを内包した仕事なのです。

 医療ほどで無いにしても、介護もそのリスクを踏まえて仕事をする必要があります。

 

 原則は、利用者の尊厳は、身体拘束に優先するということです。

 「されたら嫌なこと」は利用者の尊厳を傷つけていますので、グレーゾーンの身体拘束も行ってはいけません。

 

 さらに、経営上のダメージを考えた場合、

 介護事故よりも虐待の発覚の方がはるかにダメージは大きいと言えます。事業を継続できなくなる場合も多いでしょう。

 

 そして、グレーゾーンの身体介護や不適切なケアを日常的に行っている事業所は、虐待に対する感受性が鈍くなっていますので、いずれ重大な事件を起こす可能性を孕んでいると考えるべきです。

 

 次回は身体拘束をしないための記録の在り方について考えます。

 

 

 

 

虐待・身体拘束の実態について その1

 

 相変わらず介護現場における虐待や殺人などのニュースが相次ぎます。

 

 施設などの虐待・身体拘束の実態について、平成29年 3 月、特定非営利活動法人地域ケア政策ネットワーク介護相談・地域づくり連絡会より「身体拘束及び高齢者虐待の未然防止に向けた介護相談員の活用に関する調査研究事業報告書」が発表されました。

http://kaigosodan.com/web/wp-content/uploads/2017/04/3178381c5e8a416f86389cb92a65da74.pdf

 

 こちらは平成27年に全国の現在活動中の介護相談員 4,680 名を対象とした調査の結果です。施設介護現場における身体拘束や虐待の状況が赤裸々に報告されています。

 

 こちらで報告されている虐待や身体拘束の実態は、施設等の運営面で非常に参考になると思いますので、ピックアップしてご紹介します。

 職員研修などで活用いただければと思います。

 

 

虐待・身体拘束のグレーゾーン

 

 この報告書には、相談員たちが見聞きした身体拘束や虐待の中で、いわゆるグレーゾーンと考えられる、完全には虐待・身体拘束とは言えないが、場合によってはそれになりうるという状況の報告が多くあります。

 

 こうしたグレーゾーンの多くは、あまり意図的では無く、通常の介護業務として施設の中で日常化している部分があります。

 職員はそれが好ましくない行為だとわかっていない場合が多いようです。現場でこのような行為が見られる場合は是正するべきだと考えます。

 

 例を挙げると以下のような行為です。

 

  • 車椅子のタイヤの空気抜き。一杯入っていると走りすぎて危険であるので。
  • 体調不良の利用者の掛け布団の端を洗濯ばさみではさみ、鈴を付けている。
  • 動きが分かるように利用者(くつ・腕・椅子・掛け布団の足元)に鈴を付けている
  • すぐ立ち上がろうとする入所者の椅子にブーブークッションと椅子の背の足元に鈴とタンバリンがつけてあった。
  • 車イスの背もたれに、センサーが付けてある。立ち上がろうとするとセンサーが鳴り、職員が走って来て、座るようにうながしていた。
  • 転倒防止のセンサーが車イスについている。コール音もひんぱんに鳴り、人によりちがうメロディーの音量も高い
  • 利用者の居室外側のドアの取手がとりはずされている。
  • 出入口(玄関近く)に鍵をかけている。
  • 利用者のフロアーのドアに施錠がされており、開閉には暗証番号が必要であり、職員しか操作できない。
  • 認知棟の居室に他の利用者が入れないように、ベルトでドアをしばっていた。
  • ベッドから落ちたがナースコールの設備が無く、巡回も無かったため、朝まで床に転がっていた。
  • 夜間排せつの回数が多いと怒られ今は紙おむつを使用している。
  • いつもは個浴なのに文句を云う、うるさいからとの理由で2ヶ所ベルトの機械浴で入浴。

 

 

不適切な介護

 

 続いて、同じように虐待・身体拘束につながる可能性のある「不適切なケア」の実態について以下のように報告しています。

 

  • 動き出しそうな人には、低いソファに座わられる事によって自力では動けない体勢にしておく。
  • 毛布にカウベルのような、大きな鈴が毛布に付けてあった。夜中、用事があるときに音をならす。
  • 階段の入口に 2 重にソファを置いて使用しにくくしていた
  • 個室のドアに「のぞき窓」がついている。
  • 事務室から利用者の動きがわかるようにフロアーに監視カメラが設置されていた。
  • 目の前でどんぶりにハサミを入れうどんを切る
  • 認知症の方が、口を開けないからと、鼻をつまみ食事介助した。
  • 食事の介助をする際に言葉かけをせずに複数の利用者の口に順番に自動的にスプーンで食物を入れている。
  • 注射器のような物で、無理やり食事を口に入れる。
  • 食事の際、ごはんに薬を混ぜている。
  • 入浴後バスタオル1枚かけたまま廊下を移動。肌が、露出したまま。
  • 浴室前の脱衣室のドアを開けたままで着替えさせている。
  • 入浴時、裸の状態で順番を待っている。
  • 尿意はあるが、紙おむつをつけている利用者が「おしっこ出た」と訴えても「時間じゃないから…」と交換してくれない。
  • 「おしっこ」と職員にうったえるも「おむつをしているのだからそこにして下さい」と返答した。
  • 他の利用者が居るホールのベッドでのおむつ交換
  • トイレの願望がある入居者の方に「次は何時です」と言ってすぐにトイレに連れて行かない
  • トイレ介助の時、ドアを開けたままで、長時間、利用者を放置している。
  • 「夜は紙オムツを3枚もはかされて動けない。飲食は夕方6時から朝まで取れないからお腹は空くし喉は乾くし大変だ」との訴えがあった。
  • 利用者さんが職員に声をかけているが聞こえてないのか無視して何度も素通りしていた。
  • 足の爪が伸びて隣の指にくい込んでいた。利用者が痛いと訴えるまで放置。
  • 「ちょっとまっててね」といったまま対応しない。
  • 車イスを押すスピードが速い。
  • 車椅子歩行の人が多く、車椅子から椅子への移乗はほとんどしない。
  • 食後の口腔清拭入れ歯を出し乱暴にいきなりゴム手にガーゼをまき、清拭した。
  • 男女が同室。
  • 廊下の手すりにエプロンを干してあり、利用者さんが手すりを安心して使えない。
  • トイレの介助時新人指導の為と4人程で介助。
  • 早朝トイレ誘導の為4時前に起こされる。
  • 車椅子(2台)を一緒に両手で移動して、部屋から食堂に移している。
  • ショートステイの人で、家では自立歩行でトイレに行けるが、施設では車椅子が基本で、これでは歩けなくなる、と訴えがあった。

 

 職員は、利用者の安全を考えてであったり、家族から同意を受けてこのような行為を行っている場合が多いようです。しかし、いくら家族から同意を受けているとはいえ、このような行為は利用者の尊厳を傷つけていると考えなければなりません。

 

 次回はもう少し詳しくこの問題について考えます。

 

 

 

生活機能連携向上加算(訪問介護)を算定しよう

 

 

 介護保険次期改正において、リハビリ関係の強化が検討されています。

 訪問介護事業においても生活機能向上連携加算があり、リハビリ職との共同による介護予防・悪化予防が期待されていますが、ほとんど利用されていないという状況です。

 その原因はなんでしょうか?

 また、次期改正でこの加算の報酬がアップする可能性があり、業務として取り組む意義が出てきそうです。

 

 

訪問介護の生活機能向上連携加算の算定率は1万人に3人程度

 

 厚労省の「リハビリテーション専門職と介護職との連携に関する調査研究事業報告書」(平成25年度調査)によれば、この加算を算定している利用者は0.032%で、ほとんど利用されていないのも同様の状況です。

 そもそも、リハ職と訪問介護員が共同してどのような仕事ができるのか、実はあまり理解されていないのかもしれません。

そのため、次期改正で、この加算の算定率を上げるような方策が検討されています。

 

 

生活機能向上連携加算はどのような事例で活用できるのか

 

 本報告では、具体的な事例をいくつか紹介しています。

 

① 庭まで歩けるようになりたいという利用者の要望に対し、リハ職の助言を元に、 訪問介護の中でも運動メニューを取り入れた事例。

② 介護老人保健施設からの退所に際し、自宅での一人暮らしに向けて、リハ職と介護職が連携した事例。

③ 言語聴覚士、歯科医師を含めた連携で、胃ろうから経口で食事ができるようになった事例。

④ 寝たきり状態にあった利用者の入浴希望をかなえるため、リハ職と介護職の連携により支援を実施した事例。

 

 実際には、このような具体的な事例だけでなくても加算は算定できます。

 よくあるケース(=脳梗塞半身麻痺の人の在宅生活やパーキンソン病の方の生活を支援)でも、訪問介護とリハ職が相談して支援を提供するようなケースであれば、大概の場合はこの加算は算定できるようです(計画作成や同行訪問など作業的な要件は満たす必要があります)。

 

 簡単に言えば、「生活支援のためにリハ職の専門的な意見を取り入れた介護」を実践すればそれが算定要件になると考えて良いと思います。

 そう考えた場合、ほとんどの障害のある在宅高齢者には活用される可能性があるように思えます。

 

 

加算が算定されない理由

 

 なぜこの加算が算定されないのか?

 同報告書では、ケアマネージャーに算定しない理由について調査をしています。

 ケアマネージャーが答えた主な理由は以下の通りです。

 

① 「同行訪問の日程調整が困難」47.2%

② 「リハビリテーション専門職による助言が必要と思われる訪問介護利用者が少ない」 29.5%

③ 「リハビリテーションと訪問介護を併用する利用者が少ない」 27.3%

④ 「近隣にリハビリテーション事業所が少ない」 13.6%

 

※調査時点では訪問リハと訪問介護を利用している場合が算定要件であるが、現在は通所リハも可。

 

 

ケアマネージャーには算定のモチベーションが無い

 

 この加算は訪問介護とリハ事業所側にしか報酬的メリットがありません。

 そのため、調整をするケアマネージャー側に連携を促すモチベーション(動機)が無いと言われています。

 「同行訪問の日程調整が困難」というのは実は変で、サービス担当者会議で訪問介護のサ責とリハ職がアセスメントをして相談すれば、それで十分に要件を満たします。

 このような意見が多く出るということは、ケアマネージャー側にそのような連携を促す意思が無いように思えます。

 

 次期改正でどのような改善がなされるかわかりませんが、そもそもサービス連携の要であり、連携調整そのものが本来業務であるケアマネージャーに、特定の加算のためにインセンティブを与えることは考えにくいことです。

 

 

チームにリハ職と訪問介護職がいるなら算定するべき

 

 筆者は、ケアチームの中にリハ専門職と訪問介護職がいるならば、原則この加算を算定してチームサービスを提供するのが、本来のケアマネジメントの在り方のような気がします。

 

 どうやら、ケアマネージャー側にリハビリテーションに対する知識不足や専門職に対する遠慮があるのかもしれません。

 これは医療職に対して言えることです、介護職以外の専門職に対して、ケアマネージャーが仕事を丸投げしてしまっている傾向を感じます。

 他の専門分野に口出ししにくいという遠慮もあるのでしょうが、これではケアプランの中で仕事が縦割り化してしまいます。

 どうやらケアマネージャーの連携調整能力不足という側面が見えてきます。

 

 

算定には、サ責がリハ職に声をかかればよい

 

 次期改正で報酬がアップするかもしれません。

 ケアマネージャーに期待できない場合、サービス担当者会議にリハ職が出席していたら、ひとまず「連携加算を算定しますか?」と声をかけてみるべきだと思います。ちなみに、リハ側の加算は「リハビリテーションマネジメント加算」という名称です。

 リハ職は訪問介護がどのような支援ができるのか、あまり知識が深くない場合があります。

 訪問介護がリハビリにどのように協力できるか話し合うことは非常に有意義なことです。

 

 リハビリテーションの目的の一つは社会参加や活動の拡大です。

 リハ職はその方法論を提示しますが、実際に参加や活動をするのはご利用者本人です。そして、それには努力が必要になります。

 そこに支援介入するのが訪問介護であると考えれば良いのではないでしょうか。

 

 

実地指導が来る前に、訪問介護業務の流れを整理する その6

 

 

 

ご利用者ファイルの工夫

 

 ご利用者ファイルにどのように書類関係を整理すればよいのか、一つの例を示します。

 行政が見に来た時だけでなく、担当外のヘルパーなどが見てもわかりやすいようにファイリングしておくことが大事です。

 各種資料のファイリングの順番と内容及びポイントは以下の通りです。

 

 
要介護  
インデッスク 内容及びチェックポイント
1 連絡調整記録 メモなどもクリアポケットなどに逐一入れる
2 状況報告 ケアマネージャー等への状況報告
3 利用申込 FAXでもOK
4 保険証 原本確認の月日と確認者印を含む
5 アセスメント 基本情報を含む
6 ケアプラン 1表から4表 サ担録・照会文書を含む
7 契約書 緊急時の連絡先未記入に注意
8 重要事項説明書 料金改定時の別紙同意書含む
9 訪問介護計画書 要本人印
10 手順書 ヘルパーへの指示書などを含む
11 その他資料 行政への報告書や苦情関係などその他の資料
12 自費関係 自費契約書など自費関係書類
     
要支援  
インデッスク 内容
1 連絡調整記録 メモなどもクリアポケットなどに逐一入れる
2 状況報告 予防は毎月報告が必要
3 利用申込 FAXでもOK
4 保険証 原本確認の月日と確認者印を含む
5 アセスメント 基本情報を含む
6 ケアプラン 1表から4表 サ担録・照会文書を含む
7 契約書 緊急時連絡先は別に作成
8 重要事項説明書 料金改定時の同意書含む
9 訪問介護計画書 要本人印
10 手順書 ヘルパーへの指示書などを含む
11 モニタリング 定期評価を含む
12 その他資料 行政への報告書や苦情関係などその他の資料
13 自費 自費契約書など自費関係書類
  ※ 各書類は最新のものがトップに来るように
  ※ 緊急連絡表を別に作っている場合は、ファイルの最初に

 

 

 誰でも書類を適切な場所にファイリングできるように、この表を書庫などに張っておいたり、各ファイルのトップに綴じておいても良いでしょう。

書類を綴じる場所がバラバラになると、必要な書類があるのかどうか確認することが困難になってしまいます。結果、書類の整備自体が疎かになり、実地指導で指摘を受けるようになるでしょう。

 

ファイリングは日常業務の中で担当を決めてルーチン化する等、いつでも整理できる体制にしておきたいものです。

 

 

インデックスの作成

 

 ファイリングの際には、インデックスを貼っておくことが大切です。

 インデックスのおすすめは以下のようにパソコンで大量に作成印刷できるものです。

 

  コクヨ「合わせ名人」http://www.kokuyo-st.co.jp/stationery/awase/

 専用ソフトでラベルやインデックスを作成できる。使い方が少しわかりにくいが、慣れてくると非常に便利です。

 余裕がある時に大量に作っておくと良いでしょう。

 

 

 なお、終了したご利用者の書類はインデックスは不要であると考えます。ファイルとインデックスの張られた仕切り用紙は使いまわして、板目紙などに綴じひもで綴じておけば良いでしょう。

 

 ファイルにご利用者名をテプラなどでせっせと作っている事業所も多いかもしれませんが、テプラは結構手間がかかります。

 背表紙のご利用者名は、エクセルなどで作ったご利用者名簿の名前の部分だけを拡大印刷してカットし、「替背紙式」という背表紙に紙を差し込めるタイプのファイルの背表紙部に差し込んだ方が簡単です。

「替背紙式リングファイル」

http://www.kokuyo-st.co.jp/search/1_detail.php?sid=100117035

 

 どうしてもテプラで作りたい方は、パソコンにつながるタイプのテプラを使えば、効率的ですが、少し値段が高いです。

キングジム パソコン接続用テプラ

http://www.kingjim.co.jp/products/tepra

 

 

保存年限について

 

 介護関係書類の保存年限は規定により、

・利用者関係の資料はサービス終了後2年。

・給付関係書類は作成から5年となっています。

 

 給付関係書類が5年になっているのは、国保連などが間違えて事業者に支払ってしまった報酬の債権としての返還請求権が5年となっているためです。

 

 ご利用者の訪問計画書やアセスメントなど記録は、そのご利用者のサービスが終了してから2年間です。

 しかし、自治体によっては独自に規定を作っていて、終了後5年という自治体もありますので確認が必要です。

 最初から一律5年で保存しておいても良いかもしれません。

 

 ご利用者関係の保存ファイルは終了年ごとにまとめておきます。

 前述したように専用のファイルから外して、板目紙などに年を書いて綴りひもでまとめておけばインデックスなどは必要ないと思います。

 

 サービス提供の記録はご利用者情報の記録になります。

 従ってサービス終了後2年以上の保存が必要になるのですが、多くの事業所では月ごとや年ごとにまとめてファイリングしていることが多いと思います。

 そのため、終了したご利用者だけを抜き出して別にまとめるのは手間になりますので、しない方が良いです。

 サービス提供の記録は年月日で管理できるようにしておいた方が、請求関係の書類との突合が楽ですから、できるだけ残しておいた方が良いでしょう。

 5年ほどファイルのまま保存し、その後は年ごとにまとめておけば良いと思います。少なくとも10年程度は残しておいた方が良いかもしれません。

 

 

家族等からの開示請求

 

 亡くなったご利用者がどのような介護を受けていたかを、家族等が情報提供請求してくる場合があります。

 例えば、遺産相続などで係争している親族などが、同居家族がどのような介護をしていたか調査をしてきたりします。

 その場合、終了後2年分は必要に応じて開示する必要が出てきますので、注意が必要です。

 

 情報開示請求の手続き等については以下をご参照ください。

「福祉分野における個人情報保護に関する ガイドライン」第8 保有個人データの開示等に関する義務 P34参照

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/seisaku/kojin/dl/250329fukusi.pdf

 

 

 

実地指導が来る前に、訪問介護業務の流れを整理する その5

 

9 サービス提供の記録(必須)

 

 事業所により任意の様式を使っていると思います。

 名称も「サービス実施記録」など様々なようですが、規定上は「サービス提供の記録」となります。

 2枚複写のものが多いと思いますが、毎回、控えを利用者に交付することは定められてはいません。規程では申し出があった場合に写しを交付すればよいとなっています。

 しかし、サービス提供の内容をご家族などに知っていただくことができるため、控えがあった方が良いとは思います。

 

 

記録の記入ミスは介護報酬返還になる場合も

 

 サービス提供の記録は、介護保険の対象となる適正なサービスを提供したことを証明し、報酬請求の根拠となる書類です。

 そのため、記録に何らかの記載漏れ等の不備がある時は、適正なサービスを提供したことが確認できなくなるため、介護報酬返還の対象となります。

 

 具体的には、ケアプランでは身体介護1生活援助1のプランであるにも関わらず、サービス提供記録には生活援助のみが記載されていたような場合、身体介護の提供記録が確認できませんので、報酬返還の可能性があります。

 

 実地指導ではこの指摘が非常に多く、パートのヘルパー等が不注意で記録ミスを繰り返しており、大きな金額を返還しなければならなくなるケースなどもあります。

 

 そのため、すべてのヘルパーには、記録の重要性について周知徹底を図るとともに、サービス提供責任者等は、訪問介護員が適正にサービス提供記録を作成していることを確認しなければならないでしょう。

 

 通常の業務の流れでは、国保連への請求業務の際(データ入力の際)にチェックするのが良いと思います。この作業時に記録内容をチェックしないと請求ミスになりますので作業するスタッフにはミスが無いようにチェックを徹底する必要があります。

 

 また、訪問するヘルパーは、ご利用者ごとに適切な提供記録の見本を確認することも必要でしょう。ご利用者宅に、正しいサービス提供記録の見本を置いておき、それを見本に記録を付けるように指導する必要があります。

 

 提供する介護サービスの内容が状況により変わる場合は、「身体介護」と「生活援助」の中ではいくら内容が変わっても良いのですが、ご利用者の状態などにより「身体介護」や「生活援助」そのものが無くなってしまったり、プランには無いサービスを緊急に提供しなければならない場合は、必ずサービス提供責任者などに連絡し、指示を仰ぐようにヘルパーに徹底しておく必要があります。

 現場のヘルパーが自己判断でサービス内容を勝手に変えることが無いようにしなければなりません。

 

 

「利用者の心身の状況」の記録について

 

 記録すべき事項は以下の通りです。

 

①訪問介護の提供日及び提供時間

②利用者名及び訪問介護員名

③身体介護・生活援助・通院等乗降介助の別

④提供した具体的な身体介護サービス及び生活援助サービスの内容

⑤利用者の心身の状況

 

 市販の「サービス実施記録」等には「⑤利用者の心身の状況」を記入する欄が無いものがあります。

 バイタルの記録はあるのですが、「心」の記録を書く部分がありません。

 これを記入できる部分としては、様式によって様々ですが「特記事項」「観察内容」「ご利用者の言葉」などといった欄であると思います。

 

 通常はこの欄に「利用者の心身の状況」を記入すべきなのですが、ヘルパーがしっかり理解していないため、「特に変化なし」などと書いてしまい、実地指導などで指摘されるケースが多いです。

 

 「⑤利用者の心身の状況」は必ず毎回記録しなければならない事項です。

 「身」の部分はバイタル記録で良いとして「心」の部分は必ず何か書かなければなりません。

 ここの記録の仕方は行政なども良く指導しているようですが、決して「変化なし」などとは書かず、ご利用者の様子を書くようにしましょう。

 

 状態が安定されているご利用者の場合、記録の仕方はある程度パターン化されてもいかし方が無いと思います。たとえば以下のようなパターンを使いまわすしかない場合もありますが、記録としては成立します。

 

「穏やかに過ごされています」

「痛みや苦痛の訴えはありませんでした」

「時々不安を訴えていらっしゃいます」

「元気で過ごされています」

「不調の訴えはありませんでした」

「口数は少ないですが安定していらっしゃいます」

 

 などなどです。

 

 毎回同じになってしまいますが、変化がない場合でも、上記のようなパターンを繰り返し記入しておくしかないと思います。

 行政は「変化なし」は記録していないのと同等とみなします。

 

 

利用者の確認印

 

  運営基準上、必ず、利用者からの確認の押印を受けなければならないという定めはありません。しかし、多くの様式には確認印の欄がありますので、印欄がある場合は押印したほうが無難でしょう。

 

 様式を選ぶ場合は、上述した記録事項をすべて満たし、無駄に印鑑欄が無い様式を選ぶ方が、業務は効率的だと思います。

 

 

 

 次回はファイリングの工夫や保存年限について述べます。