介護事業所の人事評価の在り方について その2

 

今回は人事評価の評価基準についてです。

 

客観的な評価基準を設定するのは難しい

 

 一般的なサラリーマンの人事評価では、評価基準は以外に漠然としたものになっているようです。

 例えば、コミュニケーション能力や企画力、リーダーシップなどが売上などの業績評価と合わせて評価され、処遇に反映される仕組みが多いでしょう。

 

 一言でいうと、「組織に対する貢献度」が評価されると言って良いかと思います。

 しかし、貢献度と言われても客観的な基準を作ることはとても難しいのも事実です。ですから、人事評価は深いものなのです。

 

 

売上だけを評価基準にはできない

 

 たとえば学校の試験など、正解が明確であれば評価もしやすいでしょう。しかし、仕事では何が正解かということが、はっきりしない場合があり、売り上げ一つとっても本人の能力や努力とは別に、結果が出てしまう場合があります。

 

 たとえば、ファミリーレストランチェーンの店ごとの売り上げを評価して、売り上げの高いお店の店長のボーナスを沢山出したとしましょう。

 しかし、レストランの場合、立地条件や業務規模などの環境により、集客力は店長の力量とは別に決まってしまう場合があります。

 

 集客の厳しい支店を任されている店長がどんなに頑張っても、前述の売り上げの高い支店には負けてしまうこともあるでしょう。

 

 人事評価において後者の店長を低く評価し、前者の店長を高くしたら、どうなるでしょう。頑張っても売り上げの伸びないお店を任されている店長は、不満を持つに違いありません。

 

 大手出版社では儲からない純文学を漫画の売り上げが支えていると言われています。しかし、社員の給与は漫画も純文学も変わらないそうです。漫画の編集者ばかりが高給だったら、誰も純文学の編集者をやりたがりません。すると、日本の文学が衰退してしまうということにもなりかねないのです。

 

公務員は人事評価によるボーナス査定は無い

 

 一般的な公務員には業績評価によりボーナスに差がつくことはありません。期末手当や勤勉手当などと呼び、一律同じ月数(大体5か月分ぐらい)の金額が支給されます。

 従って人事評価によってボーナスが変わるということは無く、一般の会社員とは性質が少し異なります。

 

 介護事業の場合も、管理職以外は人事評価によりボーナスを変化させることはあまり好ましくないと筆者は考えます。

 人事評価はあくまで毎年の昇給や昇格(職級を上げるかどうか)の判断に用いられるべきであり、ボーナスの額に反映させない方が良いでしょう。

 

 現実には年の売上げ高によってボーナスの額は変わりますので、なかなか人事評価で増やしたり減らしたりすることも難しいと思いますので、大丈夫だとは思いますが、一般職の処遇については、ある程度一定であった方が、不満は出ないと考えます。

 

介護の一般職員の評価基準

 

 評価基準や評価項目に悩むときりがありません。

 できるだけシンプルに人事評価を導入して、組織の能力を向上させるには、基準も外部のものを活用していけばよいと思います。

 

 幸い、厚生労働省が在宅介護職の評価基準を作成しています。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000093927.html

「職業能力評価シート(在宅介護業)」

 

 今のところ訪問・通所・訪問入浴しかありませんが、今後、他の業種の評価基準が追加されることを願います。

 

 使い方は「職業能力評価シート(在宅介護業)」に含まれていますので、参考にしてください。

 なお、評価項目によっては、その職員が実際に行っていない項目も含まれています。その場合はその項目の評価はできませんので、無理して評価する必要はありません。評価指標としては○や×を付けず、-などにして評価の合算には加えない方が良いでしょう。

 

 

管理職が普段、部下の仕事ぶりを見てい無い場合は?

 

 管理職が評価する場合、実際にはその職員の仕事ぶりを日常的に見ていない場合があります。その場合は、自己評価のあと、実際に仕事ぶりを知っている直属の上司(リーダーや主任など)に当たる職員に評価をしてもらい、その上司とよく意見交換し評価を決定すると良いでしょう。

 

 人事評価で管理職でない職員が部下を評価する仕組みは形式的にあまり好ましくありません。

 人事評価はその管理職が管理する組織の評価に最終的につながってきますので、管理職が責任をもって行わなければなりません。

 

 また、普段はあまり一緒に仕事をしない管理職が、一般職員と年に1回仕事のことを話し合うことで、普段身近に居る直属の上司には言いにくいことも言える場合があります。

 その上司に対する不満もその一つです。それにより管理職は組織の問題点や弱点を発見することになりますし、職員にとっては不満の解消にもなります。

 

 

人事評価を実施するシンプルな目的

 

 人事評価を実施する目的をまとめてみましょう。

 先に述べたように組織の生産能力を向上させるための人事評価は、考えれば考えるほどきりがなく難しくなります。中小企業が取り組むにはハードルが高すぎます。

 従って、以下のような目的で実施するのだと、できるだけ簡単に考えて、導入することがポイントになります。あまり難しく考えないことです。

 

【中小企業が人事評価を導入するシンプルな目的】

 

① 年に1度管理職と職員が仕事のことについて話し合う場として実施する

② 毎年の昇給が適当かどうかを判断するために実施する

③ 昇格ができるかどうかを判断するために実施する

 

 以上の3つの目的で実施することにしてください。それ以上のことを考えると難しくなります。

 

 

評価者に対する講習は要らないのか

 

 「介護プロフェッショナルキャリア段位制度」では評価者は講習を受け「アセッサー」という資格を取得しなければ、評価ができません。

 このアセッサーは評価を公正適切に行うために設定されていますが、人事評価を実施するために、評価者がこのアセッサーの講習を受ける必要はありません。

 

 職場の人事評価制度は上のような目的のために実施します。一方、「介護プロフェッショナルキャリア段位制度」は介護職員の資質の向上を目的に実施されるもので、趣旨が異なります。

 「介護プロフェッショナルキャリア段位制度」は言わば職場研修(OJT)が主眼です。アセッサーは仕事上、職員に何が足りないかを正確に見抜き、さらにはそれを教えてゆく能力が必要となります。

 

 一方、人事評価の目的は上記の目的ですので、組織や職員が納得して進められればそれで良いのです。

 

 

 この項終わり。

 

 

 

介護事業所の人事評価の在り方について その1

今後、人事評価は必要になる

 

 今年度の処遇改善加算の新Ⅰのキャリアパス要件に人事評価の項目が入りました。

 現状では人事評価を実施しなくても新Ⅰを算定することは可能ですが、今後、さらに加算がアップする場合には、職員の評価を適切に実施し昇給・昇格する仕組みが要件になると考えられます。

 

 キャリパス要件では「実技試験や人事評価」という表現になっていますが、介護職の仕事を評価するには実技は当然入ってきますので、実技評価を含んだ人事評価と考えて良いでしょう。

 

人事評価とは

 

 人事評価は組織が業務を推進していく上で、職員の仕事を適切に評価し、賃金やボーナスなどに反映させ、効率的で安定的な組織運営と業務推進を目指して行われるものです。

 人事考課や業績評価、能力評価などいろいろな呼ばれ方をしますが、いずれにしても、組織に貢献している人を評価し、貢献していない人を罰する、信賞必罰の考え方がベースにあると言えます。

 

 中小企業ではよく、優秀な人が辞めてしまい、あまり能力のない人が残ってしまうということを言われます。

 これは、能力を適切に評価し、処遇を高めることをしないために、起こります。また、優秀な人には仕事が集中するにもかかわらず、それに見合った処遇がされないことに不満を持つことも良くあります。

 介護事業所でもこの傾向はみられることでは無いでしょうか。

 

人事評価を導入するには

 

 人事評価を導入するには、人事専門のコンサルタントに依頼することも可能ですが、業種によって評価内容や方法が異なるため、自社の事業に完璧にマッチした制度を構築するには、相当の作業が必要です。

 また、人事評価制度は組織運営を最適化するためのツールでもあり、職員の能力を評価し処遇に反映さていく過程で、組織を効率化し、生産性を最大化する効果も求められてくる場合があります。

 経営学の中でも深く研究されている分野でもあり、中小企業が取り組むにはハードルが高すぎる面もあります。

 従って専門のコンサルタントに頼み、レベルの高い制度を導入するには、かなりの費用が掛かってしまうことを、ご承知ください。

 

 ここでは、まず簡潔に導入できる方法を考えたいと思います。

 シンプルな人事評価制度でも、導入効果は大きく、スタッフのモチベーションアップや組織課題の解決に貢献しますので、導入は大変意義があると筆者は考えています。

 

 処遇改善加算に対応したシンプルな人事評価制度の導入サーポートもCare Biz Supportで行っていますのでお問い合わせくださればと思います。

 

シンプルな人事評価制度の2つの評価方法

 

 通常、介護事業所には一般職員と管理職がいます。この職員区分で評価方法を変える必要があります。

 

  • 一般職員(現場で直接介護サービスを提供する職員)

 訪問介護事業所でいえば、訪問介護スタッフやサービス提供責任者(一部管理職である場合もあり)

【評価方法】

 一般職員は介護サービスの提供能力や組織人としての行動能力を評価します。これは介護技術や、組織内における円滑な業務の遂行能力(コミュニケーション能力など)や貢献度の評価になります。

 

  • 管理職(事業所のマネジメントや、会社のマネジメントに関わる職員)

 いわゆる課長級の管理者や部長級の職員、またその他の役員

【評価方法】

 管理職の評価は「業績評価」です。

 「業績評価」は事業所の売り上げや、会社の組織目標を達成できたか(新規事業所を適切に立ち上げたかなど)が評価の対象になります。

 

 処遇改善加算の要件では、まず一般職員の評価が求められていると考えて良いでしょう。

 

 実は、管理職の評価は簡単です。年度当初に目標を設定し、年度末にそれが達成できたかを役員会議などで評価すればそれで終わりです。

 

 難しいのは一般職員の評価の方であり、適切な評価ができないと、組織の生産性が低下してしまいます。

 

 一般職員の評価を実施するのは直属の管理職です。管理職にとっては部下の一般職員に頑張ってもらわないと、自らの業績目標が達成できないわけですから、その評価は仕事としてまじめに取り組まなければならない事柄になります。

 

 

まず会社の人事評価規定を作成する

 

 人事評価を導入するには、まず、それにかかわる規程類を整備しなければなりません。

 例として、「東京都職員の人事考課に関する規程」ご紹介しておきます。

 

http://www.reiki.metro.tokyo.jp/reiki_honbun/g1012590001.html(東京都職員の人事考課に関する規程)

 

 私は東京都の教育委員会で実際に6,000人程度の職員の人事考課業務に携わっていました。

 介護の仕事は公的サービスですから、公務員の人事評価制度を準用することが可能です。この規程におけるポイントを整理すると以下のようになります。

 

【人事評価規定を作成する際のポイント】

 

 ①一般職員の評価は直属の管理職が行う。

 ②毎年実施する。

 ③毎年同じ期日(10月1日など)に職員がみずからの職務能力について自己評価をする。

 ④職員の自己評価に基づいて、管理職が同様の評価をする。

 ⑤人事評価の内容を確認しながら、職員と管理職が面談し、評価内容や仕事のことについて話し合う(必ず1対1)。

 ⑥面談の内容は秘密厳守

 ⑦上記の過程を通じて、その職員のその年の評価が確定する(できるだけ納得してもらう)。

 

 なお、公務員では直属の上司以外の2次評価がありますが、介護事業所ではこれは必要ないでしょう。

 

 

 

重要ポイントは自己評価と面談

 

 毎年、職員が自分の仕事を自己評価し、管理職と面談することは、日頃の仕事では見えてこない様々な課題が見えてきますし、それを解決する糸口にもなります。

 

 面談では直接の仕事のことだけではなく、家庭のことや将来の目標なども話されると良いと思います。

 この際、管理職は秘密厳守をあらかじめ職員に説明しておく必要があります。

 

 人事評価を実施することで、職員にとって居心地の良い職場づくりも可能になってきます。

 説明と納得により、仕事の不満も解消しますし、不満が残る場合は、どうすれば解決できるかを考える端緒になります。

 

 これらは基本的に正社員に対する制度ですが、パート職員も年に1回みずからの介護技術を自己評価してもらい、上司(この場合は管理職でなくても良い)と面談することで、継続的な雇用につながると考えます。

 

 このように人事評価を導入することは大きな効果を上げると考えます。

 

 しかし、一般職員の評価をするには評価基準を設定しなければなりません。

 次回は、介護職の評価基準をどうすればよいかをご説明します。

 

 

 

 

平成29年度処遇改善加算 新Ⅰのキャリアパス要件について その3

 今回は新しく設定された(キャリアパス要件Ⅲ)について説明したいと思います。

 

新しく追加されたキャリアパス要件Ⅲ

 

 介護職員の平均給与を上げていくための政策として、処遇改善加算が今後も上がって行くかどうかは、介護報酬の基準額の見直しとのバランスで検討されるのでしょう。

 しかし、今回の要件追加を見ると、要件の小出しのように見えますので、今後も加算アップは行われると考えています。

 

 ただ、現状で、たとえば訪問介護の特定事業所加算の要件と処遇改善加算の要件がかぶっている部分があり、二重加算になっている状況も見受けられますから、この辺の整理は行われるような気がします。

 

キャリアパス要件Ⅲの内容は?

 

次のイ及びロの全てに適合すること。

 

介護職員について、経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準

に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けていること。具体的には、次の一から

三までのいずれかに該当する仕組みであること。

 

 イでは3つの要件が示され、そのうちいずれかに該当していれば良いので、今後すべてに該当する要件が加わる可能性があり、加算のアップを行える余白を残しています。

 

 それぞれについて説明いします。

 

経験に応じて昇給する仕組み

「勤続年数」や「経験年数」などに応じて昇給する仕組みであること

 

 こちらは要件Ⅰの「イ 介護職員の任用の際における職位、職責又は職務内容等に応じた任用等の要件(介護職員の賃金に関するものを含む。)を定めていること。」に似ていますが、こちらは職階の設定を求めているのであり、毎年昇給するような定期昇給の仕組みは求めていません。リンク

 

 新要件では、継続的にその会社で働いている人に、定期昇給の仕組みを求めていると言えます。もちろん毎年上がる仕組みでなくとも、3年ごとに昇給でもOKなのですが、一般的には毎年昇給するのが多いと思われます。

 

 また、他の介護会社に転職した場合など、介護の実務経験などを鑑みた(経験年数)給与設定をしなさいということも求めています。

 

 介護士や看護師など同業転職の多い職種では、転職のたびに給与がリセットされてしまう傾向がありますので、他の同業転職した場合でも、実務経験年数を考慮してほしいということでしょう。

 

 これを設定するには給料表を作成する方法が一般的です。

 例として「東京都職員給料表」をリンクしておきます。

東京都職員給料表

 縦軸に「号給」があり横軸に「職務の級」がありますが、「職務の級」が係長などの職階を意味します。そして縦軸の「号給」が定期昇給の区分割になります。これがいわゆる基本給と言われるもので、この上に、資格手当などの手当てが乗っていきます。

 毎年、通常に業務を遂行できた職員は上の号給にアップします。それがいわゆる定期昇給です。

 さらに、中途採用者は経験に応じて適当な号給からスタートとなります。どの号給からスタートするかは個別に判断されます。

 

資格等に応じて昇給する仕組み

「介護福祉士」や「実務者研修修了者」などの取得に応じて昇給する仕組みであること。ただし、介護福祉士資格を有して当該事業所や法人で就業する者についても昇給が図られる仕組みであることを要する。

 

 これは資格手当についての要件ですが、単純に手当を乗せるだけでなく、昇給する仕組となっていますから、職階も資格によって上がる仕組みになっていると良いと思います。

 例えば上の東京都のように1級から5級に職階が分かれている場合、

 無資格、介護初任者研修修了者、ヘルパー2級  →  1級職

 実務者研修修了者               →  2級職

 介護福祉士                  →  3級職

 

 という風に昇給昇格していく仕組みであると良いと思います。

 これと同時に、介護福祉士手当のような資格手当の付与があるとベターであると思います。

 

 ただし、介護福祉士資格を有して当該事業所や法人で就業する者についても昇給が図られる仕組みであることを要する。というのは、既に資格を取得し、就職してきた人も同様の処遇をしなさいということだと考えられます。

 つまり、介護福祉士の資格を持って就職した人は上の職階の例でいえば3級職からスタートしなさいということです。

 

 たとえば、介護福祉士の専門学校を卒業して入社してきた若い新入社員は3級職の低い号給からの基本給スタートになります。

 

 

一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み

「実技試験」や「人事評価」などの結果に基づき昇給する仕組みであること。ただし、客観的な評価基準や昇給条件が明文化されていることを要する。

 

 この要件の中ではもっともハードルの高い要件です。今回の要件設定では3つある要件のどれかを満たしていればよく、本要件が満たされていなくても、新Ⅰは算定できます。

しかし、今後さらなる処遇改善加算の上乗せがあるとするならば、必ずこの要件もクリアしなければⅠは取れないということになるでしょう。

 

 この要件を満たすためには、通常、賃金規定に「定期昇給」要件を明文化します。

 通常は1年間、問題なく業務を遂行できれば定期昇給する」と明文化すれば良いのですが、1年間、問題なく業務を遂行できれば」とは何ぞやということになります。

 

 昇給させるためには、その職員が1年間、問題なく業務を遂行できたかどうかを評価する必要があるのです。

 

 その評価をどのようにするか?

 それが一般的には「人事評価」というものです。

 「実技試験」が入っているのはキャリア段位制度との連携を考慮に入れてのことだと思いますが、現状、キャリア段位制度を定期昇給に反映させるには無理があります。

 なぜなら、定期昇給の評価は毎年、全職員を評価しなければならないからです。今のところキャリア段位制度のアセッサーによる評価を全員に適用することは不可能です。

 

 「介護事業所における人事評価」については次回で詳しく説明します。

 

 

イの内容について、就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、全ての介護職員に周知していること。

こちらは要件Ⅰの「 イ及びロの内容について就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、全ての介護職員に周知していること。」と同様の内容です。

平成29年度処遇改善加算 新Ⅰのキャリアパス要件について その1

 

 次回は「介護事業所における人事評価」のやり方について例をご紹介します。

 

 

 

訪問系サービスのスタッフ獲得術・定着術 その9

人材確保にとって重要な事業所のホームページ

 

 これまで、述べてきた働きやすい職場づくりを実践しても、それをアピールしなければ人材は集まってきません。

 また、求人誌やハローワークに載せる求人情報ではどのような職場かを知ってもらうには限界があります。

 そこで活用したいのが会社や事業所のホームページです。

 

 介護事業所のホームページは主に利用者やケアマネージャー向けにサービス内容の紹介や、事業所の場所などを紹介するために作成されていることが多いでしょう。

 しかし、仕事を探している人にとっては、このホームページが非常に重要な情報源となることを認識しなければなりません。 

 仕事を探している人は、求人誌やハローワークで求人情報を見て興味を持った場合、ほとんどの人がその会社や事業所のホームページを検索して、どんな職場なのかを知ろうとします。 

 そんな時、ホームページが事務的な内容でしかない場合、また、働きたいと思わないような内容であった場合、その人は応募することを控えてしまうでしょう。

 ホームページの内容が充実していて、職場の雰囲気が良く伝わってくるようなものであり、「良い雰囲気だな」と思えば応募してくれる確率も高いと言えます。

 

 

無料でホームページを作ることもできる

 

 ホームページを作るにはお金がかかると思っている方も多いでしょうが、無料で作成する方法もあります。

 多少のパソコンの知識があれば作成は可能です。

 もちろん作業時間が必要になりますが、外注で作るにしても、人手不足の悪循環から脱出するためには、多少の投資は必要であると考えます。

 

 現況で筆者が使ったことがある無料ホームページ(ウェッブサイト)では以下のものが使いやすかったと感じています。

 多少広告が入りますが、写真などのコンテンツがあれば簡単にホームページを作成することができ、専用のソフトを使うよりも簡単です。

  https://jp.jimdo.com/

 

 他にも無料で作れるサイトは多くあります。どこにするか選択するヒントとしては、自分の好みのテンプレートがあるかどうかで良いと思います。デザインの趣味などが自社にあっているものを選びましょう。

 https://bge.jp/free-homepage/

 

 

どんなホームページを作るのか

 

 ではどのようなホームページを作れば良いのでしょう。

 一言でいえば、「職場の雰囲気が伝わるホームページ」だと思います。

 

 デザインのかっこいいイカシタホームページである必要はありません。そこで働いているスタッフやご利用者の雰囲気が伝わってくるホームページが、人材確保には有効なホームページだと思います。

 もちろん、これまでに述べてきた働きやすさのアピールもしっかり行いたいものです。

 筆者が関わっている会社の例を以下に紹介します。

 

 株式会社ケア・プランニング

 http://www.best-kaigo.com/

 株式会社ナック(さんしゃいんヘルパーセンター)

 http://sunshine-helper.com/

 

 ホームページを作る場合のポイントは以下のようになります。

 

1 スタッフの働いている姿が分かる

 写真はできるだけたくさん掲載することをお勧めします。写真が多ければ多いほど雰囲気は伝わりやすいです。

 その際、ご利用者とスタッフの触れ合いの場面など、仕事が楽しく行われている雰囲気が伝わる写真が、多いと良いでしょう。

 なお、ご利用者の写真を掲載する場合は、許諾を得る必要があります。

   「肖像権使用同意書例」

    http://www.caremanagement.jp/?action_download_detail=true&lid=2681

 

2 求人情報のページを必ず設ける

  ここで働きやすさをアピールします。

 

3 事業所の特徴があれば積極的にアピールする

 上に紹介した株式会社ケア・プランニングでは、小規模多機能居宅介護にソフトバンクのペッパーがいてそれが特徴として前面に紹介されています。なんだか楽しそうな職場です

 

4 スマホで見た場合もきちんと伝わるように作成する

 最近はPCを持っていない人もいますので、スマホでも見られるサイトにしなければなりません。

 

 なお、業者に発注する場合、上記のようなコンセプトを明確に伝えないとステレオタイプな、どこにでもあるようなホームページになってしまう場合があります。

 また、更新のたびに料金が発生してしまう場合もありますから、よく相談して発注したほうが良いでしょう。

 自作の場合はそのリスクはありませんので、自作できたらその方が良いかもしれません。

 

 

各種ネット資源を活用する

 

 ホームページは1度作成したら、求人情報以外あまり更新する必要の無いように作成するのが良いと思います。

 そのかわり、FacebookやInstagramなどのSNSを活用し、イベント情報や日々変わる情報をアップしていきます。

 ホームページにリンクしたり埋め込んだりすることで、訪れた人に事業所の動きが伝わるようにしましょう。

 

 また、YouTubeなどに動画をアップしてホームページ埋め込むのも効果的ですホームページ埋め込むのも効果的です。例えば新人スタッフの紹介など、テキストを入力しなくても簡単にできるので便利だと思います。

 

 訪問介護や訪問看護の場合、仕事の現場を撮影した動画があまりネットにアップされていません。

 仕事の内容を知ってもらうためにも、そのような動画を掲載するのもアイデアだと思います。

 

 

 この回、終了。

 

 

訪問系サービスのスタッフ獲得術・定着術 その8

今回は求人の工夫について紹介します。

 

求人会社(媒体)選びのポイント

 

 求人売り手市場の現在、企業はあの手この手で人材確保をしようとしています。特にパート人材の確保は難しく、飲食系やコンビニは悪戦苦闘している状況のようです。

 

 そんなとき求人会社(媒体)は何を選べばよいか悩むところでしょう。現状では特にパートスタッフに関してはハローワークに求人を出してもほとんど反応は無いでしょう。

 

 求人会社(媒体)選びは地域によっても違いがありますのでどこが良いとは一概には言えませんし、求人業界が好景気で新規参入者も多く玉石混合の状態です。

 介護求人は四六時中求人出ししていなければ、なかなか人が集まらない状況です。継続的に求人を出し続けるためには、ネット求人の方が有利でしょう。

 ポイントは以下のように整理できると思います。

 

1 ハローワークには一応出しておく(3か月ごとに更新)

 最近、ハローワークの求人検索のデータベースにリンクを張って求人情報を掲載している民間サイトが増えています。

 その意味でもハローワークには一応掲載し、定期的に更新しておく姿勢が必要でしょう。更新しないと優先順位が下がってしまいます。

 

2 掲載無料の成功報酬型の求人会社(媒体)を選ぶ

 掲載課金型は掲載料が掛かるだけですが、掲載期間が終わると再度掲載しなければならないので継続的に求人を出すにはコスト負担が大きいです。

 応募課金型は応募があったら課金される仕組みですが、面接まで行ったら課金というように、サクラの応募を排除しているような場合はOKですが、単なるネット上の問い合わせにも課金されるようであれば避けた方が良いでしょう。

 採用成功した場合のみ課金される掲載無料の求人サイトをお勧めします。

 

3 地域で強い会社(媒体)があればそれを選ぶ

 地方では大手でなくても求人情報力の強い会社があるようです。介護事業所は地域密着型ですので、地域の人たちに情報が届きやすい会社(媒体)を選ぶことが重要です。

 首都圏は概ね大手が強いため、そのような会社(媒体)は無いかもしれません。

 

4 高額の祝い金を出すような会社(媒体)は緊急時以外使わない

 昨今、看護師などで高額のお祝い金を出す会社(媒体)がありますが、当然費用は事業者持ちです。祝い金を貰ってすぐに辞めてしまうような人もいるようですので、緊急に人材を確保しなければならないような時以外はあまりお勧めできません。

 

5 広告などの露出の大きい会社(媒体)を選ぶ

 求人事業というのは漁業に似ています。魚がいそうなところに網を張ったり、撒き餌をして魚を捕るのが漁業です。求人事業も仕事を探す人を沢山引き付けている会社(媒体)が一番儲かるのです。

 そのためには効果的に網を張り撒き餌を撒かなければなりません。それが広告です。

 テレビや各種媒体で仕事を探している人にアピールしている会社に、やはり人は集まってきます。

 最近この求人会社の広告よく見るな、という会社があったらそこを利用してみるのも手でしょう。

 もしそこが、成功報酬型の掲載無料サイトであれば、それがベストです。

 

 

求人情報の掲載方法

 

 これまで述べてきた働きやすさなどのポイントをできればアピールしたいものです。

 

 具体的には以下のような感じです。

 

「子育てママのための短時間正社員制度あり!!」

「急な子供の病気で休んでも正社員がしっかりフォーロー!!」(パート向け)

「長期有給休暇取得制度あり(10日の長期休暇が取れます!!)」

「パートさんの有給取得支援制度あり!!」

「初心者・介護無資格者歓迎、丁寧に指導しますので不安なく働けます!!」

 

 などなど、差別化できるポイントをアピールできると良いでしょう。

 

 筆者は研修などで、介護の仕事を探している人に求人情報を見る際、注意する点として以下のことを教えています。

 求人をする際、参考にしてください。

 

1 給与は総額よりも公正さが重要

 給与総額が高くても必要に応じ各種手当が公正に出ていなければ結局同じです。介護事業の給与は収入が介護給付ですからそれほど差別化はできないものです。

 高い給与をアピールしてくる会社よりも残業や資格、研修手当や移動手当などが公正に支払われているかが重要です。

 賃金を公正に支給する仕組みがしっかりとしている会社は、人事がしっかりしており、人事がしっかりしている会社は概ね会社自体もしっかりしています。

 

2 年間休日日数の多い会社は働きやすい

 年間休日日数がほかの会社よりも多い会社を選んだ方が、当然休みが多く働きやすい会社と言えます。

 

3 月に1回程度研修がある事業者を選ぶ

 これは問い合わせたり面接で聞くしかありませんが、月1回研修のある事業所は各種加算を算定しているはずですから、収入に余裕があり、他の事業所よりもきちんとしていると考えられます。

 

4 各種支援制度が充実している

 資格取得や産休育休などへの支援制度の充実をアピールしている会社はそれだけ社員を大切にしている会社であると言えます。

 

 

 

 次回は求人におけるホームページの重要性について紹介します。

 

 

訪問系サービスのスタッフ獲得術・定着術 その7

ワークライフバランスとは

 

 日本では主に政府が主導して男女共同参画の観点から進められている運動です。

http://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/20barrier_html/20html/charter.html

 その背景には少子化問題(国力低下の問題)があり、働きながら子育てしやすい社会の構築が目指されている感があります。

 しかし、何も子育てだけがワークライフバランスの「ライフ」に当たるわけではありません。

 

 人によっては当然ワーク=ライフの仕事人間の人もいるわけで、人それぞれのワークライフバランスがあるでしょう。

 

 人材不足の現況、企業としては「多様な働き方を受け入れていく」ことで、人材を確保することが望まれています。

 この「多様な働き方」というのが人それぞれであり、また、人生のそれぞれの場面でも変わってきます。

 

 女性や高齢者、障害者も含め、さらに人生の様々な場面でその人にとって働きやすい働き方というものがあります。それらをできるだけ受け入れて労働力を確保するということが必要になるでしょう。

 

 この記事で述べてきた、スタッフの定着のための様々な方策も、まさにワークライフバランスの充実のための方策と言って良いでしょう。

 

 

介護の職場はワークライフバランスに適した職場

 

 「多様な働き方を受け入れていく」という意味では、介護職場はそれを実現しやすい職場です。その辺のことは既に述べてきました。

 男性の場合、給与が安いという意味で一生の仕事ではないという人もいるかもしれませんが、起業すればそれなりの収入を得ることは可能です。

失敗しない介護・福祉起業

 

 ただ、介護企業側がそのことをしっかり認識し、短時間正社員制など、多様な働き方の設定をしっかりと構築し、さらにそれを周りににアピールしなければあまり意味はありません。

 介護事業が多様な働き方ができる職場であることを、経営者がまず認識しなければ、ワークライフバランスの推進はできないでしょう。

 

 

ワークライフバランスを意識した就労制度とは

 

 では介護事業所としてどのような多様な働き方を設定できるでしょう。以下に例を挙げます。

 

1 短時間正社員

 通常週40時間のところ、週30時間などと短縮しても正社員とする制度です。

 朝晩の保育園の送り迎えなどがあるママさんなどにとってはありがたい制度です。子供に手がかからなくなった時には40時間勤務に切り替えます。

 厚生労働省では「短時間正社員制度導入ナビ」を公開しています。事例紹介では介護事業所の事例も出ていますので参考にしてください。

https://part-tanjikan.mhlw.go.jp/navi/

 

2 土日祝日休み職員の設定

 訪問介護事業所などは365日営業が多いため、土日祝日が休めないイメージがあります。この点に配慮して、土日祝日が休める正社員制度を設定します。

 ワークライフバランスを意識した場合、このことは大変重要で、子供のいる家庭では土日祝日が休めない場合、家族に対する負担は大きくなります。

 介護職場が人気が無いのはこのことが原因ではないかと筆者は考えています。

 

3 有給休暇の取得奨励制度(パートスタッフも含む)

 有給休暇を計画的に取得させる制度です。

 例えば、年間10日以上の有給休暇取得計画を毎年社員に提出させます。これはパートスタッフにも適用されることが重要です。

 管理者はそれを前提に、年間のシフトなどを設定します。休暇がかぶってしまうような場合はずらしてもらう必要も出るでしょうが、その辺はスタッフ同士で調整しあうような仕組みにすると良いでしょう。

 パートスタッフの場合、勤務年数によって取得できる有休休暇日数が法律で決まっています。支給される給与は、通常その人が1日に貰う給与や平均給与を適用するようです。 

 訪問系介護事業所では高齢のパートスタッフも多く働いています。こうした方々にとってはこの制度はとても人気があります。

 日本人は休むのが苦手な民族のようです。しかし、人生100年時代、人生を楽しみながら長く働くためには長期休暇がもらえることはとても重要なことだと思います。

 

4 産休・育休・介護休業制度の周知と復帰の奨励

 中小企業の場合、女性に子供ができると仕事を辞めなくてはならないという風潮もあるようです。また、子供を産んだ後も育てながら仕事に復帰することに困難さを感じる場合もあります。

 先に挙げた短時間正社員制度などを導入し、妊娠時や復帰後の勤務軽減など、子育てしながら働きやすい職場を社員にアピールすることが大事です。

 若い人たちは産休・育休制度自体があることを知らなかったりします。求人の段階から子育て支援の整備された会社であることをアピールし、管理者などが説明していくと良いでしょう。

 周りに産休・育休・介護休業を取得して復帰したスタッフがいるとより効果的だと思います。

 

5 長期休業の取得制度

 例えば、勤続5年以上の場合、最長1年間、無給にて休業できるというような制度です。学校に通うような場合は、2年から4年に増やす規定も可能でしょう。

 しかし、現在の日本の労働制度の場合、休業中の社会保険の問題などがあり、若干導入はしにくいようです。今後の制度改善が望まれます。

 

 いくつか例を上げさせていただきましたが、上記の制度類を導入するには、職場に人的な余裕があることが大切です。そのためにもスタッフの定着の好循環を生み出していかなければならないでしょう。

 

 なお、このような制度を導入するためには就労規則などを改正しなければなりません。その費用を助成してくれる制度があります。

 また、介護労働者の負担軽減の助成金や仕事と家庭の両立のための助成金もあります。詳しくは社労士に相談いただければと思います。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/teityaku_kobetsu.html

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/ryouritsu01/index.html

 

 

次回は、求人のための工夫について紹介します。

 

 

訪問系サービスのスタッフ獲得術・定着術 その6

スタッフの運動器系トラブル対策

 

 前回の続きです。

 

6 リフトやスライドボードなどの福祉用具の活用を図る

 

 昨今、老人ホームでは腰痛による退職防止策として、リフトの導入が進んでいます。

 訪問介護ではなかなか、そういうわけにはいきませんが、福祉用具相談員とよく話し合い、それぞれの利用者に適した福祉用具を導入してもらうように検討しましょう。

 体重の重い利用者など福祉用具の活用が有効なご利用者の場合、ケアマネージャーやご本人によく説明をし、適切な機器の利用を進めるべきでしょう。

 そのような我儘は言いにくく、我慢した結果、スタッフが腰を痛めてしまい、サービス提供が継続できなくなった例などが見られます。

 スタッフの腰痛予防のための福祉用具の導入は我儘でなく、サービス提供を継続するための適切な方策であると考えるべきです。

 

7 腰痛対策商品を活用する

 

 最近は腰痛予防の様々な商品が開発されています。

https://innophys.jp/musclesuits(マッスルスーツ)

http://www.morita119.com/rakunie/(腰部サポートウェア)

 コストの問題もありますので、導入するかは検討が必要かもしれませんが、いざというときに事業所に一つあると心強いかもしれません。

 例えば、おんぶして階段を上がらなければならないようなサービスの時は重宝するかもしれません。

 なお、腰痛ベルトなどを日常的に着用することは、筋肉量低下の原因になるため、推奨されません。現場で負荷の高い作業する時だけ着用するのがポイントです。

 

8 人により業務の内容を調整する

 

 老人ホームではスタッフ全員がある程度一律の業務を実施する必要がありますが、訪問系のサービスの場合スタッフの能力により業務を調整することが可能です。

 非力なスタッフには、負荷の軽い業務を回し、負荷の重い業務は体力のあるスタッフに回すことができます。

 スタッフの定着のためには、この辺の調整をシフトで行う気遣いが重要になると考えます。また、先にも述べた通り、スタッフが「自分にはこの業務はきつい」と気軽に言える雰囲気が職場にあることが重要でしょう。

 業務を適材適所で行っていくためには、女性や男性、若者や高齢者など、バラエティーに富んだスタッフが所属していることが理想ですが、そのためにも、スタッフが職場に定着することが大切になります。

 

 

メンタルヘルス ─ 「世話不足の悪循環」の違い

 

 職員のメンタルヘルスは介護事業に限らず、企業が取り組まなければならないこととして、近年クローズアップされています。

 しかし、前述したスタッフに対する気遣いが不足していることによる「世話不足の悪循環」をメンタルヘルス対策で解決することはできません。

 新人スタッフが仕事のことで悩んでいるのは、厳密に言えばここでいうメンタルヘルスの対象では無いと考えます。

 それはスタッフの指導育成体制の問題であり、社内に「職場の悩み相談担当」を設置しても解決しないでしょう。

 職場のメンタルヘルスを考える場合、まず、新人スタッフがすぐに辞めない指導育成体制ができている前提で考える必要があります。

 

 

精神疾患の職員に対する対応

 

 病気と言えないまでも精神的な負担は退職に直結します。

 気分が落ち込むような仕事や職場では継続しようがありませんが、それが仕事や職場によるものかは人によって様々です。

 スタッフにとって居心地の良い職場であれば、精神的な負担も最低限なものになるでしょう。しかし、精神疾患はそれだけでは防ぐことはできません。家庭や恋愛など職場とは違う場所に原因がある場合も多いのです。

 

 うつ病や他の精神疾患の状態にあるのに、本人がそれに気づかず(もしくは認めず)医者にかからないために、欠勤や遅刻などを繰り返す場合があります。

 このような場合は、適切なメンタルケアが必要になりますが、中小企業の内部だけでは適切な対処はできないでしょう。専門家に任せる必要があります。

 費用を負担してあげれば、業務命令として(仕事として)適切な医師の診断を仰ぐことができますので、医師に任せるのがもっともよい方法方です。

 本人にどのように説明するかなどは社労士さんと相談すると良いでしょう。

 

 東京都では職場のメンタルヘルスを支援するサイトを開設していますのでご活用ください。

 http://www.kenkou-hataraku.metro.tokyo.jp/mental/

 

 

年に1回のメンタルヘルスチェックからの業務環境改善

 

 定期健康診断と同様に、年1回スタッフ全員のメンタルヘルスチェックを実施することをお勧めします。チェック表は以下をご活用ください。

http://www.kenkou-hataraku.metro.tokyo.jp/mental/self_care/check.html

 

 ただ単にチェックするだけでなく、結果を業務環境の改善につなげることが重要です。

 それがスタッフ定着に繋がります。

 また、本人の自覚を促すきっかけにもなります。本当は疲れているのに頑張ってしまっている人や、本人にも気づかない精神の状態をあぶりだしてくれます。

 

 そのため、チェックを人事考課や能力評価と一緒に行うと良いでしょう。

 チェック結果について上司と話し合うような仕組みにすることで、より業務環境の改善に繋げることができると考えます。

 

 次回はワークライフバランスについてご説明します。

 

 

 

訪問系サービスのスタッフ獲得術・定着術 その5

 

スタッフの健康管理は事業者の責務

 

 労働安全衛生法では、事業者は常時雇用する職員に会社負担で定期健康診断を受診させる義務があります。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000103900.pdf

 

 常時雇用する職員とは概ね週30時間以上働く、契約期間の定めのない労働者で、パートスタッフも含みます。

 

 訪問系のパートスタッフの場合、週30時間以上の労働実態が無いため(1日の訪問時間が6時間以上ないと週30時間を超えることができない)、事業者によっては健康診断を実施していない場合もあるようです。

 しかし、訪問介護の場合は週30時間以下のパートスタッフも含めて会社負担で健康診断を受診しないと、特定事業所加算を算定できないことはご存知でしょう。

 

 訪問看護でもサービス提供体制強化加算を算定するためには同様に事業者負担で定期健康診断を実施する必要があります。

 

 いずれにしても、介護事業においてはスタッフの健康管理は事業者の負担で、事業者の責任で進めていく必要があると考えます。

 

 ただ、パートスタッフは扶養者の保険で定期健康診断を受診したり、40歳以上の人の場合区市町村の特定検診を受診している場合があります。

 

 この場合は事業者の実施する健康診断を受診せずに、それぞれのスタッフが受診する健康診断の自己負担部分の費用を事業者が負担してあげればOKです。

 

 なお、労働安全衛生法では、健康診断の結果(健康診断票のコピー)を、保存しておかなくてはなりません。

 

 

スタッフの定着には腰痛など運動器系トラブル予防が大切

 

 定期健康診断は主に内蔵系の生活習慣病などの検査が中心になります。

 

 しかし、介護スタッフには腰痛や関節炎、肉離れなどの運動器系トラブルに見舞われることが多く、これは辞職の原因に直結します。

 

 腰痛などの運動器系トラブルはその人の身体的な特徴によるものが多く、また、年齢による違いも大きいでしょう。

 

 中年女性や高齢者にパートスタッフとして大いに働いてもらわなければならない介護事業では、スタッフの運動器系トラブルをできるだけ減らすことが、スタッフ定着のための重要な方策になります。

 

 しかし、腰痛などの原因は複雑であり、様々な原因があるため人それぞれ対策が異なる場合があります。

 厚生労働省では社会福祉施設の介護従事者の腰痛予防対策を冊子にしています。内容はかなり専門的で複雑ですが、腰痛予防のストレッチなどは参考になるでしょう。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000092614.pdf

 

 ただ、これはあくまで老人ホームなどの一定の環境での対策です。訪問系の現場ではそのまま導入することは難しいでしょう。

 そこで、スタッフの腰痛などの運動器系トラブルに対する簡単な対策を以下にまとめてみました。これだけで、全てのスタッフの腰痛や運動器系トラブル予防ができるわけではありませんが、少しは辞職の防止につながるとは思います。

 

【スタッフの運動器系トラブル対策】

 

1 負荷の高いサービス提供前にストレッチなどの準備体操を義務付ける

2 ボディメカニクス研修などを定期的に実施する

3 スタッフの運動習慣を支援する仕組みを整える

4 体組成計などにより個人の筋肉量を計測する

5 研修等で個人の栄養管理の啓発を行う(特にタンパク質)

6 リフトやスライドボードなどの福祉用具の活用を図る

7 腰痛対策商品を活用する

8 人により業務の内容を調整する

 

1 始業前に腰痛体操などの準備体操を実施する

 

 訪問先で、移乗などの筋肉に負担がかかるサービスの前には、必ずストレッチなどの準備体操を実施することを、業務の手順の中に加え義務付けます。

 筋肉系のトラブルの場合、筋肉が温まっていない状態での急な負荷が原因になることが多く、負荷の高い介護をする前には、必ず実施するようスタッフに指導します。

 準備体操は、できれば訪問先の家の中に入る前に実施すると良いでしょう。ご利用者の前で行うと、ご利用者がつらい気持ちになってしまうかもしれません。

 

2 ボディメカニクス研修などを定期的に実施する

 

 年に1回は集合研修で行い、同行訪問などの時も現場でしっかりボディメカニクスの原則を確認すると良いでしょう。

 

3 スタッフの運動習慣を支援する仕組みを整える

 

 スタッフの腰痛予防や運動器系トラブルに対する研修の中で、日常的な運動の奨励をする一方、スタッフが気軽に参加できるトレッキング会や街歩き会などを社内で開催したり、スタッフが地域スポーツに参加するための補助金を出すなど、スタッフの運動習慣獲得に対する支援を進めることも良いことでしょう。

 介護予防の観点からも40歳ぐらいからの運動習慣は重要視されています。中年以上のスタッフには特に意識してもらうことが重要でしょう。

 

4 体組成計などにより個人の筋肉量を計測する

 

 ご存知のように高齢になれば筋肉量は減っていきます。筋肉量の減少が運動器系のトラブルに直結することは明らかですから、スタッフが筋肉量を計測し、自分の筋肉量が平均より少ないのか多いのかを知ることは、運動器系トラブルを予防する第1歩になります。

 

5 研修等で個人の栄養管理の啓発を行う(特にタンパク質)

 

 筋トレなどの運動をしなくても、必要なタンパク質量を適切に摂取すれば、筋肉は増えます(その代わり体脂肪が減ります)。ですから、日々の食事でタンパク質をどのくらい摂取すべきかをスタッフ研修などで意識付けさせます。

 なお、運動で身体を動かす習慣がある方は、1日に

自分の体重×1.2~1.3g (例:体重70kg×1.3=1日に必要な目安91g)

 摂取しなければなりません。

 ちなみに、91g摂取するには、赤身の牛ステーキ500g、牛乳なら3リットル程度必要です。

 

 昨今の研究でどうやら、若い人は炭水化物を摂取しても筋肉に変える能力がああるが、年を取ると、タンパク質を直接摂取しないと体脂肪ばかり増えて筋肉量が減っていく傾向があるようです。

(サルコぺニアの原因 https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/sarcopenia/about.html

 中年以上のスタッフには特にこの点を意識付けする必要があるでしょう。

 

次回はこの続きとメンタルヘルスについて説明します。

 

 

訪問系サービスのスタッフ獲得術・定着術 その4

パートスタッフにとって居心地の良い職場づくり

 

前回の続きです。

 

パートスタッフは報酬の高さよりも居心地の良さを優先します。

 

【居心地の良い職場の指標】

4 自身の生活(子育てや家族)やライフスタイルとうまくマッチングしている

 

 パートスタッフは基本的に地元の人が殆どであり、地域の働きやすい職場で、長く定着して働くことを望んでいます。

 共働きの主婦など、子育てや家庭のことなど自分のライフスタイルにマッチした働き方が地域でできることが重要なのです。

 そのことを前提に、事業所運営をしなければなりません。

 

 なお、このことは正社員についてもある程度言えることです。また、パートから正社員に登用される道(主婦の場合は子育てが終わったらケアマネージャーとして働きたいなどのニーズがあります)があるとさらに良いと思います。

 

 介護事業所は、地域の職場として安定した就労環境を提供する義務があると考えてください。

 大企業などは都心に事務所を持ち、郊外から通勤する労働者により事業運営をしていますが、それはビジネス機会や給与などの面でそれだけのメリットがあるからです。

 また、若い労働者にとっては都会の華やかなオフィスで仕事をすることに憧れや、喜びを持っているかもしれません。

 しかし、介護事業はそもそもが地域密着の事業であり、都会に事業所を集中できるような性質のものではありません。あくまで、地域の人たちの手によって地域の人たちにサービスを提供する形態が事業の基本になります。

 

 ライフスタイルにマッチした職場(=居心地の良い職場)としての条件は以下のようなことがあげられます。

 

① 小さい子供を育てる主婦の場合、急な子供の病気に対応する必要があり、そのような場合、仕事を急に休むことができる。

② 保育園の送り迎えなどの時間が取れる(短時間勤務が可能)

③ 労働日や時間がある程度自由に選べる

④ 土日祝日は確実に休める(子育てをしている人にとって休日は子供の相手をしなければなりません)

⑤ 産休育休や病気休暇等の後でも復帰しやすい(そういうことが気軽に相談できる)

⑥ 旅行などに行きたい場合、長期休暇を取りやすい(リタイアした高齢者などには働きやすい)

 

 

仕事が人に合わせる職場づくり

 

 基本的には、労働者が家庭や趣味、そうした人生の中で優先したい事を優先しながら仕事ができる環境が望ましいと言えます。

 

 人生100年時代が来ると言われ始めました。そうすると人は80歳ぐらいまで働かなければならないと言われ始めています。

 これからは、今までのように、65歳までは仕事の人生、65歳からは余生というような分け方はできなくなるでしょう。

 おそらく、人が仕事に合わせるのでなく、仕事が人に合わせる必要が出てくると考えます。

 

 地域の職場としての介護事業所はそのように、仕事が人にあわせるような働き方ができる職場として、機能させることができると考えます。

 主婦や高齢の労働者にとってはそのような職場が望まれていると考えます。

 

 さて、仕事が人に合わせられるような職場づくりをするには正社員が活躍しなければなりません。パートスタッフがフレキシブルに働くためにはその穴を正社員で埋めるしか無いのです。

 

 つまり子供の急な病気で休まなくてはならないパートママの穴を、正社員でカバーできる体制作りが必要になります。

 そのため、先の「世話不足の悪循環」でも述べた通り、サービス提供責任者や管理者は現場にあまり出ず、そうした急なトラブルのカバーに回る必要があり、それが普通であるような職場作りが求められます。

 正社員がパートのカバーを柔軟にでき、お互いに助け合うような雰囲気が職場にできると、大変居心地の良い職場になると考えます。

 

 

5 肉体的・精神的な負担が少ない

 

 つまり、ストレスの少ない職場ですが、そのためには、個々の職員の職能や技術にマッチした仕事ができることが重要です。

 また、日頃から職員の健康管理について会社が支援する体制も重要になってきます。

 

 介護は肉体的にきつい部分がある仕事です。腰痛などにより離職を余儀なくされる場合もあり、体力のない人にとっては継続が難しい場合もあります。

 

 身体介護(移乗・入浴・排せつ介助など)は女性や高齢のスタッフにとっては肉体的な負担となります。パートスタッフにとって働きやすい職場にするためには、そうした肉体的な負担について、「できる・できない」を気軽に訴えることができる職場が居心地の良い職場でしょう。

 

 「○○さんの入浴介助は私には少し負担が大きい」と気軽に言えることが大切なのです。もし、頼まれた仕事が肉体的にきついのに、それを訴えられない雰囲気がある場合、そのスタッフはやがて辞めてしまうでしょう。

 まじめな人であればなんとか克服して、仕事を全うしようとするかもしれませんが、実際に腰を痛めるなどして仕事ができなくなれば結果は一緒です。

 

 精神的な負担は「世話不足の悪循環」でも述べた通りです。仕事の悩みはすぐに解消されるよう、気軽に相談できる体制が必要になります。

 

 健康管理については体力づくりや怪我の予防も含めて、本人任せにせず会社が支援することが重要になりますが、健康診断以外にどのような支援があるでしょうか?

 

 次回はスタッフの健康管理について解説します。

 

 

訪問系サービスのスタッフ獲得術・定着術 その3

前回の続きです。

 

パートスタッフは報酬よりも居心地の良さを優先する

 

 パートスタッフにとっての居心地の良さとは以下のような指標に集約されると考えます。

1 仕事への不安が無い、もしくはすぐに解消される

2 仕事に自信が持てる、適切に評価されていると感じる

3 良好な人間関係

4 自身の生活(子育てや家族)やライフスタイルとうまくマッチングしている

5 肉体的・精神的な負担が少ない

 

※この指標はあくまでパートスタッフの定着を意識したものです。正社員の場合はまた別の指標になるかと考えます。

 

 各指標について詳しく説明します。

 

1 仕事への不安が無い、もしくはすぐに解消される

 すでに述べたように、仕事に不安があると、スタッフは定着しません。特にその仕事が初めての新人の時期は不安でいっぱいです。パートスタッフの場合、自分がその職業に適しているかどうか不安に感じると、すぐに別の職業に移ってしまいますので、新人の世話はスタッフ定着への第一の要諦となります。

 

 不安解消に仕組みとしては以下のように整理できると考えます。

(1)何でもすぐに相談できる体制(詳しくは前回の記事参照)

(2)月1回のスタッフ会議、研修会の開催で疑問や不安の解消

※訪問介護の場合これにより特定事業所加算も算定できるようになります

(3)充実した利用者情報のファイリング(当然スタッフで共有)

 

2 仕事に自信が持てる、適切に評価されていると感じる

 仕事に自信が持てると継続してその職業に就いていくモチベーションとなります。これにキャリアアップの仕組みが組み合わされれば、一生この業界で仕事をしていく人材となるでしょう。

 幸い介護業界はキャリアアップの仕組みを充実させようと取り組んでいる最中です。介護給付的にキャリアが反映できるようになってくれば(例えば医療的ケアには別給付が出るなど)、パートスタッフのモチベーションも高まると考えます。

この指標を実現するためには、上述の不安解消の仕組みとともに、以下のような取り組みが必要になります。

(1)職業能力評価の導入

  厚生労働省では介護事業別の職業能力評価シートを作成しています。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000093927.html

 簡単に説明しますと、年1回スタッフが自分の技術や能力について自己評価し、それに対して管理者などが評価する形式です。

 パートスタッフ用には少し細かすぎるので、評価項目を簡略化しても良いかもしれません。

 仕事の評価は、スタッフと管理者が個人面談により行うので、仕事に対する不安や疑問などを話し合う場にもなります。その際に、管理者はスタッフに自信を持たせ、目標に向かって仕事に取り組むように動機付けを行います。

 訪問看護についてはまだ国は評価シートを示していませんが、東京都が「訪問看護OJTマニュアル」の中で評価シートを示していますのでご利用ください。

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kourei/hoken/houkan/ojtmanyual.html

 

 評価制度が導入できない場合でも、年1回、管理者とスタッフが個人面談をして、仕事の振り返りなどを行うことはとても有効です。

 

(2)仕事に対する興味を引き出し養成する仕組み

 新しい知識の獲得やキャリアアップの取り組みを支援する仕組みを作っていくと、自発的な自己研鑽につながります。

 具体的には、「資格取得費用の支給」「外部研修の受講」「参考図書やソフト、DVDの購入」などに対する金銭的な支援です。

 

 なお、評価制度の導入や資格取得・研修費用などについては補助金を利用できる場合があります。以下は厚生労働省の補助金です。社労士さんに相談すると申し込めます。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/index.html

 介護実務者研修や介護福祉士の受験費用については、各自治体で補助金を出している場合がありますので問い合わせてみてください。

 

3 良好な人間関係

 職場での人間関係は退職理由の上位に来る指標です。

 筆者が東京都で人事の仕事をしている時、新入職員などの研修で以下のようなガイダンスをしていました。

 

 【入職時の心得】(3か月は無理をしない原則)

(1)入職後3か月は無理して仕事をしようとはせず、上司や先輩に言われたことを淡々とこなすこと。

 職場では入職したばかりの新人スタッフの仕事にほとんど何も期待していません。使い物になるようになるまでは1年程度必要だと考えています。従って周りの期待に応えようとして無理をして仕事をする必要は無いのです。

 無理をすると失敗します。失敗すると自信を失います。自信を失うと仕事が楽しくなくなり、職場に行くのが苦痛になるという悪循環に陥ります。

 

(2)入職後3か月は無理に人間関係を密にしようとしない

 人間関係は自然に形成されるものです。職場になじもうとして無理に周りと仲良くする必要はありません。少々、さみしいかもしれませんが、周りにいる人たちがどのような人なのか分からない時点では、無理に仲良くしようとすると逆に関係をこじらせたり、傷ついたりする場合があります。

 入職後3か月は、周りの人間関係をじっくり観察するようにしてください。どの人がどのような性格で、誰と誰が仲が悪いとか、誰が嫌な奴だとか、そうしたことが見えてくると、自然と人間関係は形成されていきます。

 この先輩はなんで自分をいじめるのだろうという人がいたとします。そういう場合は悩んだりせず、右から左に流すようにします。3カ月もするとその人は他の人からも嫌われていることが分かったりします。

 

 新入社員の多くが3か月以内に辞めてしまうというデータがあります。

 新人はすでに形成されている複雑な人間関係の中に一人で放り込まれるわけですから、その環境に慣れるにはそれなりの時間がかかるのです。

 そのことをしっかり認識して、3か月は人間関係のことは考えず、ただ傍観するようにするのが、うまく環境になれるコツです。

 

(3)入職後3か月は分からないことは何でも聞く勇気を持つ

 馬鹿にされたくないとか、恥ずかしいとかいう気持ちは、新人は持ってはいけません。

 何でも聞けるのは新人のうちだけです。明るく元気に何でも聞く勇気をもって過ごしてください。

 

 以上、これは新入社員向けのガイダンスですが、パートスタッフにも当てはまることです。採用時に上記のようなガイダンスをしてあげることで、入職の際のストレスはだいぶ軽減されるでしょう。通常3か月勤務できれば、その後も継続的に勤務できると考えます。

 

 【トラブルメーカーへの対応】

 正社員などで、パートスタッフをいじめてしまい、辞職に追いやるようなタイプの人がいます。これには対策が必要です。

 訪問系のサービスの場合パートスタッフが定着することが収益につながることを、しっかり理解させましょう。

 さらに、正社員の仕事はパートスタッフに安心して仕事をしてもらえるように世話をすることだということを理解させなければなりません。

 訪問系の事業ではパートスタッフの世話ができない正社員は評価が下がることをきちんと説明することが大切です。

 

 

 次回はこの続きです。