介護職員の虐待・犯罪行為を防止する方策について考える その2

 介護福祉の事業所経営では、職員の虐待行為や利用者への犯罪行為は、経営上の大きなリスクです。ここではそうした事業経営の観点に立って、介護職員による虐待や犯罪行為を防止するための方策について具体的に考察します。

 

◆研修だけでは限界がある

 介護職員の虐待や犯罪行に対して、職員研修の充実により対処しようとしても、限界があると私は考えています。

 どんな人間でも虐待や犯罪行為は悪いことであるという倫理感を持ってると思います。研修で様々な介護職の虐待や犯罪のケースを聞かされ、「このようなことをしないように」と言われても、いざ現場に戻りストレスに晒されると、そのような知識としての倫理観が消えてしまうのです。

 認知症の利用者が言うことを聞かなかったり、暴言や暴力を振るわれると、そのような倫理観をしっかりもって冷静に対応することは、ベテランの介護職でも難しいことがあるでしょう。

 私は暴言や暴力をふるう入居者の介護をする、絶対に怒らず、優しい介護ができる、高性能な介護ロボットが開発されたら良いのにと思うことがよくあります。つまり、それほど冷静に感情を殺して仕事をしなければならない場面が、介護職にはあります。

 そうした鉄の心を研修によって育成することはかなりの時間とコストが必要になります。時に精神科医や心理カウンセラーレベルの、相手の感情に振り回されないトレーニングをしなければなりません。優秀な介護職員は時にそのような対応ができる人もいますが、多くの職員は感情的な攻撃に感情を動かされず、傷つかないで淡々と仕事をすることは難しいでしょう。

 よく言われる介護職のバーンアウト症候群(燃え尽き症候群)はこうしたことが原因の一つでしょう。一生懸命お世話をしているご利用者に憎まれながら仕事をすることは辛いことです。心が傷ついてしまい、離職につながってしまいます。

 認知症の利用者に対しては、上述の鉄の心と、その人にとって優しい人間であるということを理解させる、ある種偽善的なコミュニケーションテクニックが必要になります。

 「相手を理解することはできないが、相手に自分が理解者であると思わせることはできる」という受容の概念に基づいたテクニックを身につける必要があるのですが、はたして介護施設で働く職員のどれだけの人がこの技術を体得しているでしょうか。

 こうした技術を身につけるには、障害や認知症に対するしっかりとした知識と実際の現場での実践を通じた理解と経験を積み重ねる必要があり、いわゆる集合研修(OFF-JT)だけでは身につくものではありません。OFF-JTとON-JTを繰り返し、少しずつ身につけていける技術であると考えます。

 しかし、虐待や犯罪につながる場面はこうしたものだけではありません。上述のコミュニケーションテクニックを身につけていても、利用者のお金に手を付けるような人はいます。さらにそのような技術を持っていても虐待をする人はいます。これは研修ではどうしようもないことです。

 

◆処遇改善で解決するのは一部

 よく、介護職の処遇が悪いから虐待や犯罪が発生するのだという意見を聞きますが、給料が安いということも職員のストレスの一つでしょう。しかし、それだけではないことは高給の大企業でも不正が無くならないことからも明らかです。

 確かにより良い人材を確保するためにも処遇の改善は必要です。もし北欧のように介護職が全員公務員であれば、このような虐待や犯罪は減るでしょう。なぜなら、公務員という安定した身分を捨ててまで、ひどい虐待や、数万円程度の金銭窃盗は行わないと思われるからです。

 東京都に勤めていた頃、犯罪に手を染める役人は数百万から数千万の横領や業者からの賄賂に目がくらんでしまったケースが殆どでした(ただし、教員による児童・生徒に対するわいせつ行為は全く別の犯罪構造です)。介護職の処遇が公務員並みであれば、少なくとも感情的な発露としての虐待行為は格段に減ると感じます。

 しかし、現状ではそのような行為をする介護職が、この仕事を辞めてもそれほどには困らないこと。つまりこの仕事を継続するモチベーションが低く、アルバイト的な感覚で働いていることが根源にあるとは思います。いつでもこの仕事を辞めることは可能であり、まじめに仕事をするのも馬鹿らしいという感覚がどこかにあるのは否めないでしょう。

 そうしたリスクは、ファーストフード等の経営で良く言われることです。無責任なアルバイトの行為が企業イメージを傷つけてしまうリスクが絶えずあります。

 今後、処遇改善加算を、介護の仕事を継続していくモチベーションを支える、研修費用や退職手当積立などに利用したいものです。しかし、現在の処遇改善加算は研修費用や退職積み立てには利用できません。

 

 

◆職場のメンタルヘルス対策が、虐待や犯罪行為を防止する第一の方策

 利用者に対してストレスを感じないように仕事をするテクニックは、介護技術として学ぶことはできます。しかし、介護職場に限らず職場には様々なストレスがあり、基本的に職場はストレスフルであるということを前提に、どうすれば職員がストレスを感じずに働けるかを考える必要があります。

 いわゆるメンタルヘルス対策ですが、具体的には以下のようなものがあります。

 

1 人事制度による対策 ─ 職員の話を聞く仕組み(傾聴の仕組み)

  • 職員が管理職などに一対一で仕事や家庭事情のことをフランクに話せる仕組み

 通常、企業や事業組織では人事考課制度や人事評価制度の中にこの「話しを聞く」仕組みは組み込まれています。しかし、ここでは業績評価にスポットを当てるのではなく、管理職等が職員のストレスを汲み上げる仕組みとして活用しなければなりません。この際、「話しを聞く」相手は正社員だけでなくパートスタッフも含みます。

 

  • 話を聞く上司は直接の上司ではない人が良い

 この「話しを聞く」場は、職員が日頃の不満などを話せるよう、できるだけフランクな場にしなければなりませんが、そうした場を作るには相談を受ける管理職等が日頃身近にいる直属の上司よりも、その上の上司、普通の会社でいえば係長ではなく課長・部長級が受けると効果があります。直属の上司では日頃の利害や直接の不満があるので、あまり本音を引き出せません。職員はストレスを隠す場合があります(だからストレスになる)。それを解放させる雰囲気が必要です。

 

  • 話を聞く人は上司ではなく本部の人事担当者でもOK

 職員と利害関係の少ない上司がいない場合は、本部などの人事の専門家が話を聞いても良いでしょう。できるだけその職員の職務内容を把握している人が聞く方が良いと思います。

 

  • 話を聞く人には研修が必要

 いわゆる「聞く力」「話を引き出すインタビュー術」などの「話を聞く」研修を受けておく方がベターです。介護・福祉の専門家であれば傾聴のテクニックと同じなので、比較的に簡単に身につくと考えます。 聞く人が会社や組織の利害をできるだけ話さないようにすることがベターです。聞く人は職員の理解者であると思ってもらう必要があります。

 

  • 話を聞くのは年二回

 一般的な人事考課制度では毎年の目標設定と達成状況をチェックしますので、年二回、話を聞く場が設けられます。職員の本音が聞ければどのようなストレスを感じているか多くの場合は把握できます。把握されたストレスに基づきできるだけ速やかに現場で対応がとられる必要があります。

 

2 外部のメンタルヘルス・カウンセラーの利用

 産業カウンセラーなど職員のメンタルヘルスをサポートするカウンセリングサービスを利用することも有効でしょう。

ただし、こうした外部のカウンセラーの場合、プライバシーの保護の観点から職員がどのようなストレスを抱えているか、職場にフィードバックがしにくいのが難点です。

カウンセリングサービスの中には、職員の悩みを職場にフィードバックすることを前提に話を聞くサービスもあります(職員は自分の話した内容を職場に知られることを前提に話をする)。その際、話を聞くカウンセラーは仕事の内容や実態を知りませんので、職員が話した内容や抱えているストレスをそのまま契約先に報告します。そのため職員が抱える問題を適切に把握しにくい部分もあります。

 また、東京都社会福祉協議会には福祉の仕事に関する悩みを相談する窓口があり、誰でも相談できますので、この窓口を従業員に周知して相談させることで、ストレスを解消する役に立つかもしれません

http://www.tcsw.tvac.or.jp/jinzai/nayamisoudan.html

 

 次回は、人事異動や自己点検により犯罪や不正を防止する仕組みについてご紹介します。

 

 

 

介護職員の虐待・犯罪行為を防止する方策について考える その1

相模原での悲惨な事件を受けて、またこのこれに先立っても、介護施設での認知症の利用者に対する虐待やホームヘルパーによる虐待事件も報じられており、介護福祉事業に従事する(していた)職員による犯罪行為は後を絶たない現実があります。

ある介護事業所を多数運営する代表者は、「一つでもそうした事件が自社の事業所で発生したら、会社ごと危なくなる」という不安を口にしていました。

そこで、経営者や事業管理者として職員が現場でそのような犯罪行為に至らないためにはどのような方策があるか検討してみたいと思います。

 

◆介護職員による虐待や犯罪の発覚は氷山の一角か

介護の多くは密室で行われており、尚且つ、認知症や重度の障害者は虐待の事実を訴えられないため、そうした犯罪行為は発覚しにくいものです。

介護施設やホームヘルパーの虐待ケースでも不審に感じたご家族が隠しカメラで撮影し、その事実が発覚しました。また、虐待した職員自体がその行為を撮影してネットに公開するなどという、あり得ないケースでしか発覚しないのが現状です。

また、老人ホームに入居している認知症の利用者のお金が使い込まれているケースでは、実際の被害額が不明であったり、犯人もわからず結局うやむやになっていることもあると聞きます。

従って、こうした介護福祉の現場での虐待や窃盗事件の発生は実は氷山の一角なのではないかということが想像できます。

介護施設の居室や在宅介護の現場に監視カメラを常時設置することは、プライバシーの問題やコストの問題もありなかなか導入は難しいでしょう。たまたま現場が撮影されて発覚しているだけで、密室での犯罪行為は今後も後を絶たないことが予想されます。

 

◆介護する人のストレスは他の仕事よりも大きいことを前提に考えなければならない

 事実、家族による介護では介護する人が介護される人を殺してしまうというケースも多く発生しています。

介護とはそれだけ追い込まれ高いストレスに晒されるものです。そのために介護保険制度ができたと理解しています。

私自身、病院生活をする寝たきりの母親と末期がんの父親の面倒を同時に見ていました。まだ介護保険制度の無い時代で、父と二人暮らしの私は父が亡くなるまでの数カ月の間、家政婦さんを雇い週末には病院に母の様子を見に行くという生活をしていました。その間、私はきっと能面のように表情がなく笑うことすらできない日々を送っていたような気がします。唯一の救いと言えば、父親が最後に担ぎ込まれた病院が母親の入院している病院で、二人で父親の見取りができたことぐらいです。

二人とも認知症ではありませんでしたが、認知症のご家族を持つ方はまた別のご苦労を経験されていると思います。いずれにしても、家族の終末に付き合うことはとても辛いことです。

そして、こうしたストレスを感じるのは家族だけではないでしょう。介護職員もまた同じようなストレスを感じざるを得ない部分があります。介護の現場というのはそもそもにおいて強いストレスに晒される可能性がある場所だということを、まず理解しておかなければなりません。

 

◆ストレスや不満、心の傷が虐待や犯罪を生む

 私は犯罪学の専門家ではありませんが、多くの犯罪者が、何かしらのストレスや不満、心の傷を負っていると考えています。特に幼少期の抑圧は後年の犯罪行為につながる可能性が高いでしょう。幼児期に虐待された経験のある人は、親になってから自分の子供を虐待する可能性が高く、「負の連鎖」があることが知られています。

殺人まで犯す人は大きな抑圧や傷を負っているのではないかと想像します。相模原の犯人も優生思想のような考えに取りつかれていますが、そうした思想を持つに至った心の抑圧が必ずあると考えます。その抑圧からの防衛機制として、あのような歪んだ考えに至っているのでしょう。また、あれだけの無慈悲な殺人ができる人間は、さらに何かしら脳に障害や異常を負っているような気もします。

 第二次大戦やイスラム原理主義、オーム事件などを見れば、人間は比較的簡単に無慈悲な殺人を行えるようになることは明らかです。これらは組織的殺人の怖さを示しているのですが、そうした組織には往々にして何らかのストレスが蔓延しており、そのストレスがあるが故に簡単に殺人を犯すのだと言われています。さらに、心の抑圧は自殺にもつながります。自殺も殺人の一つです。

 こうした抑圧から人間は逃げ出そうとするのですが、逃げ出せない場合、その抑圧は他者への攻撃として発露することは普通にあることです。時に自傷という自分への攻撃にもなります。

 従ってそのような抑圧をうまくコントロールする(コントロールしてあげる)ことが、犯罪を生まない工夫につながるのではないかと考えます。

 

◆組織的な倫理観喪失の怖さ

 さて、組織的な犯罪の怖さは、個人としては通常の倫理観を持っていても異常な環境の組織に所属していると簡単にその倫理観を捨てて、犯罪を犯してしまうことです。

 三菱自動車やフォルクスワーゲンの燃費データ不正は、個人としては悪いと思っていても、組織として昔からそのように仕事をしていると、どうしても不正を糾せなくなることです。大企業ですから辞めることは難しいでしょうし、逃げ出すことも難しいのです。軍隊なども同様で、なかなか逃げ出せない組織ではそうしたことが起きやすいと思います。

 また、若い世代では「仲間」というものを重要視する傾向がありますから、部活動における虐待や、若者グループの犯罪行為は起きやすく、そこから逃げ出すことは「仲間」を裏切る行為につながり、今度は自分が攻撃の対象になってしまう危険性があります。このような風景は漫画やドラマでよく見る風景ではないでしょうか。

 こうした組織的犯罪を発生させる仕組みは介護職場にもあります。

 老人ホームなどで問題行動のある利用者に対して、虐待を受容するような組織的な雰囲気は育ちやすいものです。「あの利用者なんとかしてください」「どうしようもないです。もう世話するのはムリです」そうした不満がスタッフから上司に集まり、具体的な対応策がとられずに放っておかれた場合、スタッフ組織がこの利用者に対する虐待行為を肯定しはじめるのは十分にあり得ることです。

 スタッフはストレスを抱えながらこの利用者に対応します。同じフロアーのスタッフが皆同様のストレスに晒されれば、スタッフ間に依存関係が生まれます。誰かが暴力的な介護を始めても、もうこの組織にはそれを糾す力学は生まれないでしょう。そして暴言や暴力的な介護を受けた利用者もまた心に新たな傷を負い、介護者に対して問題行為によって対抗するという悪循環が発生します。

 認知症で問題行動のある利用者に対する対応方法としては最悪のケースです。老人ホームで撮影されたケースはこのようなケースではないでしょうか。

認知症の研修を受けていれば、こうした悪循環について知識としては理解しているはずですが、組織として対応していると、時に倫理を見失ってしまう怖さがあります。

 私の母親が寝たきりで入院していたとき、無意識で点滴のチューブを抜いてしまうためか、両手をベッド柵に縛られていたことがあります。点滴をしていない時も縛られていることに私は疑問を持ちましたが、看護師さん達の雰囲気にはそうしたある種虐待に近い行為が普通のこととして受け止められている感じがありました。家族としてはとても辛いのですが、母親も自分が悪いのだと受け入れており、そうした雰囲気に私は何も訴えられなかったことがあります。

 病院や介護現場には外の世界とは別の雰囲気が流れていることを理解しておく必要があるでしょう。

 

次回はこうした虐待や犯罪行為を防止するための方策について考察したいと思います。

 

訪問看護 実地指導対策セミナー

7月23日(土) ソフィアメディ株式会社様主催の「訪問看護 実地指導対策セミナー」にて講師を務めさせていただきました。

http://www.sophiamedi.co.jp/news/#1469412615-451758

多くの方にご参加いただき誠にありがとうございます。

セミナーの内容の一部はこのブログでも紹介しておりますのでご覧ください。

 

★参加者のお話を伺って感じた事

≪請求事務担当者と現場の認識の違い≫

特に加算の算定時、請求事務担当者と訪問看護の現場でうまく連携がとれていないため、書類の整備が正しくできないのではないということを感じました。

たとえば、初回加算を請求する場合、請求事務の担当者は要件に該当すれば、普通に初回加算を算定するのですが、

現場の方では、算定要件である「訪問看護計画書」を新規で作ることを認識しておらず、実地指導で請求間違いを指摘されやすいようです。

これは、ターミナルケア加算などにも言えることで、ターミナル期の利用者様であれば請求担当は普通に加算を算定するのですが、現場の管理者などが記録書に記入するべき内容をしっかり理解していないため、あとで指摘されてしまうようなケースが多いような感じがしました。

こうした、請求過誤を避けるには、請求事務の担当者が加算を算定する場合の要件を、日ごろから現場の管理者等にアナウンスするとともに、実際に書類の内容を確認するようにしたほうが良いでしょう。

現場で加算の算定要件を完璧に理解し書類を整備できるようにするのは、現状では多少無理があるような気がします。特に請求事務の担当者と現場の管理者の距離が離れているような場合は、なおさらでしょう。

 

≪サテライトの訪問看護計画書≫

また、気になることとしてサテライトでの訪問看護計画書の作成者が看護師や訪問看護師になっていないケースがあるようです。

訪問看護計画書の作成者は看護師や保健師でなければなりません。サテライトといえども、准看護師や理学療法士が作成した訪問看護計画書は認められません。

場合によっては、サービス提供そのものが認められず、サテライトの訪問看護サービス全部が返還対象になる場合もありますので、注意したいところです。

 

今後もこうしたセミナーに及びいただければ幸いです。

 

 

訪問介護で特定事業所加算を算定している場合、実地指導チェックされる書類について

特定事業所加算の根拠となる書類・記録について

 

【根拠となる記録・書類】

(1)体制要件

①「年間研修計画」「個別研修計画」「研修報告書・出欠簿(研修参加を確認できるもの)」「補講実施報告書」等、職場内研修の実態が分かる書類

  • 注意点:

事業所の研修体制及び、訪問介護員(非常勤を含むすべての訪問介護員)ごとの研修計画、当該研修計画に基づく研修の実施状況(又は実施予定)が確認できる書類です。例えば以下のような計画書が必要です。

例:個別研修計画

訪問介護員ごとの研修計画は、当該訪問介護員と管理者やサービス提供責任者が共通認識を持って作成すると良いでしょう。その人の具体的な課題を克服するような内容で計画にします。例のように、社内研修を月に1回、定期的に開催し、個別の研修計画と連携させます。例では個別の目標に対して年間計画で、本人が該当する研修の担当となり、自ら知識を深め、技術を磨くようになっています。なお、その際、勤務の都合等で出席できなかった職員の補講状況についても確認できることが必要です。

 

②ケアカンファレンス=ケース検討会議の「会議日程表」「会議次第」「会議議事録」「利用者に関する情報を伝達した文書(会議資料等)」「会議出席者名簿」等会議の実態が分かる書類

  • 注意点:

利用者に関する情報若しくはサービス提供に当たっての留意事項の伝達、又は当該訪問介護事業所における訪問介護員等の技術指導を目的とした会議が定期的に開催されていることが、確認できる書類になります。

毎月の研修の際に同時に開催すると良いと考えます。具体的には毎月ケアプランの更新者を中心に心身状況の確認、目標達成状況、サービス内容の変更などの確認を行うと良いでしょう。また、その際にヒヤリハット報告や困難事例検討会なども併せて開催し、その資料や記録を保管しておきます。

朝礼、夕礼で情報伝達などを行っている場合は、その内容を簡潔にノートなどに記録しておくと良いでしょう。

 

③「サービス手順書(指示書)」「サービス提供記録」「業務報告(日報)」など

  • 注意点:

サービス提供責任者が、当該利用者を担当する訪問介護員等に対し、当該利用者に関する情報やサービス提供に当たっての留意事項を、文書等の確実な方法により伝達してから開始するとともに、サービス提供終了後、担当する訪問介護員等から適宜報告を受けていることを、確認できる書類です。

サービス提供責任者が作成したサービス手順書には担当する訪問介護員の確認サインや押印があると良いでしょう。業務報告(日報)はサービス提供責任者ごとにノートにしても良いですし、メールでも構いませんが、サービス提供責任者ごと又は利用者ごとに印刷し、ファイルしておくことが大切です。

訪問介護員にその日の業務内容について記載してもらう際、以下の事項について変化があった場合は必ず記載するように留意してもらいます(「前回のサービス提供時の状況」を除く)。こうした報告は複数回訪問する場合でも、1日1回取りまとめて記録して構いません。

☆利用者のADLや意欲

☆利用者の主な訴えやサービス提供時の特段の要望

☆家族を含む環境

☆前回のサービス提供時の状況

☆その他サービス提供に当たって必要な事項

いずれにしても、ご利用者の変化など、職員同士が情報伝達を行う場合は、必ず文書(fax・メール可)により行い、それらをサービス提供責任者が確認した旨の記録(サインなど)をした上で、保存整理しておく必要があります。

※ご利用者に変化があった場合の報告文書例

担当訪問介護員 → 担当サービス提供責任者

報告事例_01

 

④非常勤を含む全ての訪問介護員が「健康診断を実施したことがわかる書類・記録」(予定の場合は計画書等)

  • 注意点:

具体的には受診医療機関から発行される健康診断受診者の名簿や受診表(所属するすべての訪問介護員が受診していることを確認できる内容であること)と医療機関への受診料を当該事業者が支払ったことが認められる領収書などです。年一回するたびに毎年保管します。

 

⑤「緊急時等における対応方法」が明示された書類

こちらは通常、重要事項説明書に明記されていると考えます。

 

(2)人材要件

①「職員の履歴書」「労働契約書又は労働条件通知書」「賃金台帳」「出勤簿」「労働者(職員)台帳」等職員の実態が把握できる書類

  • 注意点:

非常勤を含むすべての訪問介護員についてそろえておくことが必要です。これらは会社役員の場合でもサービス提供を行っている人の分はそろえる必要があります。社長でも管理者などを兼務する場合は、最低、出勤記録は必要です。

 

②すべての訪問介護員の「取得資格証(写)」

  • 注意点:

職員が上位資格を取得した場合は速やかに実物の資格証等で確認し、写しを保管します。写しには管理者等原本を確認した人のサインや印と日付を記入しておくとなお良いです。

 

③「サービス提供責任者の実務経歴書」等

  • 注意点:

当該事業所での実務経歴は資格証や労働契約書等の日付などにより確認できますが、他事業所からの転職者は実務経歴証明書を前職場から発行してもらう必要があります。

 

(3)重度要介護者等対応要件

①全利用者の「介護保険証(写)」(算定期間を通じて)

 介護保険証の写しには原本を確認した日付と確認者のサイン等があると良いでしょう。

 

②「認知症該当利用者の主治医意見書(写)」

 日常生活自立度のランクを確認します。ケアマネから頂く必要があるかもしれません。

 

③「利用者名簿と要介護度分布のわかる集計表」(月毎)

 月毎に整備しておく必要があります。基準を下回る月があった場合は、算定できません。また、届け出が必要になります。

 

④たんの吸引等の業務を行うための登録証(該当事業所のみ)

 

【特定事業所加算(Ⅰ)の場合】

上記書類のすべてを整備しておく必要があります。

【特定事業所加算(Ⅱ)の場合】

上記書類の(1)(2)を整備しておく必要があります。

【特定事業所加算(Ⅲ)の場合】

上記書類の(1)(3)を整備しておく必要があります。

 

【本加算の意義】

 特定事業所加算は質の高いサービスを提供していることにより、クオリティーの高い事業所を差別化するための加算と考えて良いでしょう。しかしながら利用者の負担も高くなりますから、この加算を取ったとしても利用者増につながらない場合があるのが玉に傷です。算定している場合実地指導では必ずチェックされます。

 

 

実地指導でチェックされる訪問介護の加算について

今回は訪問介護の実地指導などでチェックされる各種加算について、整備しておきたい書類などを中心にご説明したいと思います。

 

必要な書類は事項ごと、利用者ごとにファイルし、日頃から整理しておくと良いでしょう。

介護報酬の加算は算定していても実地指導等で認められなければ、介護報酬の返還になる場合もあります。つまり、加算申請を受理されたからといって、その実態に即した客観的な記録が無ければ、加算は認められないということです。

 

まず訪問介護事業所、整備すべき必須書類・記録は以下の通りです。これらは原則としてかならずチェックされます(必須書類)。

①訪問介護計画書

②介護給付費請求書

③介護給付費明細書

④サービス提供票、別表

⑤サービス提供証明書(発行している場合)

 

続いてQ&A形式で加算ごとに必要な書類についてご説明します。書類の名称については主に一般的な名称を使用しています。

 

Q1:初回加算の根拠となる書類・記録について

A1:

【根拠となる記録・書類】

①「ケアプラン」(当該「訪問介護計画書」にかかわる)

留意点:ケアプランに基づきサービス提供責任者により訪問介護計画書が適切に作成されている必要があります。初回加算を算定している場合は必ず新しい訪問介護計画書が作成されなければなりません。不適切な場合は初回加算が認められないことも考えられます。

②「サービス提供の記録」

留意点:サービス提供責任者が訪問した日時とアセスメント等、状況の把握を行った記録になります。訪問日時や時間は訪問介護サービスの提供時間と同じである必要はありません。

③「利用者の支援経過などサービス導入経緯に関する記録」(同一利用者に初回加算を複数回算定した場合)

留意点:本利用者が新規の利用、過去2か月に当該訪問介護事業所から訪問介護サービスを提供されていないこと、又は、要支援からの要介護への変更など、初回加算の要件を満たしていることが確認できる記録です。再利用の場合、例えば「○月○日~△月△日まで入院によりサービス停止」など、支援経過が記入されていることが必要です。

なお、過去2か月とは月体位の計算であり、例えば、4月20日に訪問介護を開始した場合、同年の2月1日以降に当該事業所からサービス提供を受けていない必要があります。

【本加算の意義】

新しいご利用者に「訪問介護計画書」を作成するための、業務負担に対して支払われる報酬と考えて良いでしょう。なお、前提として料金表や重要事項説明書により加算の説明がされている必要があります。これは他の加算についても同様です。また、初回加算は算定することができる場合は公平性の観点から必ず加算するようにしなければなりません。

 

Q2:処遇改善加算の根拠となる書類・記録について

A2:

処遇改善加算については新たなⅠが設定され、訪問介護では8.6%という高い加算が設定されるようになりました。これは介護における訪問介護の重要性を鑑みての設定であると思います。以下はこの処遇改善Ⅰを算定する場合のケースです。

【根拠となる記録・書類】

以下は算定期間を通じて整備しておく必要があります。

①「介護職員処遇改善計画書」および「職員への周知方法」がわかるもの

職員向けの通知文書や職場での掲示状況がわかるものなどです。

②「賃金台帳」「給与明細等」原則全職員分

賃金の改善状況が分かる書類です。

③その他以下の書類をチェックされる場合もあります。

「介護職員の処遇改善に関する実績報告書」

「労働保険料等納付証明書(原本)」

「就業規則」

「賃金規定」及びそれらの職員への周知の方法が確認できるもの

「介護職員の資質の向上の支援に関する計画の実施状況がわかるもの(研修計画の実施状況)」

「キャリアパス関係書類」などです。

賃金規定では昇給昇格の仕組みがしっかり規定されている必要があります。

賃金規定で規定されていても実態として職員に周知されていなかったり、実際にそのように運用されていない場合は、加算の返還を命じられる場合もあります。

処遇改善加算の必要書類は通常、計画提出時に揃えて提出していますので、後からそろえるという種類のものではありません。ただし、研修だけは実施状況をチェックされますので、研修の出席簿、研修教材、その他研修の実施状況がわかる書類を整えておく必要があります。

 

【本加算の意義】

介護職員の賃金改善のための加算ですが、併せて職員の育成体制などを整備することを求めています。広い意味で介護職員の社会的地位の向上を目指していますので、国としても職員への周知を徹底し、より意識を高めてもらいたいのでしょう。

 

Q3:早朝・夜間・深夜加算の根拠となる書類・記録について

A3:

【根拠となる記録・書類】

①ケアプラン及び必須書類

留意点:当然ながらケアプランに時間設定が無ければ算定できません(緊急時訪問を除く)。

深夜から早朝にかけての訪問では少しでも深夜の時間帯にサービスを開始していれば、深夜加算を算定できますが、そうした時間設定でのサービスが必要な理由、利用者・ケアマネージャーとの合意事項についてはサ担録などで明確に文書化しておき、写しを貰っておく必要があります。

また、加算の対象となる時間のサービス提供時間が全体のサー ビス時間に占める割合がごくわずかな場合においては、この加算は算定できません。

よく問題になるのが、下線部のごくわずかな時間とはどの程度の時間かということです。1時間のサービス時間の中で30分が加算対象時間であればOKなのでしょうか?

実地指導では自治体によって判断が分かれる部分もあるようです。少なくとも全体の時間の1/2以上が加算の時間になっていれば大丈夫だと思いますが、不安な場合は保険者の自治体に確認する方が良いでしょう。

【本加算の意義】

早朝・夜間・深夜労働に対する割増賃金の意義を持ちます。

 

次回は、特定事業所加算についてご説明します。

介護福祉の創業に使える融資・補助金に関するまとめ

介護・福祉事業を行う際の融資や補助金について少し調べてみました。

以下は、2016年7月現在の情報です。

 

 

1 日本政策金融公庫の融資

 世界的な金融緩和状態、日本でもマイナス金利の状況になり、現在、融資がかつてないほど受けやすい状況になっています。

政府としても、起業や新規設備投資にお金を回し経済を活性化させ成長に導きたい意向が強く、日本政策金融公庫でもそうした融資に力を入れているようです。

 

政策金融公庫では介護や福祉などのソーシャルビジネスに対する融資枠を特別に設けていて、新規に介護福祉事業を始める場合、通常年利1.45%の低金利で資金調達できます。

https://www.jfc.go.jp/n/finance/social/yushi.html

https://www.jfc.go.jp/n/rate/riritsu_1ran_m.html (利率一覧:担保を付けるとさらに利率が安くなります)

 

事業経営を自己資金のみで経営される方も多いですが、企業の場合、融資を受けることで事業運営にメリットがあるといわれています。

以下は政策金融公庫で融資を受けた方々のアンケートです。融資を受けて良かったことを回答しています。

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会社経営経験の無い方が起業する場合、どうしてもシビアな資金管理ができず、自己資金が潤沢な場合は奔放な経営になってしまう場合も多いようです。融資を受けることで収支に関してシビアになり、金融機関からの事業チェックも受けますので、引き締まった経営ができるとも言われています。

 介護福祉事業の場合、融資を受けるには管轄自治体からの事業指定が下りる必要があります。政策金融公庫の創業融資の場合、事業指定が下りれば基本的(過去に返済トラブルなどが無いことが前提です)には融資審査に通るようです。

 また、融資を受けるためには創業計画を提出する必要がありますが、指定申請時に作成する収支予算書と経営計画書を利用できますので、比較的簡単です。

 

2 区市町村の創業融資

  区市町村の創業融資は自治体によりさまざまですが、利子を自治体が負担してくれる場合もあります。また、自治体の融資には信用保証料というものが必要ですが、これについても補助制度があります。

区市町村の創業融資を利用する場合は、事業地の区市町村に早めに尋ねてみることをお勧めします。各自治体によって制度が様々で、会社設立のための登録免許税を軽減する制度もあります。会社設立前、起業を検討している段階で相談に行った方が良いでしょう。

 

以下いくつか事例をご紹介します。ただし、これらは28年度の融資制度です。自治体の融資制度は年度により変わりますので、最新のものをご確認ください。

 

台東区(利子を区が全額負担)

http://www.city.taito.lg.jp/index/kurashi/shigoto/kinyukeieishien/yushiseido/tokushuseido/201510_kai.files/kai.pdf

 

中野区(商店街で開業すると利子を全額負担)

http://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/162000/d014367.html

 

品川区(区の特定創業支援事業に認定されると3年間無利子)

http://www.city.shinagawa.tokyo.jp/hp/menu000025000/hpg000024959.htm

 

特定創業支援事業者に認定されると会社設立の登録免許税が軽減される自治体は多いです。研修受講などの要件がありますから、起業を検討する段階から開業する地域の自治体に相談に行きましょう。

 

足立区(2.5%までは利子を補給)

https://www.city.adachi.tokyo.jp/chusho/shigoto/chushokigyo/documents/h28sougyou.pdf

 

葛飾区(利子負担0.3% 保証料30万まで補助)

http://www.city.katsushika.lg.jp/business/1000071/1005377.html

 

 

区市町村の融資は実際に事業を開始していないと受けられないものもあります。政策金融公庫と自治体の融資は併用できます。どちらから先に借りるかは、各自治体の融資制度によりますが、設立資金を公庫、運転資金(主に人件費)を自治体と分けても良いかもしれません。

 

3 創業に使える補助金

次にご紹介するのは融資ではなく創業補助金の情報です。

新たなニースを創り出す創業に対して、中小企業庁が補助金を用意しています。

 

創業・第二創業補助金 https://sogyo-hojo-28.jp/

 

この補助金は、前述の「認定特定創業支援事業を受ける者の事業」のみを対象としていますから、自治体で認定を取ってからの応募となります。

採択されるかどうかは、いかに新奇性と成長性があるかにかかっていますが、Care Biz Supportでは本補助金の応募支援も行っていますのでぜひご相談ください。

各種公募・補助金事業への応募サポート

 

介護保険のみを収入源とする介護事業のみでは採択の見込みは少ないですが、新たな取り組みを合わせてニーズを創造するような事業であれば、採択の可能性はあります。

 

この補助金を利用するにはコツがあります。応募期間があり、起業のタイミングをそれにうまく合わせなければなりません。

平成28年度の場合、応募期間が4月中です。また、4月1日以降に起業する場合に限りますので、すでに開業している場合は応募できません。

平成29年度も同じようなスケジュールと予想できます。この補助金を利用したい方は、4月ぐらいに会社設立予定で起業をスケジューリングした方が良いでしょう。

 

補助率は2/3ですから事業費の1/3は自己負担する必要があります。また、補助金交付後も事業報告など事業運営を管理されますので、しっかりした実現性のある事業計画でなければなりません。単なる机上のアイディアではだめだということです。

 

以下 平成28年度東京都の介護関係で採択された事例です。(全134件中)

 

◎介護保険法に基づく訪問介護事業と一般旅客自動車運送事業(福祉限定)の移送サービスを融合させた生活総合支援事業の展開

◎障害のある子どもたちに対する関係機関等と連携した療育事業の実施

◎介護家族と介護士を繋ぐC to Cマッチングサービスの構築

◎障害者、高齢者の移動手段(自動車、電動車椅子)の開発と製造、販売

 

この他、高齢者向けのフィットネスビジネスもちらほら見えますので、そうしたものとの介護事業を組み合わせられればチャンスはあります。

 

4 介護資格取得の支援事業

自治体が介護関係の資格を取得する支援を行っています。ここでは東京都の支援事業をご紹介します。この他、区市町村や道府県でも支援事業がありますので、各自治体にお問い合わせください。

 

東京都社会福祉協議会(東京都福祉人材センター)の各種事業

 ◎介護職員初任者研修資格取得支援事業

http://www.tcsw.tvac.or.jp/jinzai/kaigojinzaikakuho.html#shikaku

 介護職場の体験をして介護初任者研修修了資格を無料で取得できる事業です。起業予定の方でも参加可能です。

 

◎トライアル雇用事業

http://www.tcsw.tvac.or.jp/jinzai/kaigojinzaikakuho.html#trial

 介護事業所で働きながら介護職員初任者研修の資格を取得できる事業です。期間は最大6か月でその間は契約社員として介護現場で働きます(当然給料も出ます)。介護経験の無い方で介護起業を考えている方も参加できます。ただし、事業参加するためには他の仕事に就いていないことが前提となります。

 

◎介護福祉士等修学資金貸付事業

http://www.tcsw.tvac.or.jp/jinzai/kashitsuke.html

 こちらは介護現場で働いている方向けの事業です。介護福祉士の国家試験を受けるために受講必須となっている、介護職員実務者研修の受講費用の貸付制度です。

 ただし、介護福祉士合格後、介護事業に5年以上勤務した場合は、返還が免除されます。

 

 

 

 

訪問看護の実地指導・検査対策 最終回

最終回は、行政の実地指導でよく指摘される事項や実際の実地指導が来た場合の対応方法、その他まとめとして特に留意してほしい事項を説明いたします。

 

ます、行政などが発表している、実地指導報告書より、訪問看護事業所の実地指導で指導された事例を、その原因や対応法について説明したいと思います。これまでの説明と重複する部分もありますが、ここで上げている事項は特に重要ですので、復習の意味で再掲していきます。

 

(1)よく指摘される事項(人員・運営関係)

① 保健師、看護師又は准看護師を2.5以上確保していない

この指摘は、規模の小さな事業所では特に注意したほうがよろしいでしょう。悪質な場合は指定取り消しになります。特に訪問の稼働(訪問)時間が常勤換算で2.5を超えていない場合は、稼働していない間、訪問看護師が何をしているか(基本待機)明確にしておきましょう。

② 医師の指示書が無い

病院や医師が変わった場合はブランクができてしまう場合があります。医師の指示が無い期間は訪問しても報酬を算定できません。

③ 従業員の秘密保持体制が不完全 

一番多いのは、業務上知りえた利用者等の情報を漏らしてはいけないことを、看護師等の採用時に誓約書等で誓約させていないケースです。誓約書には秘密は退職後も保持しなければならない旨の記載が必要です。できれば、プライバシーポリシー(個人情報保護方針)を作成し、従業員や利用者に提示していると良いと思います。

④ 利用者と家族の個人情報を使用同意を得ていない

重要事項説明書の修正が行われていない事業所があるようです。

⑤ 訪問看護計画書が未作成

医師やケアマネとの関係がなれ合いになり、サービス内容が変わっているのに計画書がずっと昔のままということがあるようです。

⑥  訪問看護計画書の作成に当たって、利用者の同意を得ていない

訪問看護計画書に利用者の署名捺印を忘れないようにします。もらっていない計画書がある場合は速やかに同意を得ましょう。

⑦ 訪問看護計画書の作成者、説明者が不明確

計画書は保健師、看護師(准看護師を除く)が作成しなければなりません。計画書を作成した担当者、利用者へ説明した担当者が一目で分かる よう「作成者」欄、「説明者」欄を設けるようにします(※注意:厚労省のこの欄がありません)。

⑧ 訪問看護計画書の内容と居宅サービス計画(ケアプラン)の内容が合っていない

ケアプランに無いサービスは提供できません。

⑨  看護師等の清潔の保持及び健康状態について、必要な管理が行われていない

以下のポイントを押さえておきます。

 ◎感染症予防・食中毒マニュアルなどが完備されている

 ◎手袋など必要な衛生用品が完備されている

 ◎看護師等の健康診断が実施されその内容を把握している(サービス提供強化加算を算定している場合は必ず)

⑩  毎月、勤務表(従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表)が作成されていない

作成する勤務表には、「職務の内容(訪問か事務かなど)」、「勤務時間」、「常勤・非常勤の別」、「兼務関係」が必要です

⑪ 料金表等に准看護師が訪問する場合の単位数が明記されていない

准看護師が訪問した場合は、所定単 位数が 90/100 となる旨の記載をします。

 

(2)よく指摘される事項(算定関係)

①  初回加算

以下の点がよく指摘されています。 

 ◎新規に訪問看護計画書を作成せずに加算を算定してい る。

 ◎初回加算について、過去ニ月間において医療保険の訪問看護を提供した利用者に加算をしている。

 ◎初回加算の算定要件を満たしている場合であっても、算定していない事例があった。(初回加算は利用料負担公平化の観点から、算定要件 を満たす場合は必ず加算)

②  緊急時訪問看護加算

早朝・夜間、深夜の時間帯に緊急訪問した場合に、早朝・夜間、深夜の加算を算定している。

③ ターミナルケア加算に必要な記録が不十分

ターミナルケア加算を算定する場合は記録書に以下の内容を必ず盛り込まなければなりませんので、注意しましょう。

 ◎利用者及びその家族に対して説明を行い、同意を得ていること。

 ◎利用者の身辺状況の変化等の記録

 ア) 終末期の身体状況の変化及びこれに対する看護についての記録

 イ) 療養や死別に関する利用者及び家族の精神的な状態の変化及びこれに対するケアの経過についての記録

 ウ) 看取りを含めたターミナルケアの各プロセスにおいて利用者及び家族の意向 を把握し、それに基づくアセスメント及び対応の経過の記録

④ 医療保険の給付の対象となる場合に、訪問看護費を算定している

末期の悪性腫瘍や厚生労働大臣が定める疾病等の患者については、医療保険が優先されます。

 

(3)東京都の訪問看護実地指導・検査の状況 - 約85%で指摘事項あり、うち80%が報酬算定の誤り

平成26年度、東京都では 訪問看護事業者1,491事業所に対し131の事業所で実地検査が行われました。このうち何らかの文書指摘を受けた事業所は111事業所で約80%以上が指摘を受けている状況です。最も多いのが「介護報酬の算定等に誤りがあるの で、是正すること」(86事業)という指摘です。

この結果、平成26年度東京都では、訪問看護において合計 827,674円(1事業所当たり6,318円)の返還が発生しています。訪問介護は 310,819円ですので、事業所数を考えると訪問看護は返還額が高い傾向にあります。ちなみに通所介護事業 は 8,318,595円です。

介護報酬の算定はできるだけ注意深く行う必要があるでしょう。

 

(4)実地指導の流れと実施方法(通常の場合)

① 指導通知は1月前程度に来る

監査や虐待など不当行為の事実を把握した場合の緊急立ち入りなどを除いて、通常は1月前ぐらいに通知が来ます。かならず事前提出書類があります。この事前提出書類が、検査のガイドラインになっていますから、書類の準備が対策になります。この書類準備をなおざりにすると、当日、指摘を沢山されますのでしっかり準備しましょう。

② 指導には一般指導と合同指導がある

◎一般指導=都道府県が単独で実地指導を行う。

◎合同指導=都が厚生労働省や区市町村等と合同で実地指導を行う。

③ 一般指導は通常2名体制

都道府県の単独指導の場合は2名体制ですが、合同指導の場合は、共に入る役所により、それ以上の人数になります。

④ 実地指導の時間は原則9:00~18:00以内

基本的には営業時間内での検査になります。問題が見つかった場合延長することはありえます。

⑤ 併設する複数の事業所を同時に検査する場合あり

併設する他の事業所も同時に検査する場合があります。その場合、1事業所の検査時間が短くなる場合もあります。

⑥ 医療保険関係に不正の疑いがある場合、保険医療指導の担当者が一緒に来る場合もある

例は少ないようです。

⑦ 検査員にはお茶などの接客行為は不要

場合にもよりますが、役人への便宜供与になりますので、先方から必要ない旨言われることも多いようです。お茶を出さなかったからといって検査員の心証が悪くなるようなことはありません。

⑧ 必ず介護と介護予防の両方をチェックする 

利用者ファイルなどかならず両方見ます。どの利用者ファイルを見るかは事前の提出資料などから判断しているようです。

⑨ 指摘事項が見つかった場合は後日文書で正式な通知が来る

この通知と同時に改善報告書の提出通知が一緒に来ます。おおむね30日以内にどのように改善したかを報告しなければなりません。

⑩ 報酬に誤りがあった場合は保険者に連絡が行き過誤修正が指示されます。

都道府県の検査の場合でも検査内容は区市町村に渡ります。都道府県の検査の後に、すぐに区市町村が実地指導に入ってくるパターンも良くあることのようです。

 

なお、実地指導に入る事業所の選定基準は東京都の場合、以下の通りです。

(ア)過去の指導検査において、指摘事項の改善が図られていない事業所で、継続的に指導を必要とする事業所

(イ)利用者、保険者等から苦情等情報提供が多く寄せられている事業所

(ウ)休止、移転等で指導が必要な事業所

(エ)新規指定後指導未実施の事業所

(オ)集団指導不参加の事業所

(カ)相当の期間にわたって、指導検査を実施していない事業所

※集団指導に参加しないと実地指導の可能性が高くなりますので、都道府県の開催する集団指導には必ず参加するようにしましょう。

 

(5)最後にコンプライアンス(法令順守)の優先順位

最後に介護事業を運営する上で認識しておかなければならない、法律の基本的な知識として、コンプライアンス=法令順守における優先順位のお話をさせていただきます。

ご存知のように日本国は法治国家です。法律により政府や国民の活動は制約を受けており、政府や個人が好き勝手に活動することはできません。

介護事業は国の厚生事業であり通常よりも多くの法律により活動の仕方に制限を受けます。

介護事業を営む人たちは当然その制限やルールを意識しながら事業を運営する必要があります。この業界で働くほとんどの人がそのことは理解していると思います。

しかし、この法律には重要度において優先順位があり、それを意識して働いている人は少ないのではないでしょうか。

現場からの声で、規定などが沢山ありすぎて、混乱するという話を聞きます。その結果よく見受けられるのが、あまり重要でないルールにこだわって、もっと重要なルールをおろそかにしてしまうというケースです。

仕事の進め方程度のルールと、日本国民として絶対に守らなければいけないルールを同じレベルで認識してしまっているケースさえあるのです(犯罪になります)。

介護事業にかかわる日本の法体系は大雑把に以下のような優先順位で構築されています。

① 憲法

② 国の法令(介護保険法)

③ 地方自治体の条例=各種基準(人員・運営・算定基準など) 

④ 各種解釈通知など

 

それぞれの法律の詳しい説明は省きますが、以下はそのレベルの法律に背くような行為をした場合のペナルティーの例を上げています。

 

① 憲法 → 逮捕・刑事罰(基本的人権の尊重など、実際の刑罰は法令によります)

② 国の法令(介護保険法など) → 逮捕・刑事罰・指定取り消し

③ 地方自治体の条例=各種基準(人員・運営・算定基準など) → 指定取り消し・報酬返還・介護給付の過誤調整・是正報告の提出

④ 各種解釈通知など → 介護給付の過誤調整・是正報告の提出

これはあくまで、一つの例ですが、優先順位の高い法律ほど背いた場合の罰は重くなります。

認知症の利用者をケアマネと訪問介護員が自宅に外から鍵を閉めて監禁してしまったケースでは、このケアマネと訪問介護員が逮捕されました。具体的には刑法の監禁罪にあたるのでしょうが、その基にある法律は憲法の基本的人権の尊重でしょう。

逆に、解釈通知程度のルールを守れないからといって逮捕されることはありません。

介護や医療・福祉事業に従事する方はまずこと法律のプライオリティー(優先順位)を意識することが大変重要です。

医師でさえも、基本的な人権を蹂躙する行為を、運営や処置上必要なこととして手を下してしまう場合があります。

「ならぬことはならぬのです」というレベルをまず知ることが、この業界で仕事をする上では大変重要でしょう。

 

実地指導の通知が来た時も、その対応としてこのレベルは意識されなければなりません。

まず優先順位が高い①~③について適切にできているかを確認するべきです。

憲法や介護保険法に具体的に当たって検証する必要はありませんが、常識として良くないことだと思えること(例えば不正請求や水増し請求など)が行われていないかどうかを、まずは意識すべきでしょう。

うっかりミスの過誤請求は返還で済みますが、やってもいないサービスを故意に請求する行為は、重大な罪になります。

事業所内でそうした不正行為に対して麻痺してしまっているケースが良くあります。「昔からそうしているから」などと重大な不正行為を見過ごしてしまっているケースも多いのです(三菱自動車やフォルクスワーゲンの不正はそれに当たるでしょう)。

このようなルールの優先順位の麻痺は重大な不正につながります。

④解釈通知などは運営の適正化というレベルです。実地指導で指摘されても、それはあくまで適切な事業所運営を目指した指導と受け止めるべきでしょう。

検査員は何も不正を摘発するためだけに来るのではありません。運営の適正化を通して、我が国の介護事業の質の向上をはかるために、毎日、事業所を巡っているのです。

日ごろ利用者さんに向き合いながら一生懸命に仕事に励むあまり、きちんと記録ができていなかったり、請求事務にミスがあったりするのはどうしようもないことだと思います。そうしたプライオリティーの低いルールは実際に指導を受けて適正化すれば良いのです。淡々と検査員の説明を聞いて修正すればそれで何も問題はないと考えましょう。

 

以上で訪問看護における実地指導・検査対策の説明を終わります。

実地指導・検査はプライオリティーの高い法律をしっかり守っていればあまり恐れることはありません。まずは人員基準などの各種基準についてしっかり確認することが重要でしょう。

 

 

 

 

訪問看護の実地指導・検査対策 その3

今回は介護報酬の算定基準(指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準)に関するポイントです。

保険者である区市町村はこの基準により、介護報酬が適切に算定され請求されているかをチェックします。

また、都道府県も加算について基準の要件が完備されているかをチェックします。

いずれにしても、加算については必ずチェックされますので、書面等で必要条件がクリアしていることがわかるようにしておかなければなりません。

従って、ここでは加算を中心にポイントを解説したいと思います。

なお、医療保険の加算もこれとは別にありますが、基本的な必要書類は同じですので、同様に整備する必要があります。

医療保険の算定方法が不明な場合は、悩まずに地方厚生局の地域事務所に確認したほうが良いと思います。

➡地方厚生局地域事務所連絡先 診療報酬に関する紹介先

ここでは、介護保険加算について説明いたします。

 

(1)早朝・夜間、深夜の加算

こちらは訪問介護と同じ扱いになります。

チェックポイントを以下のようになります。

① ケアプランと訪問看護計画書に時間が明示されている(利用者に同意済み)。

② サービス開始時刻が加算の対象となる時間帯にある場合にのみ、算定できます。

③ ただし、加算の対象となる時間のサービス提供時間が全体のサー ビス時間に占める割合がごくわずかな場合においては、この加算は算定できません。

  よく問題になるのが、下線部のごくわずかな時間とはどの程度の時間かということです。1時間のサービス時間の中で30分が加算対象時間であればOKなのでしょうか?実地指導では自治体によって判断が分かれる部分もあるようです。少なくとも全体の時間の1/2以上が加算の時間になっていれば大丈夫だと思いますが、不安な場合は保険者の自治体に確認する方が良いでしょう。

【 確認 】

早朝=サービス開始時刻が6時~8時

夜間=サービス開始時刻が18時~22時

深夜=サービス開始時刻が22時~6時

 

(2)緊急時訪問看護加算

この加算を算定するためには都道府県または管轄の自治体にに算定届を提出していなければなりません。

医療保険では24時間連絡体制加算及び24時間対応体制加算と二つあり、名称も異なっていますが必要な要件はほぼ同じです。

チェックポイントを以下のように整理します。

① 同じ月に医療保険の上記の(24時間)加算を算定している場合は、介護保険の緊急時訪問看護加算は算定できない。

② 当加算は24時間いつでも訪問看護師に連絡が取れる体制が要件とされていますから、実地指導では連絡体制をどのように取っているのかチェックされる。具体的には携帯電話などの持ち方や、連絡を受ける方法を確認されます。

 ◎ 連絡担当が管理者の場合はその携帯電話番号を利用者や家族にどのような文書で知らせているのか書類で確認。

 ◎ スタッフで緊急連絡用の携帯電話を持ち回りしている場合は、その順番を記載した当番表などをチェック。

◎ 相談担当は原則、看護師か保健師とされていますが、准看護師や理学療法士などが連絡を受けて、看護師・保健師に引き継げる体制ができていれば良い。

 ◎ 利用者にはこの加算を算定していることを説明し、同意をえなければなりませんから、通常は重要事項説明書に緊急連絡先の電話番号を明記。

③ この加算を算定する訪問看護サービスを提供した場合は、早朝や夜間であっても早朝・夜間・深夜加算は算定できません。

 ◎ ただし、特別な管理が必要な利用者(特別管理加算を算定している方)の場合、1月に2回以上の緊急訪問を行ったら、2回目以降は早朝・夜間・深夜加算を算定できる。これは、特に手厚いケアの必要な利用者さんの場合、緊急訪問が頻繁に発生する可能性があり、常態化する状況もあるためだと考えます。

④ 複数の訪問看護ステーションからサービスを受けている利用者には他のステーションが当加算を算定していないことを確認すること(一人の利用者に複数の事業所が当加算を算定することはできない)。

 

(3)特別管理加算

この加算も自治体にに届出を提出していなければなりません。

特別管理加算はⅠとⅡがあります。

≪Ⅰ≫

・在宅悪性腫瘍患者指導管理もしくは在宅気管切開患者指導管理を受けている状態にある利用者

・気管カニューレもしくは留置カテーテルを使用している状態にある利用者

≪Ⅱ≫

・在宅自己腹膜灌流指導管理、在宅血液透析指導管理、在宅酸素療法指導管理、在宅中心静脈栄養 法指導管理、在宅成分栄養経管栄養法指導管理、在宅自己導尿指導管理、在宅持続陽圧呼吸療法 指導管理、在宅自己疼痛管理指導管理又は在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態

・人工肛門又は人工膀胱を設置している状態

・真皮を越える褥瘡の状態(NPUAP(National Pr essure Ulcer of Advisory Panel)分類III度若しくはIV度又は DESIGN分類(日本褥瘡学会によるもの)D3、D4若し くはD5に該当する状態)

・点滴注射を週3日以上行う必要があると認められる状態にある利用者(主治医の指示書が必要。かつ実際に週三日以上点滴注射を実施している状態)

 

ポイントは以下の通りです。

① 一人の利用者に複数の訪問看護ステーションで本加算を算定できない。算定する場合は事業所同士で合議し算定する。その情報については文書で残しておく。

② 点滴注射の実施の際は、終了後主治医に報告し、実施内容を記録書(Ⅱ)に記録する。

 

(4)ターミナルケア加算

こちらも届け出が必要です。また、24時間連絡ができる体制が確保されている必要があり、緊急時訪問看護加算の要件を満たしている必要があります。

 

ポイントは以下の通り。

① 算定は死亡月(死亡月に訪問実績がない場合でも)。

② 頻回に訪問看護が必要であり、医療保険の訪問看護が指示されている場合、死亡前、最後の訪問看護が医療保険によりるものか介護保険によるものかにより、ターミナルケア加算をどちらの保険で算定するかが決まる。

例:利用者がターミナル期になり、特別指示書で頻回に訪問看護に入っていて、14日間の特別指示期間終了後(医療保険による訪問)、介護保険の訪問を1日提供し、翌日死亡。

この場合、ターミナル加算は介護保険で算定し、医療保険では算定できない。

③ 以下の内容を記録書Ⅰ・Ⅱに明記しておくこと。

 ◎  終末期の身体症状の変化及びこれに対する看護についての記録

 ◎  療養や死別に関する利用者及び家族の精神的な状態の変化及びこれに対するケアの経過についての記録(例:本人、家族の死の受容に対してどのような対応をしたか)

 ◎  看取りを含めたターミナルケアの各プロセスにおいて利用者及び家族の意向を把握し、それに基づくアセスメント及び 対応の経過の記録(例:本人、家族がどのように最後の時間を過ごしたいと望んでいるのかを把握し、それを実現するために何が課題であり、それをどのように解決するか、また、実際にどのように対応したか)

④ ターミナルケア中に医療機関に搬送された場合、24時間以内に死亡が確定した場合は、本加算を算定できる。

 

(5)初回加算

初回加算は間違えが多い加算ですので、特に注意したほうが良いでしょう。

以下のポイントにご留意ください。

① 初回加算を算定する場合は、必ず新規に訪問看護計画書を作成しなくてはならない。

② 過去2月間において訪問看護(医療保険の訪問看護を含む)の提供を受けていた利用者には加算できない。

◎ 過去2月間とは歴月で丸々2月という意味です。たとえば4月1日に訪問し、4月2日に入院した場合、次の訪問で初回加算が算定できるのは、7月1日以降です。6月ではありません。

③ 要支援⇔要介護と区分が変更になった場合は加算可

初回加算を算定している場合、実地指導では①と②が必ずチェックされますので特に注意しましょう。

 

(6)退院時共同指導加算

病院や老健から退院・退所する際に、原則1回算定できますが。留意すべきポイントは以下の通りです。

① 算定は初回の訪問時の報酬に加算する。

② 初回の訪問が退院時共同指導を実施した翌月でも算定可能(翌々月は不可)。

③ 特別管理加算を算定できる利用者については2回算定できる(当然、共同指導が2回行われている場合のみ)。

④ 上記の場合、2か所の訪問看護ステーションでそれぞれ1回ずつ算定可能。

⑤ 1回しか算定できない場合、他の訪問看護ステーションが退院時共同指導を実施していないか確認すること。

⑥ 1回しか算定できない場合、介護保険で算定すると、医療保険では算定できない(2回できる場合はそれぞれの保険で1回ずつ算定可能)。

⑦ 共同指導の内容は必ず記録書に記録する。

 

(7)看護・介護職員連携加算

この加算は訪問介護事業所がたんの吸引等の医療的サービスを行う際に、連携する訪問看護ステーションが算定できる加算です。

連携の枠組みは制度化されており、医師、訪問看護師、訪問介護員がサービス提供体制を構築していなければなりません。

通常ですと訪問介護事業所がたんの吸引等の事業者登録する時点から連携し、研修の指導者として関わっていくことが多いと思います。

詳しくはこちらの資料をご覧ください。➡喀痰吸引等指導者講習会資料

ポイントは以下の通り。

① 訪問介護員によるたんの吸引等のサービス体制を構築強化するために、訪問介護員に同行訪問し業務状況を確認した時や、会議に出席した時に算定できる。

② 上記の連携を行った月の初回の訪問看護報酬に加算する。

③ 緊急時訪問介護加算の届け出が出ていない場合は算定できない。

④ ケアプラン上計画されている訪問看護実施の際に、訪問介護員が同行し、たんの吸引等のサービス実施状況を確認した時に、計画した訪問看護時間を超過しても、当初の計画の訪問時間以上の報酬は算定できない。

⑤ 本加算は訪問看護員のたんの吸引等の技術不足を補うことを目的とするのではなく、安全なサービス提供体制を構築する上で、医療的な知見からサービスの実施状況を評価し、医師への情報提供やサービス向上の取り組みに対し加算するものであり、介護職員の技術的指導や研修を目的した同行訪問では加算できない。

 

(8)看護体制強化加算

算定する場合は届け出が必要。

本加算は医療依存度が高い利用者が多い場合に算定できますが、基準を超えなかった月は算定できません。従ってこの加算を算定する場合は毎月基準を超えているかチェックし、記録に残しておく必要があります。実地指導では当然、すべての月の基準状況について文書でチェックされます。

以下3つの基準をすべてクリアしていなければ算定できません

① 算定する月の前3か月で、緊急時訪問看護加算を算定した利用者が50%以上

② 算定する月の前3か月で、特別管理加算を算定した利用者が30%以上

③ 算定する月の前12か月で、ターミナルケア加算を算定した利用者が1名以上

人数の計算方法は以下を参考にしてください。

 

例)特別管理加算を算定した実利用者の割合の算出方法

※6月に看護体制強化加算を算定

3月 4月 5月
利用者A
利用者B ◎(Ⅰ)
利用者C 入院 ◎(Ⅱ)

〇訪問看護のサービス提供が1回以上あった月

◎特別管理加算を算定した月 

【人数算出方法】

  ア 前3月間の実利用者の総数 = 3人

  イ アのうち特別管理加算(Ⅰ)(Ⅱ)を算定した実利用者数 = 2人 → アに占めるイの割合 = 2/3   ≧ 30% …算定要件を満たす

注意!! 基準がクリアできない月が発生した場合は届け出が必要になります。

 

(9)サービス提供体制強化加算

算定には届け出が必要です。

以下の4つの要件があり、すべてを満たしている必要があります。

① すべての看護師等への研修の実施

② すべての従業者による技術指導を目的とした会議の毎月開催

③ 非常勤職員を含めた健康診断の実施

④ 看護師等の勤続年数について、3年以上の者が3割以上

上記の要件を満たせなくなった場合は速やかに届け出が必要になります。

各要件にかかわるポイントを以下に示します。

① すべての看護師等への研修の実施

 ◎ 従業者ごとに具体的な研修の目標、内容、研修期間、実施時期等を定めた研修計画を作成し実施しなければなりません。届け出時は予定でかまいません。

個別研修計画の見本をダウンロードしてご確認ください。➡訪問看護師研修計画

この研修はパートも含めて全員が受講しなければなりませんので、欠席者は補講する等対策が必要です。実地指導では研修計画と実施記録、出席簿、研修教材など研修の実態がわかる書類をチェックされます。

② すべての従業者による技術指導を目的とした会議の毎月開催

 ◎ いわゆるケアカンファレンスであり利用者のケースをみんなで話し合う会議です。

 ◎ 月に1回以上開催する必要があります。

 ◎ 上記の研修の際に、カンファレンスを同時に開催すると参加しやすいかもしれません。

 ◎ 欠席者は別に集めて同様のカンファレンスをする必要があります。

 ◎ 議事録と参加者名簿を作成し保管しておきます。

③ 非常勤職員を含めた健康診断の実施

 ◎ パートさんも含めて全員が会社の負担で健康診断を受けなければなりません。

 ◎ 年間の健康診断の実施状況がわかる書類(受診した従業員の名前がわかる書類)と法人が支払った領収書を保管しておきます。

 ◎ 扶養の方など区市町村の特定健康診査を受ける方、は診査料を法人が立て替える必要があります。その際は、その方から受領書を貰っておきましょう。

④ 看護師等の勤続年数について、3年以上の者が3割以上

 ◎ 計算方法は次の計算書を使用します。→勤続年数計算書(東京都の計算書です。加算届の様式にエクセルシートが添付されています)

 ◎ 計算の対象となった職員が、在職する(した)ことを示す書類(在職期間と職務内容がわかるもの)=労働者台帳等を保管しておく。

 ◎ 訪問看護ステーションに所属する理学療法士、作業療法士、言語聴覚士も対象です。

 

以上、長くなりましたが各種加算のチェックポイントでした。

 

 

次回は最終回です。

訪問看護の実地指導でよく指摘される事項やその他の留意事項について解説します。

 

 

 

訪問看護の実地指導・検査対策 その2

前回の続きです。

3 運営に関する基準(運営基準)

運営基準は介護事業所を運営するにあたって、守らなければいけない基準を網羅していますが、

多くの項目があるのでここでは実地指導などで指導されやすいポイントに絞って解説いたします。

基準そのものはこちらをご覧ください。➡ダウンロード 訪問看護基準

ポイントを以下に列挙します。

(1)重要事項説明と同意は本人と家族それぞれ必要

(2)保険証の確認は原本で行うこと

(3)アセスメント=「心身の状況等の把握」は通知文で記入項目が指示されている

(4)訪問看護計画書・報告書についても通知文で記入項目、参考フォーマットが指示されている

(5)訪問看護計画書の目標評価は初回訪問後、1月程度で行う

(6)医師・ケアマネ・連携する介護事業所などとの連絡事項は必ず文書などでその事実が確認できるようにしておく

(7)必要な変更届を正しく届け出ている

 

各ポイントの解説

(1)重要事項説明と同意は本人と家族それぞれ必要

こちらはすでに実施されている事業所も多いでしょう。

介護サービスはケアマネージャーを中心に訪問介護や看護、福祉用具などの各種サービス事業者がチームとなってサービスを提供します。

チームは利用者のQOL向上のためにカンファレンスにより問題点や課題を話し合います。

ご存知のように在宅介護では利用者の家族がキーパーソンとなっている場合が多く、

大概の場合が介護ストレスに晒されており、それが利用者のQOL向上を阻んでいる場合も多いでしょう。

ケアチームはそうした家族の情報も含めて話し合い、課題や問題点を整理しなければなりません。

そのことはご利用者はもちろんご家族にも理解していただく必要があります。

重要事項説明書によるご家族の同意は、そうした介護サービスの在り方に同意していただくためにあります。

老々介護や認々介護など家族ぐるみでの支援が必要なのが在宅介護ですから、

その意義をしっかり理解しておくことが重要でしょう。

 

(2)保険証の確認は原本で行うこと

これは意外に見落とされている決まりです。

通常、コピーをファイルしておくことが多いですが、介護サービスの受給資格があるかどうかを、

被保険者証で確認するのは「原本」を確認する必要があります。

偽造の被保険者証である場合もありますし、コピーですといくらでも内容を改ざんできたりします。

被保険者証は介護保険サービスの要でもありますから、

保険証のコピーに「〇年〇月〇日原本確認 確認者氏名」と記入しておくと良いでしょう。

 

(3)アセスメント=「心身の状況等の把握」は通知文で記入項目が指示されている

厚生労働省から「訪問看護計画書等の記載要領等について」という通知が出ており、

これにいわゆる「基本情報」であるアセスメント=「心身の状況等の把握」の記録を

「記録書Ⅰ」として記録するよう指示されています。

内容は以下の通り。

①訪問看護の依頼目的

②初回訪問年月日

③主たる傷病名

④既往歴、現病歴

⑤療養状況

⑥介護状況

⑦緊急時の主治医・家族等の連絡先

⑧指定居宅介護支援事業所の連絡先

⑨その他関係機関との連絡事項

等とされています。

続いて、「記録書Ⅱ」としていわゆるサービス提供内容について以下の内容を記録するように指示しています。

①訪問年月日

②病状

③バイタルサイン

④実施した看護 ・リハビリテーションの内容等(精神訪問看護に係る記録書Ⅱには、訪問先、食生活・清潔・排泄・睡眠・生活リズム・部屋の整頓等、精神状態、服 薬等の状況、作業・対人関係、実施した看護内容等)必要な事項を記入する こと。

一般的に広まっている基本情報やアセスメント、記録書の様式でおおむねカバーできているとは思いますが、

貴事業所の様式を今一度チェックするとよろしいでしょう。

 

 (4)訪問看護計画書・報告書についても通知文で記入項目、参考フォーマットが指示されている

上述の通知文でこれらの様式も指示しています。

ダウンロードしてご確認ください。➡訪問看護計画書等の記載要領等について

なお、この計画書様式を必ず使用しなければならないわけではありません。

本様式の内容を網羅していれば、他の様式でも構わないと思います。

ちなみに本計画書には計画書作成者を記入する欄がありません。

計画書の作成は看護師でなければなりませんので、この様式を使う際は備考欄などに作成者の氏名を記入しておくべきでしょう(作成者が管理者でない場合)。

 

(5)訪問看護計画書の目標評価は初回訪問後、1月程度で行う

上記に示した訪問看護計画書には「評価」欄が設けられています。

この評価をどの程度の期間で行うかは以下のような解釈通知が出ています。

「訪問看護計画書の評価欄は、

① 計画において、目標、問題点、解決策をたて、

② ①の計画に基づき訪問看護を行い、

③ 訪問後に計画に対する評価を記載する。評価は今後の計画の立て方に活用する。

評価を記載するタイミングは、示していないが、概ね訪問開始後1ヶ月程度で評価を行うことが好ましいと考えられる。

 

ここで、訪問開始後1っか月程度としているのは、訪問看護を利用する方は退院直後や病状の悪化が想定されますから、

容態変動の可能性を考えてのことだと思います。

ある程度安定してくれば、3カ月から6カ月ぐらいでも良いと思いますが、

わからない場合は医師に確認すると良いでしょう。

 

(6)医師・ケアマネ・連携する介護事業所などとの連絡は必ず文書などでその事実が確認できるようにしておく

介護事業において記録は、電話対応時のメモや留守番電話のメッセージ、メールやLINEなどのSNSのメッセージも記録に含めます。

文字になった記録はすべて文書です。

実地指導では医師やケアマネとの連携をしっかりとっているかどうか確認するために、

そうした記録の提出を求められます。

文書にせずに電話だけで連絡を取っていたりすると、そうした記録が残りませんから、記録を残すように指導されます。

文書と言っても形式ばる必要はなく、利用者さんのファイルの最初にノート形式の用紙を一枚つけておき、

その都度、日付・連絡事項・記入者などをメモ書きしておけば大丈夫です。

 

(7)必要な変更届を正しく届け出ている

事業所に変更があった場合は10日以内に都道府県と厚生局事務所(医療)に変更届を提出する必要があります。

東京都の場合、変更届が必要な変更事項は以下の通りです(届け出事項は自治体により微妙に異なります)。

①事業所の名称

②事業所の所在地

③法人代表者(開設者)の氏名及び住所

④定款・寄付行為等及び登記簿謄本等  (訪問看護事業に関するものに限る。)

⑥事業所の建物の構造、専用区画等

⑦事業所の管理者の氏名及び住所

⑧運営規程(電話、ファックス番号、営業日、営業時間、従業者数、通常の事業の実施地域、利用料など)

 

なお、管理者以外の従業者の変更については、変更届の提出は不要です。

従業者の『数』に変更があった場合のみ、変更届が必要です。

(※運営規定の従業員数の記載方法を、「常勤職員〇名以上、非常勤職員〇名以上」としておけば、数の変更も必要なくなります)

加算が増えただけの利用料金の変更は加算届の提出で良く、変更届の提出は不要です。

なお、管理者の婚姻などによる氏名変更で、免許証が旧姓の場合、

氏名変更がわかる戸籍謄本等が必要になります。

 

 

変更届は忘れてしまいがちですが、運営規定以外の①~⑦については必ず提出するようにしたほうが良いと思います。

運営規定の小さな変更についてはついでの時でも良いかもしれませんが、半年に1回程度は事業所に変更点がないか確認するべきでしょう。

 

次回は算定基準です。

 

 

訪問看護の実地指導・検査対策 その1

 

訪問看護の指導検査対策について研修を依頼されましたので、準備の意味も含めて、記事にしてみたいと思います。

指導検査は実地検査とも申しますが、当ホームページでも対策の概要について紹介しています。

 

介護事業の場合、どのような事業でも基本的には都道府県と区市町村がそれぞれ検査に入ってきます。

 

それぞれの役所の検査はほぼ似たような内容ですが、それぞれ立場が異なります。

 

≪都道府県の検査≫

主に事業を指定した立場から(地域密着型・総合事業を除く)検査

➡各事業の指定基準に基づいた検査

≪区市町村の検査≫

主に介護保険の保険者の立場からの検査

➡適切な介護報酬算定管理(請求)をしているかの検査

※地域密着型や総合事業、施設事業を除く

 

すべての介護保険事業について以上のフレームは変わりません。

そして、検査は4つの基準に基づき実施されることになります。

1 人員に関する基準(人員基準)

2 設備に関する基準(設備基準)

3 運営に関する基準(運営基準)

4 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(算定基準)

以上の4つです。

 

当然、訪問看護事業所にもこのフレームにより検査が入りますが、都道府県は主に1~3について、

区市町村は4について、集中的にチェックしてきます。

これは先に述べた、それぞれの立場の違いからくるものです(指定権者と保険者)。

 

各基準におけるチェックポイント

さて、訪問看護の実地検査においてそれぞれの基準がどのようにチェックされるのか、

そのポイントと完備しておかなければならない書類等について、押さえておきましょう。

なお、ここでは病院や診療所の訪問看護ではなく、いわゆる「指定訪問看護ステーション」について、

説明することとします(定期巡回・小規模多機能に併設する訪問看護も除きます)。

1 人員に関する基準(人員基準)

人員基準のポイントは2点です。

(1) 看護職員(訪問看護員)は常勤換算で2.5人

(2) 管理者は常勤で保健師または看護師でなければならない

ここでよく問題になるのは、「常勤換算」ということです。

「常勤換算」とは訪問看護員として従事しているスタッフの稼働時間を足しあげて、

常勤職員が労働するべき時間(通常週40時間~35時間程度)で割った数字ですが、

詳しくは「常勤換算計算シート」(ダウンロード➡常勤換算計算シート 病院用ですが介護でも同じです)をご覧ください。

 

以下、人員基準で注意するべき点を上げておきます。

① 管理者は看護職員として換算できない

② 訪問看護サービスを提供していない時間は換算できない(移動時間を除く)

だとすると、小さな事業所や立ち上げたばかりの事業所で2.5人は無理ではないかと思えます。

まず、管理者の管理業務は1日1時間でもかまいません。

のこりの7時間は訪問看護員として働いていることにできます。

また、利用者が少なく実働時間を足しあげても2.5人にならない場合、

実態として訪問看護員が待機状態であり、利用者がいればいつでもサービスに入れる状態であれば、

実働時間と同じであるとみなしてよいことになっています。

しかし、待機状態になっていない場合(例えばどこかに出かけていたりしている場合)は換算できませんので注意しましょう。

ちなみに、このポイントは訪問介護の場合も同様です。

 

もしも、常勤換算で2.5人分を満たしていない場合は最悪の場合は指定取り消しの可能性もありますので、大変重要な基準です。

スタッフの勤務状態は適切に管理する必要があり、管理がずさんだと行政側が怪しみ、細かいところまで突っ込んでチェックされますので、

以下に挙げる書類は適切に完備しておく必要があります。

≪完備すべき書類≫

① スタッフ全員の免許証の写し

② スタッフ全員の出勤簿

③ 毎月の「従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表」 見本ダウンロード➡ 勤務形態一覧

④ 訪問シフト表

⑤ サービス提供表などのサービス提供実績がわかる書類

以下、場合によってはチェックされる書類(上の書類で怪しいところがある場合など)

① スタッフ全員の雇用契約書(労働条件通知書)

② スタッフ全員の給与明細または給与支払いを証明できる書類(銀行振り込み票など)

③ 登録スタッフの連絡先(場合によっては本人に勤務実態を確認される)

 

 

2 設備に関する基準(設備基準)

次に設備基準のポイントです。

(1) 事務室が共用の場合は、訪問看護ステーションとしての専用区画が必要

(2) 相談スペース・感染症予防の手洗い所・鍵付き書庫の完備

 

注意すべき点は以下の通り。

① 相談スペースは遮音効果のあるパーテーション(カーテンはダメ)により相談者(利用者など)の

プライバシーが適切に保護できるようになっている

② 感染症予防の手洗い所は実態として感染症予防効果が期待できる設備でなければならない

①については、個室が確保できていればOKですが、フロアーをパーテーションで区切って相談スペースとしている場合、模様替えなどによって、指定申請時と変わってしまっていることがよくあります。

東京都などでは指定申請時に写真により厳しくチェックされるポイントです。

もしも、適切でない場合は改善するように指導されます。

 

②については手洗い所が給湯スペースなどである場合、本当に感染症予防の手洗いが適切にできるかチェックされます。

また、トイレ内の手洗い所は認められない場合もあります。

手洗い場所に消毒液やペーパータオルがきちんとあるか確認しましょう。

 

設備基準に書類チェックはありません。

すべて現場の立ち入り検査によりチェックされます。

指導検査の連絡が来たら上のようなポイントをチェックし、適切でない場合は改善しておくようにします。

 

残りの基準の説明は次回行います。